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昭和を問うなら開国を問え。そのためには開国以前の文明を問え。幕末から明治に日本を訪れた、異邦人による訪日記を読破。日本近代が失ったものの意味を根本から問い直した超大作。
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Posted by ブクログ
2005年、平凡社ライブラリー。 元は1995年から週刊エコノミストに連載されたもので著者は熊本在住、市井の研究者だという。 幕末明治の外国人による日本見聞記を邦訳、原著も含めて広く渉猟し、当時の日本人、とくに庶民の人と暮らしそして社会を描きだたもの。 良いことばかりではないことを意識しつつ、いか...続きを読むに平穏で美しく豊かな社会であったか。それは一つの文明であったとし、自身もその時代に生きたかったと。テーマに分け14章に描き出す。 章立ては次の通り。第1章ある文明の幻影、第2章陽気な人びと、第3章簡素とゆたかさ、第4章親和と礼節、第5章雑多と充溢、第6章労働と身体、第7章自由と身分、第8章裸体と性、第9章女の位相、第10章子どもの楽園、第11章風景とコスモス、第12章生類とコスモス、第13章信仰と祭、第14章心の垣根。 とても良い本だとおもうが、巻末の解説が、戦後の左翼インテリが云々と無関係に述べ、せっかくの清涼な読後感を台無しにしている。
幕末から明治末年までの間に日本を訪れた外国人による日本人への眼差し。ディスカバージャパンならぬディスカバージャパニーズ。彼らの見た「幸福な日本人」は我々と同じ民族なのか?違う民族なのか?著者は言います。「文化は滅びないし、ある民族の特性も滅びはしない。それはただ変容するだけだ。滅びるのは文明である。...続きを読む」同じ時期に海を渡った浮世絵やパリ万国博覧会に出品された超絶技巧の伝統工芸品はタイムカプセルのように150年の時を超え里帰り出来るモノとしての文化だけど、本書に記録されているのは二度と戻らないココロとしての文明なのでしょうか?ピサロに滅ぼされたインカ帝国は、実はスペイン人が持ち込んだ感染症によっての滅亡したのである、と言われていますが、資本主義という成長至上主義はここに描かれる「幸福な日本人」にとっての感染症だったのでは?インディオがなぎ倒されるように「幸福な日本人」も絶滅したのでは?それとも今を生きる日本人の心の奥底には、「幸福な日本人」のDNAは生きているのか?今年のノーベル医学賞のスバンテ・ペーボが証明したホモ・サピエンスにネアンデルタール人が繋がっているように。本書を読みながら思い出していたのは、実は『人新世の「資本論」』です。資本主義を超えた幸せの体現が150年前の日本人の姿にあるのでは?機嫌よく、陽気で、人見知りしないで、深く考えない暮らし。たぶん、違うと思いますが…。ちょうどこの本を読んでいる時に朝日新聞の土曜日版「be」での原武史の連載「歴史のダイヤグラム」に編集者としての著者と作家としての石牟礼道子の2ショットの写真が出ていたのですが、我々の暮らしの底流には、この時代の心が生きている、という想いがこのコンビを成立させているのではないか?と思いました。
薄々感じではいたが、明治維新を経て日本は別物になった。日本近代は江戸という文明の滅亡の上に打ち立てられたのである。渡辺はその文明の諸相を追体験するために当時日本を訪れた異邦人の記録に頼った。それを読むと我々現代人も当時の異邦人と同じ視線で当時の日本を見ていることに気づく。 江戸後期の日本は私にとっ...続きを読むても憧れの時代である。何より羨ましいのは「この国民は確かに満足しており幸福であるという印象」と言うことだ。西洋思想と産業革命が入って来る前の日本が、どれだけ完成された文明を持っていたか。そこには欧米列強の開国要求や西洋文化、近代思想の流入という避けられないものがあって、なるべくしてなったものである。だからこそ儚くも愛おしい。今だからこそ知り、推測し想像しておきたい。我々が直接知らない昔の文明のこと。
明治維新はクーデターだったのか! 江戸時代の牧歌的風景、人情が著者ではなく第三者によって描かれている処に客観性を感じさせられる、名著だと思った。
幕末や明治の日本の民衆の快活で自由な、そして精神的に豊かな暮らしぶりを、その当時の来日欧米人の瑞々しい記録から明らかにする この文化が自分たちのたった150年前のものであるということも、そしてそれが失われていることも、読んでいる私たち日本人の胸に迫ってくる。 明治以降西洋近代化を追求して今にいた...続きを読むるわけだが、本書を読むと、あのとき西洋化の選択をしない道もあったのかもなと思ってしまう。歴史にifはないけど、読み手にそう考えさせる良書。
