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スコットランドの寒村の古城で暮らすノーベル賞物理学者。この老科学者が地下の実験室で開発したのは、60秒過去の自分へ、6文字までのメッセージを送るプログラムだった。孫たちとともに実験を続けるうち、彼らは届いたメッセージを60秒後に送信しないという選択をしたが、何も起こらなかった。だがメッセージは手元に残っている。では送信者は誰なのか?そして、この宇宙はいったいどうやってできあがっているのか?ハードSFの巨星が緻密に描き上げる“時間間通信”の姿。大胆不敵な時間SF!
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Posted by ブクログ
本作の原題:Thrice Upon A Time は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の英題に引用された。 過去にメッセージを送ることができるマシンが完成した……という、それ何てシュタゲ?と今の若い人なら言いたくなるようなオープニング。2010年を舞台に1980年に出版されたホーガン節の時間移動SF...続きを読む。ホーガンといえば真っ先に思い浮かぶのが『星を継ぐもの』。これぞSF、というセンス・オブ・ワンダーとミステリー的な謎解き要素を併せ持った面白さは本作でも健在だ。 こういった、過去に干渉して歴史を改変するという物語は、改変前の世界と改変後の世界が分岐してそれぞれが継続していくというパターンと、改変前の世界は消滅して完全に書き換わってしまう、というパターンがある。本作は後者であり、「世界線の書き換え」によって生じる様々な問題が、思考実験のように展開されて非常に面白い。たまたま人類の絶滅につながる2つのまったく別々の重大事件が発生し、過去にメッセージを送れるマシンによって救われるか?というのはちょっとわざとらしい展開にも感じるが、必然的に生じるタイムパラドックスも含め、このテーマに関する普遍的な問題を提示していて最後まで興味深く読める。 美しいラブロマンスでしめる、読後感の良さはさすがのホーガン。あちらこちらで使い古されてしまった時間移動もののネタは新鮮味にかけるかもしれないが、今もって一読する価値のある名作なのは確かだと思う。 新エヴァについては、なるほど……と今さら気づいた(英題は気にしてなかったニワカ)。
言わずもがな、新エヴァの副題の元ネタ。新劇場版が持つ並行宇宙の概念は概ね本書に沿う。しかし偶然なのだが今どきな話題も出てきて、80年代とは思えない作品。いまならエヴァっぽい帯がついて本屋に並んでます。
装置を用いて過去にメッセージを送り、未来(世界)を再構成する。シュタゲの原典といえる作品。無関係と思える事件が最後には繋がり、物語が終焉にむかう怒涛の展開は、圧巻だった。あと、エピローグでほっこり。
ーーーアメリカ西海岸で技術コンサルタント事務所を開いているマードック・ロスは、スコットランドの古城に住む引退した物理学者の祖父に招かれ、友人のリーとともにイギリスへ向かった。 祖父が政府の助けもなく、独力でタイム・マシンを完成させたというのだ。 『星を継ぐもの』シリーズ以来のJ•P•ホーガン ...続きを読むよく言えば外さない、悪く言えばありきたりのタイムマシンとそれに伴うパラドックスにまつわる物語 他の書評を見る限り、「シュタインズゲート」はこの小説にインスパイアされて生まれた作品みたいやね。 前に読んだシリーズでもそうやったけど、破綻の無い理論構成はグイグイ引き込まれる。 ただ、ひとつの欠点として、取っつきにくいというか理解するまでに時間がかかる。 ただ、絶妙なところで図解が用意されていくので置いていかれることは無いと思う。 この物語の面白さは指数関数的に上がっていき、素晴らしい余韻を残したエンディングへ収束するので、今まで踏み込んだことのない領域までイメージを広げて楽しんでもらいたい。 「人類の全歴史を通じて、きょうの子供たちはきのう魔法だったものをふしぎとも思わず、あくびをしながら眺めているーーそういうことがつづいてきたのです」
