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マルクスとエンゲルスの出逢いを阻止することで共産主義の消滅を企むCIAを描いた歴史改変SFの表題作をはじめ、零落した稀代のマジシャンがタイムトラベルに挑む「魔術師」、名馬スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる青年の感動譚「ひとすじの光」、音楽を通貨とする小さな島の伝説「ムジカ・ムンダーナ」など6篇を収録。圧倒的な筆致により日本SFと世界文学を接続する著者初の短篇集。解説:鷲羽巧
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Posted by ブクログ
短編は作家の実験の場であると同時に、読者からするとその作家が自分に合うか確かめる材料でもあると考えている。 小川哲さんはすでに十分面白いことは分かっていたが、これはさらに上回った。解説にもあるようにSF×文学×ミステリの装いもあり、時間を超えた物語が6つ。どれも意外な場所に連れて行ってくれる作品で『...続きを読むムジカ・ムンダーナ』が個人的には一番好き。小川さんの作品は父と子がテーマとなっていることが多い。相容れなかった関係性の謎が解き明かされた時、違う景色が見える。 なんて面白いんだ。
短編小説集とは知らず ゲームの王国を読んで以来、小川哲さんにひかれ 全部読みたいと思って購入しました。 6作品いろんな顔をもつ話で こんなにあちこちからよく思いつくなー と本当に感心しました。 どこか哲学的であるところ 哲学や、外国の話が日本人が書くから 読みやすいのも魅力ではないでしょうか? ...続きを読む特に好きなのは ムジカ・ムンダーナ 最後の不良 嘘と正典 SFの世界と本当の世界のギリギリのラインを 攻めるところが、現実味のある ありえるかも的な面白さで 引き込まれました。 薄い本なので、ぜひ手にとってみて欲しいです。 君が手にするはずだった黄金について も全然日常的ながら、SFよりではないのに 最近とても面白かったし 内容や、書き方も 幅が広すぎる、素晴らしい作家さんです! 余談 地図と拳も読みたいけど、太すぎてー 電子書籍を利用してないので 電子書籍端末を買おうか悩むくらい。 でも、まだ本がすきなんですよねー 本の匂いと、質感がたまらなく好きで 本好きの方はもう電子書籍にしてるんだろうかー??
Audibleで聴いた。 短編集。 表題作の、「嘘と正典」がとても面白かった。 それ以外は星4。 「嘘と正典」は、ハラハラドキドキするし、どうなるのか続きが気になった。 「魔術師」の冒頭は、怪盗キッドも同じようなこと言ってた気がして引き込まれた。
どれも面白かった。文庫の表題にもなっている「嘘と正典」はスケールも大きくてハラハラさせられるし、あったらヤバイという恐怖感でハマる。 全体的には父親と子供との確執とか、未来からのメッセージとか、そう言う色合いが濃かった。宗教とかイデオロギーとか、そういう色は他の作品に比べて薄めだったが、作品中に見...続きを読むせる音楽、手品、文化などの知見の広さ、鋭さ、そしてそれを文章にする技量の高さに、いつものように感心させられた。
嘘と正典(小川哲/ハヤカワ文庫) 「地図と拳」で直木賞を受賞した小川哲さんの中短篇小説集。簡潔に言えば、めちゃくちゃ面白い小説。小説に没頭して夜中まで読んでしまうということは多々ありますが、本作では読みたくて早起きしてしまいました。 勝手に分類するとミステリー1篇、家族史的人生ドラマ1篇、修辞的...続きを読む歴史ドラマ1篇、家族史的ファンタジー1篇、ショートショート的1篇、伝奇SFミステリー1篇の6篇。 どれも面白く読めます。その中で凄いと思ったは「嘘と正典」、「ひとすじの光」、「魔術師」。 「嘘と正典」 100ページの中篇ですが、物語の骨格というか前提が凄いです。この内容であれば、1篇の大長編小説にしてもよかったのではと思うくらいの濃い内容。冒頭の裁判シーンから結末まで、緊張が続き、読み終えた後の開放感は快感でした。 「ひとすじの光」 競馬の好きな方は必読。「なるほど、こう来たか」というのが素直な感想。昌次郎の言葉んk罪悪感を覚えました。 「魔術師」 面白いとしか書けません。 どの作品も作者の発想に驚かされます。文庫本裏の紹介文は余計です。何も知らずにガツンとやられるのが本書の正しい楽しみ方と思います。「圧倒的な筆致により日本SFと世界文学を接続する」は大袈裟ではないような気もします。
