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「主よ。主よ。教えてください。俺は正しい航路を進んでいるのですか」主の命で大刀奉納の旅道中の鋤名彦名は、謎のくにゅくにゅの皮に飲み込まれ贋の世界にはまりこむ。真実を求めながらも嘘にまみれ、あらぬ濡れ衣の数々を着せられ凶状持ちとなった彦名。その壮絶な道中の果ては。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
宗教と宗教に寄りかかる人間の哀しさがとってもオモロかった。 「見苦しいなあ、見苦しいんだよ。自分のやったことなんだから諦めて処刑されればいいじゃないか」P632 このセリフが全てじゃないか。
厚さ4センチぐらい?持って歩くのが大変だったけれど、やっと読み終わった。 「告白」の流れを汲むムード。 わけのわからない時代設定、人名、擬音、そいういうのを乗り越えて読んでいくと、後半残り三分の一ぐらいからスピード感が増していき、なんだか自分のことを言われているような錯覚に陥りながら、あるいは自分...続きを読むが主と対話しているような気分になりながら、ラストに向かっていく。ということは、これは引き込まれているということ? それにしても、苦しくても辛くても、悲惨極まりなくても、最後には気分上々になれる、不思議な物語でした。
ときに理解を超えるが、しかし読まないわけにはいかない。自我がだだもれになって、主人公と読者の境目すら怪しくなる。主とはつまり・・・。『告白』につづいて傑作を読んでしまった。ああ、しばらく読書したくない気分。
みんながおれを悪党だというが なにもおれは悪党になりたくてなったわけじゃない わざとじゃないんだ、わざとじゃ だからおれは絶対に謝らんぞ といったような、ちんけなプライドに根ざす傲慢さを抱えながらも わたしはけっして根っからの悪党じゃない だからつねに、そんなわたし自身の自己防衛的ないいわけについて...続きを読むも 懐疑的でありつづけているのです だからおれは本質的には善人であるわけだ 絶対に謝らんぞ といった具合に、おれとわたしが無限増殖をしている といった具合で、たくさんの我を背負っている それ故にむしろ我ありということがいえるのではないかしら? などとそのように 己を正当化するための欺瞞的信仰まで持ち出してくるのなら もはやこちらとしては戦争しかないのであって それを避けたいというなら、せめて形だけでも詫びを入れてほしい 頭を下げてほしい 郷に入れば郷に従ってほしい つーか普通に生きなさいよ普通に などとそんなつまらぬ結論をみるまでに 700ページも小説を読まなければならない かくも人間の自意識とは度し難いものである が故に 普通とはなにか?それを定義せよなどといった クソめんどくせえ議論がここからはじまってしまうであろうことも 容易に予測できてしまうのであるが まあ神ならぬ人の子がやることですからね、仕方ないね 絶対に謝らんからな ってまたそういう話になってしまうわけよ 安らぎを得るために、我ら人の子は無謬をあきらめるしかないよ
『パンク侍』や『告白』のあたりで芸風がすっかり固定したようだ。相変わらずの目くるめく町田節。特にこの本は、主人公の道中のドタバタぶりや、展開の目まぐるしさが際立っている。ページをめくらせる力はめっぽう強い。 「主」(最初は「あるじ」かと思っていたが、やっぱり「しゅ」と読むんでしょうな)という存在が...続きを読む、この波乱万丈の物語を唯一つらぬく背骨になっている。しかし、いったいなんなんだろうなこれは。こんな話をよく次から次へと書けるものだよ。
ながい…長い…。 主人公の口語的スタイルで話しが進んでいくのにちょっと慣れが必要だった。 ほかにも読みたい本やまほどあるというのにかかりっきりで読んだくらい面白かった。 キタナイ、できれば目を背けたい、自分にはそんなところありませーんっていい人ぶっていたいような見たくないところを、見せられる、何度も...続きを読む。 でもそれが良いのだった。
「パラ…、なんだいそりゃ?」と尋ねたのはのび太。それに答えたのはドラえもん。 「パラサイト」なんて言葉があるね。寄生って意味なんだけど、要するに独力では如何ともしがたい低級な能力しか持っておらぬ存在がために、より上級な存在におべんちゃらを使って、胡麻を摺り摺りして、ご厚恩にあずかるというか、ま、あ...続きを読むずかるというよりも甘えるだよね、これは、うん、って違う違う、そげなこと、ドラえもんは答えていないよ。 じゃあ、「パラダイス」。楽園というか極楽というか。まあ、何かよくわからないけれど、とりあえずハッピーなんだよね。昔、スーパーファミリーコンピューターで『ワギャン・パラダイス』なるソフトがあって、ワギャンという名の恐竜、恐竜というてもその外見はちっとも恐ろしくなく、むしろ当世流行りのゆるキャラのような愛らしいルックスをしたキャラクターが、ワーとかギャーとか言って敵を懲らしめるみたいなアクションゲームなんだけど、そういえば、ドラえもんの大長編シリーズの第1作目は『のび太の恐竜』だったね、『ワギャン・パラダイス』とはまったく連関はないんだけれど、っていうかそもそも「パラダイス」でもないよ、ドラえもんが答えたのは。 