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絵描きの「俺」の趣味はランパブ通い。高校を中途で廃し、浪費家で夢見がちな性格のうえ、労働が大嫌い。当然ながら金に困っている。自分より劣るとしか思えない絵を描く知人の吉原は、認められ成功し、自分が好きな女と結婚している。そんな吉原に金を借りにいく俺なのだが……。現実と想像が交錯し、時空間を超える世界を描いた芥川賞受賞の表題作と短篇「人生の聖」を収録。町田康ならではの、息もつかせぬ音楽的な文体。読むことがめくるめく快感、そんな作品です。
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Posted by ブクログ
売れない画家が「俺」という一人称で語る物語。この画家は俗に言うヘンな人なので頭の中で考えることがヘンすぎて笑える。お見合いをわざと失敗するために、鰻重を肝吸いのように吸う場面は、声を出して笑った。芥川賞を取った表題作の他1作収録。
な、なんだこの小説。文章がめちゃくちゃ面白いだけで内容なんにもないぞ。でもなんかかなり強烈な印象を残してくな。こんな異様に体言止めの多い文章ってか小説は初めて読んだ。この文章は俺の知ってる散文の範囲をギリギリ超えてる。散文の可能性を破綻しないながらも新しく規定してるようにすら思える。自由奔放で天才的...続きを読むな語彙の選択と唯一無二のリズム感で書かれる文そのものがエンターテイメントだわ。大笑いしちゃうよ。しかし、くんくんに、とか、げっつい、とか聞いたことないよ町田語??まあ、先に読んだエッセイの方が文章も洗練されてて内容も面白かったかな。
イカれ徒然草。すごい。 あまりにもとりとめのない脳内イメージを、厳密に明確に克明に文章に落とし込んでいる。文体も相まってスルスルと脳内にインストールされてしまう。 あんまり深入りしすぎると自分の口調とかも影響受けそう、日常に悪影響が出そう。危険。 読書になにか意味を求める人には向かない。ただの暇...続きを読むつぶし、エンタメだって思える人なら楽しめると思う。
初めて読んだ夫婦茶碗に比べて強烈で、特に人生の聖はついていけないかも、とも感じたが、何れにせよ、凄い作家だと改めて思いました。
以前読んだものよりブッ飛び具合が酷くなっている(いい意味で)。 突拍子もない展開なのに情景が目に浮かぶのはさすがです。 一個だけ、清酒五合瓶というのはどうかな?と思った。四合瓶じゃないのかな?無いわけじゃないようだけど・・・
古本で購入。 また町田康を読んでしまった。 読んでしまうのである。 「俺」の独白で語られる現実と思惑のズレ、齟齬スパイラル。 妄想と現実の境が曖昧なままに突っ走った果ての唐突な結末。 この唐突な、と言うより暴力的に話が断ち切られて終りを迎える感じが好きだ。 「でも人生ってそんなもんかも」などと...続きを読むわけのわからんことを思わせるような、無闇なパワーがある。 そのへんの感じは、特に『夫婦茶碗』(新潮文庫)に濃い。 ストーリーには爽やかさと言い感動と言い欠片もないのだけど、そのなまぐささとエグさが癖になる。 この本に収録されている連作(?)『人生の聖』なんて、キチガイじみていて意味はわからない。 だがそれがいい。
ふざけた文体や内容がまさに世の中に対する強い批判であり、天邪鬼な人たちの気持ちを代弁しているように感じます。 主人公の心の奥にある暗い感情が妄想を生み暴走していくのだけれど、しかいながら現実に生きているというジレンマをどのように消化していけばいいのか?みんな持っている心の叫びのように感じます。そし...続きを読むて、みんなぎりぎりで消化しているだけなのでしょう。 最後の一文 「穴の手前で振り返ると、青空。きれぎれになって腐敗していて。」 を読んだとき愕然した気持ちになりました。 暗闇から覗く青空の美しさの描画の美しさに加えて、腐敗していてというギャップ。何より本の内容を集約した表現に胸が苦しくなり、余韻が残りました。 世の中が少し辛いと感じたときや何か自分だけ浮いているように感じたときに読んでみてはいかがでしょう。決して救われる感じの優しさはないかもしれませんが、少し楽になるかもしれません。
凄いの一言。全然面白くなかったのに、その凄さだけで4点。 この文章がどういう意味で、次にどう繋がり、如何にオチをつけるか、という小説脳で読もうとしても、多分4頁くらいでやめたくなります。私は何度もやめました笑 言うなれば「きれぎれ脳」、とにかく文を追っている最中は文自体を楽しもうとすれば、徐々に...続きを読むですがハマってしまうのが言いようもなく新鮮です。 そして個人的に1番印象的だったのが、上述のようにハマり出したまさにその瞬間、ほくそ笑むかのようにブツンと物語が終わる、その感覚。 いくつか短編が入っていますが、そのどれもがそう。いやー凄い あ、あともいっこ。 ひらがなを駆使した独特の擬音語が面白い。 終始頭の中でドカドカ鳴っているように感じました。(園しおん作品のようだ) 町田康、何を読んでもこう感じるのか? はたまたいろんな技を持った作家なのか?うーん、興味深い。
文体について行けず一旦積読。 暫く置いて、再読。 今度は読めた、しかも面白い。笑いのつぼもかなり好み オフィスをオフィースっていうなんか明治、大正っぽい表現とかかなりすき。 町田さんは、凡人の僕らが記憶できない脳の活動って言うか 夢とか想像の部分を見たりしてるひとなのかなーって、何冊か読んでると...続きを読む より感じます。 それくらい、高速で次々と展開して気づくと元の場所に戻ったりしてる、すんごく集中力のいる小説。 あと、100冊くらいほかの本を読んだらもう一度よんでみよ。 楽しみだな
町田氏の作品は初です。 独特なリズムに乗れさえすればずんずん読んでいけるタイプの文体。 大きく期待していなかったせいか、とてもおもしろく読めた。 「きれぎれ」の終わり方がとても好みで、気持ちがほろっとした。
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