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時は、明治元年暮。火の手の迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった訳ありの重罪人たち──博奕打ちの信州無宿繁松、旗本の倅岩瀬七之丞、夜鷹の元締め白魚のお仙。牢屋同心の「三人のうち一人でも戻らなければ戻った者も死罪、三人とも戻れば全員が無罪」との言葉を胸に、自由の身となった三人の向う先には……。幕末から明治へ、激動の時代をいかに生きるかを描いた、傑作時代長編。
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Posted by ブクログ
死罪を含む重い刑を申し渡された罪人3人が、「赤猫」という逃走の絶好の機会を得ながら、紆余曲折ありはするものの逃げずに指定の刻限までに戻るという身を捨てた義侠心や義理人情が心を熱くする。 一方で彼らの罪の源となった恨みを一身に背負い、弱きを助け強きを挫くごとき牢役人に心を強く揺さぶられた。 浅田さんに...続きを読む、また泣かされちゃった。この本も再読本だなぁ〜。(o^^o)v
ーーー時は、明治元年暮。火の手の迫る伝馬町牢屋敷から解き放ちとなった訳ありの重罪人たち―博奕打ちの信州無宿繁松、旗本の倅岩瀬七之丞、夜鷹の元締め白魚のお仙。牢屋同心の「三人のうち一人でも戻らなければ戻った者も死罪、三人とも戻れば全員が無罪」との言葉を胸に、自由の身となった三人の向う先には…。 久...続きを読む々の浅田次郎 人倫、特に男としてどうあるべきかを書かせたら比類なき作家 明治の御一新で世の采配がめちゃくちゃな中で、「よく生きる」ことを目指した男と女の姿を、様々な語り口で描く。 解説にもあるように、いろいろと仕掛けが施された物語なので、楽しんで読んでほしい。 「いかがか」 「まだまだ」
博奕と人生の違いは、神に恃むかてめえの力でどうにかするかってことさ 次郎兄ィにしか書けないストーリーとセリフの数々、本当に心に沁みる。 ありがとうございます✨
明治元年、御一新直後の東京で大火が出た/ 小伝馬町の牢屋敷は囚人を解き放ち、消火後の帰参を待つ/ そこにおいそれと放てない事情を抱えた三人/ 親分に売られ身代わりに収監された深川一帯の大博徒、大政奉還後も官軍を斬って回った辻斬りの旗本次男、奉行所の悪事を知り尽くした夜鷹の元締め/ 珍妃の井戸よろしく...続きを読む浅田次郎らしいインタビュー形式/ 徐々に明らかになっていく火事のあと幾晩かの出来事/ めちゃくちゃ面白いし、東京に住むものとして東東京の当時の状況が非常に興味深い/ 合羽橋が新堀川の暗渠だなんて知らなかったし、浅草寺の東側が火除け地で飲食店は勝手に出されてあたりが繁華になったなんてのも知らなかった/ まったくもって個人的にだが、夜鷹の姉さんの証言を最後に持ってきた方が良いのではないか/ 最初にあるから以後語られる事件の犯人が分かってしまう/
火事と喧嘩は江戸の花、と言われたのは昔。 時は明治。とはいえ最後の将軍はとうに大政奉還されているのに、新政府の機能は整わないまま、何もかも以前と変わらぬまま物事が動いていた宙ぶらりんな時代の話。 牢人を収監する牢屋敷も多分に漏れず、急な沙汰で一人の罪人が今まさに斬首されようというその時、遠くで半鐘が...続きを読む鳴り響いた。 すぐさま執行は取りやめ、解き放ちの相談が始まる。 その昔、火事が出ると、罪人といえども牢内で焼け死ぬのは忍びないと、一時解き放ち、という決まりがあり、鎮火の後は決められた場所に必ず戻ることとして、全員解放された。戻れば一段階、罪の軽減、戻らなければ捜して死刑。 まぁ今考えればずいぶんとのんびりした話であるが、当時はほとんどが言いつけ通りに戻ったというのだ。 情けには情けで答えるということか。 さて、この牢屋敷には先ほど刑が取りやめになった者の他に、後二人、重罪人が収監されており、この三人の処置を巡り役人たちの議論が繰り広げられる。 結果、いくつかの条件付きで異例の解き放ちとなった。 三人三様事情を抱え、目的を果たすべく向かった先には・・・何とも奇怪な事態が待ち受けていた。 その謎解きは、後年関係者に対する聞き取り調査で明らかにされる。 驚愕の真実。 理不尽な仕打ちを受けても、腐らず真っ当に過ごしていたらお天道様は見ていてくださる、ということか。 ちょっとほろりとして、胸のすくミステリーだ。
聞き語りのストーリーは、珍妃の井戸など、浅田次郎さんで採られている展開。それぞれの人から見た様子や思いがわかり、それを他者が述べたものとつなぎ合わせながら、全体を理解したり感じたりするのは面白い。赤猫とは、江戸の火事のこと。明治になってもそのまま伝馬町にあった牢屋から火事で召し放しとなった3人の男女...続きを読むが召し放しとなった後の行動や気持ちの変化を述べていく。
これぞ浅田次郎の真骨頂。まるでその時代を生きていたかのような描写力。最後そうなるかー、ときっちり泣かせてくれる。泣かせの次郎、ここにあり!
文句なしに面白い時間を 持ちたい方には ぜひお薦め 読み終えてから 表紙をしみじみ眺めて おぉ この三人が… と感慨に浸りたい方にも お薦め 浅田次郎さん 稀代の時代小説の名手です 登場する人物が それぞれ愛おしい
浅田次郎、流石です!不勉強で、赤猫の意味を知らなかったから、妖怪系の話かと思ってた。時代の狭間で起きた大火事の際のドラマ。日本人としての矜持を正されているように感じた。いいものを読んだ。こんな男たちにはついて行きたい。
新しい!浅田さんらしくて浅田さんらしくない! 複数人の独白によってその人々の視点から描くっていうおなじみの構成、厚みのある人物や風景の描写は浅田次郎っぽく、後半に突然隆起し、速度を上げるミステリー感は浅田次郎っぽくない。 また好きになった。
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