じゃあ、正答を述ぶると、「パラレル・ワールド」。平行・並行世界というやつだね。今ある世界と同時並行的・進行的に存在している別世界。この2つの世界それぞれに己が存在していて、ある事象に対して、Aという選択肢をチョイスした己が存在しているのは今ある世界。で、Bという選択肢をチョイスした己が存在しているのはパラレル・ワールド、別世界、てな感じ。 僕らは平生より、いろんな判断・決断をしたり、あるいは迫られたりしていて、例えば今日の午飯は鰻丼にしようかチャアシュウ麺にしようかとか、長年連れ添うたパートナーに別れを切り出すべきかあるいは腐れ縁・現状維持にて耐え忍ぶべきかとか。ときには熟考を迫られるお題目もあるけれど、大概の事は即断即決するのは、ぱぱぱっと決めて行かんと捗るものも捗らなくなり停滞するから。 そのぱぱぱのせいで、後々、悔いやら反省やらと向き合わんければならない破目に陥るんだけど、でも、生きていくためにはある程度のぱぱぱは必要、忙しいからね人間は。ああ、あのときもう1つの選択肢を選んでおったら、今頃、己はどれだけ快楽・愉悦に浸ることができたことかなんて後悔することもあるんだけど、所詮それは叶わぬ妄想に過ぎず、現実にパラレル・ワールド云々をいうて生きている人はほとんどおらんだろう、忙しいからね人間は。 とはいえ、「もう1つの世界・もう1人の自分」というフレーズにはなんとも蠱惑的な響きがあって、実際にそれを妄想してしまうことを、まあ、赦されているのが人間。特権。猿や犬やミジンコなどが別世界だのもう1匹の猿・犬・ミジンコだのを思念することなどないからね、うん、ミジンコの数え方が「匹」なのかどうかは疑わしいけれども。 結局、今ある世界に、つまり現状に満足できん自分がいるから、そんな阿呆なことを考えるのだ。「今生」が駄目なら「後生」があるサ、などというのも、「後生」において自分がええ思いをしたいがために、今生のことはもう諦めて、残りの人生の艱難辛苦はオール我慢するよ、我に七難八苦を与えたまえ、そのかわり後生のことはおたの申します、あ、でもなるべく辛度い思いはしたくないから、やっぱり二難三苦くらいにまけたって丁髷、なあんてどこかしら不純かつ自堕落な欲望を発露とする、愚。愚。愚。負け。感情の敗北。 別の世界・別の時代に期待すればするほど、今を生きている生身の・リアリティーの伴った自分を疎かにしてしまう。あるいは拗ねる、いじける、怠ける、生蔵。そんな箸にも棒にもかからぬような根性では、今生を台無しにするだけでなく、もう1人の自分も(それは並行世界にいる自分だか、いつか生まれ変わるときの自分だか分からぬが)、同じように台無しにしてしまうことだろう。何故ならば、そんなぐうたらな思想しか持たない魂なんだから。救いようがあらぬ魂なんだから。 決して冷めているわけではないよ。ドラえもんはいないし、恐竜・ワギャンも架空の世界だ。もう1人の自分、if…なんてのも、あるいはドラえもんやワギャンと同レベルの話なのかもしれぬ。 グダグダしておったら、いつまで経っても・いつになっても・どこに居ても、あなたはグダグダのまんま。要するに、今を真実・真正に生きよ、このことに尽きるんだよね。人間だから、おかしな期待感を持ったり、情欲に憑かれたりというのを完全に避けるのは厳しいかもしれないけれど、せめてオイラは真面目に生きていますぜ、そう胸を張って言えるくらいの生き様を見せてやるんだぜと、それくらいは決意し実践せんければあかんのだなあと僕は私は思ったのでありました。
700ページ超の大長編。 主人公、鋤名彦名の独白形式。 “主”に命じられた大刀奉納の旅の道中、くにゅくにゅに飲み込まれてはじまる苦行のような日々。 自分の都合の良いように言い訳ばかりして、どんどん落ちぶれていく主人公。 結局残るものは何もなかった気もするが、読後の感覚が忘れられない。 読書脳を活...続きを読む性化させられた。
長かった! 不幸が起こると、何故自分だけこんな目に会うのか、好転するとこれは主の思召しだ、人殺しや盗み放蕩的な態度を全て贋の世界だからとなんたかんだと理由をつけて自分自身を納得させる。全てが因果応報という事も気付かずに。 そんな人間の弱さやズルさを宿屋で会う奇怪な人に依って暴かれ、そんな時、人はど...続きを読むんな対応をするのかで人間性が問われる。人は嘘を着く唯一の動物だけど、他人には通じる嘘でも自分自身には決して通用しない。主はその自分自身を戒める本来の自分だったのかも。所々で、あっ、と思わせる。さすが町田さんです。
摩訶不思議、数奇奇天烈。時代考証滅茶苦茶のストーリーが章立てもなく続く。町田氏ならではの飄逸諧謔が随所に鏤められており厭きさせない。騙され追い落とされ七転八倒する主人公。虚偽欺瞞が何のひっかりもなく横行する現代に、正しい倫理観を打ちたてようと煩悶する著者そのものを見る。
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