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なぜドストエフスキーの作品は百五十年の時を越えて読まれ続けるのか? ソ連崩壊と冷戦終結、中国の台頭、そしてコロナ禍。時代が激しく変わり続ける今なお、ロシア文学最大の作家による長編には現代人が生き延びるための知恵が込められているからにほかならない。人は国家に抗えるのか、どうすれば自己実現できるのか。最高の水先案内人による超入門、ドストエフスキーを読む前に読む本。
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Posted by ブクログ
ドストエフスキー作品は、「罪と罰」にせよ、「カラマーゾフの兄弟」にせよ、ちゃんと読んではいない。粗筋は知ってる程度。が、今回、解説書を読みたいと思ったきっかけは、聖書を勉強している知人が「聖書が分からないと西洋文学は分からない。特に“罪と罰”とかね!」と言うのを聞いたこと。「えっ、“罪と罰”ってキリ...続きを読むスト教的か?」となぜかひどく疑問に思い、ドストエフスキーの世界観を確かめたくなった。 当初、江川卓さんの解説書を手に取ったが、専門的(細かい)過ぎるため、ひとまずパスして、本書に変更。 著者の講演録でドストエフスキーの5大小説を語る方式となっている。各作品の全てを網羅する訳ではなく、核となる部分に絞って解説されている。くだんの「罪と罰」については、“ラザロの復活”と、“大地に口づけしなさい“というソーニャの言葉について。 ハイ、私の疑問を払拭してくださる、素晴らしい解説でした! 著者はジャーナリストの方と思っていたが、大学の神学の先生だった。なるほどね。 ドストエフスキー作品は、難解でいろいろな読み方ができる。心理、哲学はもちろん政治、宗教がない交ぜとなっているので、著者がおっしゃるところの「読み筋」を持つことが大事だと思う。 (しかしながらキリスト教も、ロシアは“ロシア正教”だから、解釈が一筋縄ではいかない 泣) が、それだけに探訪の価値がある。世相を強く反映しているにも関わらず普遍的、現代の生きづらい世の中で、また注目を集める理由がわかったような気がする。とはいえ、佐藤先生の解説も、何回も読まないと理解できないので、本書は鞄に入れて持ち歩き、読み直すつもり。
佐藤優氏の主に宗教に対する丁寧な解説をもとに、キリスト教だけでなく、カトリックとプロテスタント、そしてロシア正教の違いを知ることで、ドストエフスキーの作品の理解が深まる。 それでも難解ではあるが、この内容を踏まえて読むのと、未知のまま読むのとでは、大きな差が出るはず。 改めてドストエフスキーを読み直...続きを読むさないと。
カラマーゾフの兄弟を読んでいるところなのだが、自分の力量でわかるはずもないので参考書を読んでいる。背景や生い立ちを知ることで、作品に理解が深まりそうだ。
身も蓋もないが、究極的にはこの一文に尽きる。 “補助線がないと古典はなかなかピンと来ないし、無自覚に補助線を使っていることもあるし、そのへんが厄介なところです。結局、こんな補助線もあるんだ、といろいろな読み筋を知っておいたほうがいいんですね。” 本書も間違いなく日本人のドストエフスキー論としては...続きを読むトップクラスに質の高い『補助線』だと思うが、とにかくドストエフスキーを味わい切ろうとすればまだまだ色々なアングルからの読み方を知る必要があることを痛烈に感じた。 それにつけても、当時のロシア社会の論点やドストエフスキーの生涯といった最低限の土台を押さえなさいという注釈も無く、一足飛びに『カラマーゾフ』を薦めるなどというのはナンセンスだと思うし、それを間に受けてただ『カラマーゾフ』だけを読み切り「俺はカラマーゾフを読破した側の人間だ」などと悦に入るのは本当にやめた方が良い。
佐藤優のドストエフスキー入門、さすがに奥が深い。キリスト教とロシアに深い知識がないと、、、難しい。でも彼の解釈で深い理解につながった。ホリエモンやプーチンについての解釈も面白く読んだ。
ロシアの土壌で変質したキリスト教をバックボーンにしたドストエフスキー作品の超解説。日本人の感覚として普通に「良き人」と思える聖者も主流キリスト教神社的には異端であることが多いことに気づいた。考えてみれば当たり前なんだけど本を読んで「違うこと」や「多様性の存在」に気がつけたのは良かったな。 とは言え欧...続きを読む米人の考え方の基本になっているキリスト教の考え方って倫理や哲学の範疇でしか読んでこなかったので圧倒的に知識不足であることを認識した。さっそく聖書アプリをインストールしてちょっとずつ読んでみることにした。 そしてまたドストエフスキー作品を読み直してみよう!
