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「顔がないんだ、ぬっぺっぽうみたいにさ」 藤沢宿で働くお初は、自分の色男である勝道にそう言った。 「目も鼻も口も耳もない、ぺろりとした顔のそいつが、いつも出てくるんだ」 怖いものなどない破戒僧の勝道だが、なぜか「ぬっぺっぽう」だけは恐ろしかった。 「この悪夢を祓ってくれる、良い神社仏閣はないものかねえ」 勝道は、お初を江島明神の弁財天詣でに誘う。 その地に伝わる哀しい身投げ話など知りもせずに。
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Posted by ブクログ
面白かった!!やっぱり高田本は読みやすい。 帯煽に書き下ろしの時代小説で悲恋ホラーっぽい文章があったので、もしや、こてこての物語(いわゆるウンチク無し)かと、ちょっと斜に構えて読み始めたが、大満足の蘊蓄っぷりでした。そして、やっぱり鉄に着地していくという安心安定っぷり。やっぱりこうでないと(笑)。 ...続きを読むメイン時制は文化の大火の3年後1809年江戸藤沢宿の飯盛遊女お初と間夫の勝道。この勝道が所謂タタルポジ。今までも高田本で語られた鎌倉やイナリをはじめいろんな蘊蓄が随所に散りばめらる。平行して江ノ島の話と初x勝の江ノ島詣へ。江ノ島は興味深い話が多いが、其中でも白菊の稚児ケ淵がメインイベントになる。江ノ島は公界、いやはや、最終決戦はちょっとカンナとか鬼神伝だが、大人向けでとてもビジュアルの良い活劇になっている。付録の歌舞伎台本風短編、小鍛冶高田版の小狐丸異聞も面白かった。 お能の中でも小鍛冶が好きな演目なんだが、やっぱりすんごいエンターテイメント性のある演目なので、文楽や歌舞伎その他でもリメイクされていて、文楽の小狐丸とか、めちゃ推せる。小狐丸人形がめちゃくそカッコ良い。 ちなみに、小狐丸(太刀のほう)は九条家がもってたらしいが、現在は所在不明。宗近が作った太刀”三日月宗近”は、おね(秀吉正室)の遺品として徳川秀忠に伝わり、その後徳川家が所有していた。現在東博が所蔵している。秀忠ちゅうと、赤子の時に長兄が切腹、次兄が秀吉に養子/人質、正室小姫が織田信雄の長女、のち秀吉の養女。 以前、江ノ島を攻めた時に、色々と思ったことが ブワーッと思いだされる読書だった。 もう7年前!!! 光陰矢の如し!! ということで、7年前のログのコピペ 稚児ヶ淵 建長寺広徳院の自休和尚がこの島の弁財天に願掛けに来た時に、鶴岡八幡宮相承院の美稚児白菊に一目惚れ、物狂いした自休和尚に力ずくでテゴメにされた白菊がこの淵から身投げ。追って自休も同じ淵から身投げをした。というような話。白菊、見た目がまず超のつく美少年、それに白い菊よ菊!禁欲に悶える肉欲僧には酷すぎるストレートにエロ名前やったんやと思います。狂たんやろうねぇ、そりゃもうねぇ。 そこらへんの高田解釈は、魔性の美童白菊的に描かれてて、これがまた(風と木の詩のジルベールを連想した)、これは拒めんかもしれん。 歌舞伎隅田川物の”桜姫東文章”修行僧清玄はこの自休さんが生き残って、白菊の生まれ変わりが出てくるお話で、枕で稚児ヶ淵のことが語られるちゅうのもあって、結構有名心中。 まぁ、上から見る限りちょっと自殺するには高さ深さ荒さが足りずに痛い思いをするだけのように思えないこともないが、しけった時はええあんばいなんだろう。
面白かった。久し振りの高田崇史。昔、QEDシリーズは、よく読んでた。 物語と歌舞伎の台本という構成も面白かった。ちゃんと謎解きもされている。
神奈川県の江ノ島を舞台にした時代劇ホラーと思いきや、実は稚児に恋した僧侶の悲しいお話です。 江ノ島へ行かれたことがあればよりお話の世界観に浸れて楽しめるかと。 江ノ島の洞窟や波が打ち寄せる稚児ケ淵、遠方を見渡せる岩壁の茶屋。 子供の頃に何度も行き、何となくじっとりとした不気味さを感じたりしていました...続きを読むが、江ノ島奇譚を読んでようやく納得したような気になります。
昔の時代の話にしては読みやすそうでしたが、理解するのが難しいことが多くありました。私の知識不足かもしれません。きっと話が分かる人には楽しめる本だと思います。
丁寧な説明で江ノ島の物語、蘊蓄がよくわかるが江ノ島をよく知らないのでそうなんだぁで終わってしまう。歌舞伎も吉原と一緒だったとは。。 この老僧と稚児の話が本当なら知識が増えた。
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江ノ島奇譚
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高田崇史
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