江戸末期・明治初期の日本を訪れた西洋人が感じた「驚き」が、これでもかと紹介されている。日本人であるはずの自分だが、これを読むと、彼らと同じ目線で一緒に驚くことになってしまった。 「昔の日本ってこんな感じだよね」と漠然と考えているイメージ(たぶん、時代劇とかで作られたやつ)が吹き飛ぶ。当時の日本はこ...続きを読むんなに不思議な国だったのだ。 逆にいうと、先祖代々続いていると思っていた「文明」が一度滅んでいたということ(少なくともそう言っていいほど「西洋化」してしまったこと)。そして、ほとんどの人が、そのことに気がついてさえいないこと。なによりも、それに驚く。 日本人ならこれは読むべき。
著書は慎重に、しかし「独自の視点を持つ観察者がいて必ず観察され、その視点から言及することを逃れる術はない」というその言及に当たる事実を忘れることはない。 その目線がいかに親日的、優しいと言われようと、そう言われる土壌が、反応する培地があるはずとしてすくい上げた中に、日本人の持っていた心性と、結びつい...続きを読むた生活感覚や生活器具、またそれらを取り巻く価値観とコスモス(エコシステム)があったと見る。 他者からの目を(この場合幕末、明治期に来日し記載を残した、外国人の記録物)、徹底的に事実(言及された本文)として取り上げ、それを多く並べ、培地を探る。その培地から上記のような日本人の心性〜コスモスまでを浮かび上がらせる手法をとっている。非常に慎重。
まず、大著であり読破するのは相当困難であると覚悟してください。あとがき、解説までで594ページ、活字のポイントも小さめで、相当に時間を要します。私はちょうど1週間かかりました。ですが、それだけの時間をかけて読む価値のある書籍であることは間違いないです。特に第一章がやや難解なので、なかなか読み進めない...続きを読むな、と思う方は第二章から読み始めてもよいと思います。具体的でわかりやすいです。 著者は『古き良き日本』を振り返る懐古の書として書かれたのかもしれませんが、これを読んで共感はしても、今さら便利な生活を捨てて江戸や幕末の生活にもどりたいと思う人はいないでしょう。それよりも私が印象的だったのは、ところどころに語られている日本人固有のマインドセットについてです。そこに注目する方が、この書籍を読む価値が上がると思います。『衣食足りて礼節を知る』と言いますが、足りてなくても礼節をわきまえていたのが、昔の日本人であったと知ることができましたし、それは少なからず今の我々の中にも宿っていると私は思います(やや薄れてきているのは否めませんが)。 ぜひ、一読をおすすめいたします。
冒頭の章で、本書の資料として外交人の手記を用いることを通して、いわゆる左翼的知識人を批判しつつ、文化人類学の神髄とポストオリエンタリズムを説くあたり冴えている。 いわゆる「厚い」記述が続く。 第7章 自由と身分が面白い。抑圧されていた庶民のイメージが変わる。 第9章 女性の位相も考察が良い。この...続きを読む時代の女性の人間関係のダイナミズムを浮かび上がらせつつ、現代が短期的な地位の平板さに落ち込んでしまっていることに思いがいたった。 第10章 子どもの楽園は驚かされた。男が赤ん坊を抱いていた!とは。 第14章 心の垣根での本書のまとめ方は見事。 著者は時代は変わるということを前提としている。 しかし、私にとってはこの本で披露されている文明がたとえ滅び、昔噺に過ぎなくなってしまったとしても、現実にあったことなのだ、という事実は希望に感じる。あるべき社会をイメージすることほど、難しいことはないからだ。
かなり分厚いので果たして無事に読み終えるのかと不安だったけど なんだかんだで最後まできっちり読めた。 古き良き日本と言ってもいいのか悪いのか 今の生活とは考えられない幕末~明治初期あたりまでの 外国人が実際に日本に来て、その目で見た日本の姿が鮮明に描かれている。 これをまとめるのはさぞかし大変だった...続きを読むろうと心から感服すると共に 今の殺伐とした平成最後の世とはあまりにもかけ離れているような あぁでもこんな時代もあったのだなと沁みる。 もちろんいい面も今では考えられないようなこともあったにせよ そこ百何十年前まではこの姿が、ごく当たり前だったのかと思い知らされる。 色んな歴史の本を読んだけど 教科書には決して載っていない、ありのままの暮らしや文化・環境が ものすごく新鮮だったし勉強になったなぁ
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