小川哲の多才
村上ラジオのプレ番組でのレギュラー出演で知り、地図と拳に打たれ、この作品で改めてその多才さを知りました。音楽の話も、馬の話も手品の話もみんな楽しい、小川さんを知ることができて良かった。
#癒やされる #感動する #カッコいい
#最後の不良 アパレル時代を思い出した。 30ページ弱やけど、これ読む為だけでも買える1冊。 #嘘と正典 面白い。600ページにしてくれても良い。 共産主義が生まれなかった世界線を考えさせられる。
表題作の中篇を含む6篇の短篇集。また、時間を題材にした作品集でもありました。 どれも良かったですが、特に気に入ったのが 『魔術師』『ひとすじの光』『嘘と正典』です。 『魔術師』 売れっ子マジシャンとして大成した父は、積年の夢だった「魔術団」を結成します。しかし、天才的な演出力や演技力があっても、事...続きを読む業を取り仕切る才に欠け、借金を重ねて零落し、ついには妻と離婚して姿を消します。 ある時、再び表舞台に復帰した父は、僕と姉を公演に呼び「仕掛を見破って、恥をかかせたくないか?」とマジシャンになっていた姉を挑発してきます。はたして、父の人生を賭けたタイムトラベルマジックは本物なのか… マジシャンがやってはいけない三つのことという「サーストンの三原則」。これに挑戦するという演出から、過去の好きな時間に飛ぶ片道のタイムトラベルは、アニメ『シュタインズゲート』のバイト戦士(鈴羽)の手紙を思い出して、涙腺が緩みそうになった。ラストは、読者に想像を任せる終わり方なので、謎は謎のままですが、これはこれでいいと思いました。 『ひとすじの光』 亡き父の残した競走馬と病室で書いていた未完の原稿。生前は、相続に関する手続きをほぼ終えてしまうほど几帳面だっただけに、競走馬の処遇を決めずに逝ってしまったのが謎でした。 その謎を解くため、父の原稿を読み始めたところ、スペシャルウィークの系譜を遡るところから始まっていた… 実在のダービー馬であるスペシャルウィークの血統を遡って行くうちに、作家の息子が父の思いを理解していく感動作。終盤は、まるで競馬の実況を聞いているような臨場感。ラストは、そこから新たな物語が始まるかのような終わり方が秀逸でした。 『嘘と正典』 時は米ソ相対する冷戦時代。ある日、モスクワ駐在の米大使館員(CIA工作員)が、接触してきたソビエトの電子電波研究所の技師から機密情報を得るようになります。周囲はKGBの監視が張り巡らされた、不自由な諜報活動。そんな中、技師は偶然にも「過去にメッセージを送る方法」を発見します。 それを知ったCIA工作員は、自分の過去に影を落とす共産主義を消滅させるため、マルクスとエンゼルスの出会いを阻止しようと歴史改変を試みます… ミステリではないですが、伏線の回収が見事ですね。後半は、スパイ小説さながらのハラハラドキドキしながらの読書でした。しかしながら、何をもって正しい歴史とするのかとか、最後はいろいろ考えさせられました。
SFはあまり読まないですが ハイレベルなSFなんだろうということは分かる笑 クリストファーノーランを文章にした感じ
6篇の短編集。「ひとすじの光」と「ムジカムンダーナ」父親が亡くなったことにより残された息子が宿題を解く物語だと思った。「嘘と正典」が一番面白かった。最初に書かれた部分をよく覚えておくと最後になるほどと納得する。
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