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幽霊役者の木幡小平次、女房お塚、そして二人の周りでうごめく者たちの、愛憎、欲望、悲嘆、執着……人間たちの哀しい愛の華が咲き誇る、これぞ文芸の極み。第16回山本周五郎賞受賞作!!
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Posted by ブクログ
巷説シリーズを読み返している流れで覘き小平次を読みました。この作品については、今回が初読みでした。 巷説シリーズの長編2作目、になるのでしょうか。又市は影くらいしか出ませんが、治平さんはがっつり登場しました。 やっぱり治平さんはいい人だなぁと思いました。 本編ですが、登場人物の気持ちがどうし...続きを読むてもわからない、そんな感想でした。小平次とお塚、この2人はどんな関係なのだろう・・・でも依存関係であることは伝わってきました。 <以下引用> コトは語って初めてモノになる。語らなくちゃ何もねェんだ。嘘でも法螺でも吹きゃ吹いただけモノになるんだ。 この言葉好きだなと思いました。色んなことを思いました。語られないことは誰も知らない、残らない、嘘もついたら、そしてそれが後に真実となる。真実が伝わらずに嘘が伝わればウソがホントになる。 私たちが真実だと認識している過去にはそんなホントがたくさんあるんだろうな。
『嗤う伊右衛門』とおなじく、切ない読後感に酔いしれています。 小平次の様子に、異様さ、不気味さを感じつつ、なぜか、お塚がののしるほどの嫌悪は感じませんでした。読み進めていくにつれ、彼を「強く頼もしい」存在に感じ、好意を持ってしまうのは、なぜでしょう。彼ら以外の登場人物は、あるべき自分の姿を探し、ない...続きを読むものを埋めようと必死です。人々の、あさましさや愚かさを描きながら、なぜか彼らを憎めないのは、自分の中にも同じものがあることを自覚させてくれるからかもしれません。そして、自分にはない強さを感じるから、小平次に好感を持ってしまうのかも。いずれにせよ、京極さんの、異形な者への優しいまなざしが、この切なく温かい読後感に繋がるのだと思います。あくまで主観ですが、お塚は小平次が愛しくてたまらないのだと思います。それゆえの、もどかしさ、腹立たしさを、ひしひしと感じました。こんな、不器用な夫婦愛を描かせたら、京極さんの右に出る者はいない、と私は思います。
この物語への引きこまれ方は、「嗤う伊右衛門」のあの心地よさだ。 登場人物が少しずつつながりを見せてくるときの爽快感や、妻であるお塚のラスト近いセリフの小気味よさ。 このストーリーは素晴らしいデザインのポスターに魅入られたときの感覚に似ている。 ストーリー全体がデザインされているかのように、芸術的な...続きを読む素晴らしさ、心地よさがある。
読後感が意外にもさっぱり!すっきり!皆物語が終わったときに何かを得ていて、今までにない終わり方だった。大体はおなじぐらい何かを失っているイメージがあった。 本当に良かった。
素晴らしすぎて言葉も無い。 さすがの京極夏彦の禍々しさだけど 勧善懲悪的なキャラが存在しないことによって 世界観が剥き出しでした。
一転二転する物語に翻弄されっぱなし。 久世さんのコメントにもあったように、確かにこれは酔いしれるわ……!
江戸怪談シリーズ第二弾。これの元となった話自体は知ってはいたものの題名までは覚えていなかった。学生の頃に触りだけ読んだ覚えがあるものの、どうにも地味に感じられて途中で読むのを放棄してしまった。しかし今最後まで読んでみると中々に味わい深い。お塚は小平次を嫌いだ大嫌いだ好きにはならぬと言いながらも、そこ...続きを読むには奇妙に何かしらの情が感じられて仕方がない。きっとこの二人の関係は愛でも情でもないナニカではあるんだろうが、私にはそれを表せるだけの語彙がないのが口惜しい。
百鬼夜行シリーズを発売されるとすぐ読んでいた頃から随分と時は過ぎたんだな。ずいぶん久しぶりの京極夏彦。 生と死の狭間にいる小平次の物語。後半に向かうにつれどんどん面白くなる。結局、小平次を本当に見ていたのは終始嫌っていたお塚だったんだな。それも愛だったのだろう。
古典階段をベースにした京極さんの真骨頂。 安積沼での殺人やその後の江戸の自宅でのクライマックスは、まるで文楽の芝居を見ているような気分になりました。 人間の欲の深さや執着のおどろおどろしさと、執着を持たずに行きている人間への嫉妬・羨望。 逆に執着を持たないで生きる人間の心の殺伐さ。 生きるってい...続きを読むろいろあるのだよなぁ…と思わせられる作品でした。 素直に好きな人と好きだよって言い合いながら、他人をうらやまず、今ある日常を受け入れて、シンプルに生きていられるしあわせを感じたよ。
1711 語り口と言い描写と言い京極ワールド全開で読み応え十分。最後の一文までじっくりと楽しめました。
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