イギリスの片田舎で作られたタイムマシン。過去一日まで遡りメッセージが送ることができるが、未来から届いたメッセージを過去に送らなくともメッセージに変化はない。 タイムマシン物の付き物たるパラドックスに対し、序盤ではかなり濃密な考察が展開されてこれだけでも満足感は十分。タイムマシン自体が厄介ごとを引き起...続きを読むこすのではなく、あくまでタイムマシンで厄介ごとを解決するという展開も非常に好き。ホーガン的な前向きなSF。
シュレーディンガーの悪魔 すばらしい。ここのところ、映画や書籍でタイムパラドックス関係に触れていたもので、ハードSFの作者がこれをどう描くのか興味があって手にとって見た。 タイムパラドックスについては、アニメを題材にした簡単な解説がある。しかし、ノベライズとなるとこれが難しい。 ノベライ...続きを読むズ(小説化)する場合、それが特にSFである場合には、ストーリーの楽しさとタイムパラドックスに関する帳尻あわせが必要になる。このバランスをどの辺に取るかが作者の技量によるところだろう。 「未来からのホットライン」は、まさに熱狂的ファンが多いホーガンがこのバランスに挑戦した作品だろうと思う。私も「星を継ぐもの」以来、ホーガンのファンである。どこがいいかというと簡単である。「あっと驚く結末」であり、「破綻のない帳尻合わせ」である。 こっちのコメントが冗長になる前に今回の感想を書いておこう。まず最初から一気にのめりこんでしまった。いきなりマックスウェルという名前の猫が登場するのである。シュレーディンガーの悪魔が出てきてもおかしくない。このしょっぱなでホーガンの読者に対する挑戦が見て取れた。 (シュレーディンガーについて簡単な解説はこっち) 相変わらずホーガンらしく冗長さは残るし、小説としてのストーリーはきわめて単純。ウィルスや核融合を持ち出してはいるものの、その部分は薄っぺらい。飽くまでテーマはタイムパラドックスである。読者はどんな結末を用意しているのかを楽しみにひたすら読み進めることになる。 後半に入ったところで結末(小説としての結末という意味ではなく帳尻あわせの結末)が読めてくる。その手があったか!と気づくのである。タイムトラベルに関して、私の経験ではこの手法を用いたものはない。 過去を変えることで未来が変わる手法(これはあまりにアニメっぽいが映画で考えると「オーロラの彼方へ」はこの例だろう)、未来はやはり変わらない手法(これが多い)、そして過去を変えることでもうひとつ別の未来ができるという手法(これも多い)でパラドックスを克服しているものがほとんどだろう。 「未来からのホットライン」で使われたのは、これらの手法のいずれでもない。考えようによっては未来は変わるし、変わらないと考えても正しい。登場人物に感情移入する必要はない。これまで誰も気がつかなかった超観察者の手法を用いているのだから。賛否両論あるだろうがこれは傑作である。
タイムマシンというよりは、タイムメール?24時間以内の過去と未来にメールを送ることが可能な機械と、関係があるのかないのかわからないたくさんの事件が展開していくお話。 設定に説得力のあるハードSFは、最初の設定部分を乗り越えるのが大変だけど、乗り越えるだけの甲斐のある面白さだよなー。久しぶりにこんな...続きを読むにがっちりしたSF読んだ。ホーガンとか、ハインラインとか、この辺の作家をまとめて読みたい。
イギリスの片田舎の小さなお城の地下室で完成したタイムマシン。人間をその時代へ運ぶものではなかったが、それは過去へ通信を送ることが出来る装置だった! 通信を送るごとに違う未来が形成される。その結果は……。 ちまッちました感じがかえっていいv
『内なる宇宙』に続き、ホーガン作品五作目。シン・エヴァの英版タイトルの元ネタということで、久々に手に取りました(^^) まず一番に、映画前に読んで良かったなぁと…。内容から庵野監督がどんな想いで制作にあたっているのか垣間見れ、大いに期待できそうだ。それにしてもホーガン作品はワクワクが止まりませんな!...続きを読む良い終わり方で最高でした!!星四つ半。
「星を継ぐもの」四部作を読み終って寂しくなり、過去の作品に挑戦。一種の時間旅行物だが、ホーガンは、現実社会は実際このとおりなのでは、と思わせるのがとても上手い。読み終わると、いつも妄想が止まらない。
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小隅黎
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