『未成年』こそがドストエフスキーの(いったんの)集大成で、『カラマーゾフ』はそれを敷衍した第一作だというのは首肯できるところ。マルメラードフが実はエリートなのだとか、キリスト教というよりは大地への信仰だといったところはソ連/ロシアに精通した著者ならではの視点だと思った。『悪霊』と『白痴』についてはそ...続きを読むれほど面白い視点はなかったが、『罪と罰』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』の章については読む前・読んだ後・読んでいる最中に参考にしてみるとより面白く読めると思う。
知り合いに佐藤優さんの解説書である本書をお勧めされたので読んでみた。正直な感想は、ドエトエフスキーの本はこんなに難しいのかという気持ち。佐藤さんの解説がなければほとんど意味がわからないのではと思ったくらい。それでも、本書のおかげで、ドエトエフスキーのロシア正教への考え方や、今のプーチンの思想にも通じ...続きを読むて来るロシアの歴史や哲学を学ぶことができたのはとても面白かった。いつか、罪と罰などの作品に挑戦したい。
五大長編について、それぞれ一部を切り取って佐藤氏独自の視点で解説。 エッセイ等でドストエフスキーに影響を受けたと書いている作家は実に多い。 この解説書を入り口に改めて紐解いてみたい。
この数年ドストエフスキーを読み、Eテレの亀山先生の100分de名著を視聴している。おさらいのつもりで購読。 「罪と罰」小学生のころ、読んだきり。 主人王はシベリア送りの後も反省や後悔はしていないとの指摘。へ~。読まないといかんなあ。 「白痴」高校時代に読み、40年後に読み直す。 ムイシュキンを無...続きを読む垢で純粋なだけの人間とする見方に佐藤さんは疑問を投げ掛ける。攻撃的で、自分の偏狭な価値観に固執し、周囲を破壊していく存在と。 ロゴージンの暗い情熱とナスターシャの破滅志向がこの恐ろしい物語の原因だと思っていたが、佐藤さんはムイシュキンが触媒になっているという。 ロシアのキリスト教の話は面白った。しっかり理解できたかというと怪しいけれど。この罪深い物語のような世界だから、救済は逆説で、無力で、神は沈黙せざるを得なく、そこに神の愛のリアリティが示されるというのは、正直納得していない。 「悪霊」数年前に読む。スタヴローギンをもっと描いてほしかったと思った。 ステハンは滑稽な道化役と思ったが、人民の中に入っていけというナロードニキを表しているんだろう。対して、ニヒリストたちは農民の教化は無理だから、社会の上層部を抹殺して、自分たちが入れ替わればよいとすると佐藤さんは示す。築くべき社会の展望もなく、破壊のみを目的とする。 しかし、スタヴローギンは彼らと交わろうとするわけでもない。神と同じく悪霊もこの世に満ち満ちている。悪霊を信じることで、神の愛のリアリティを感じるというのは、正直、難しくて判らない。 「未成年」読んでない、というか、この小説知らなかった。 ドストエフスキーが資本主義を理解していなかったというのは納得。カラマーゾフでも長男ミーチャが金を借りようと騒動を起こしまくるけど、働くという思考は皆無だ。ホリエモンも未成年だという指摘は成程ねえと思う。 「カラマーゾフの兄弟」数年前に読んだ。時間がたつと、一番重要なのは次男のイワンのことなんだなと思う。長男ミーチャのことが面白くて、主題が分からなくなるけれど。 佐藤さんは大審問官について詳細に分析。イワンと悪魔との対話もやって欲しかったな。 長老ゾシマはキリスト教として異端という指摘は意外だった。死後の遺体腐食もそこに原因があるという。 未読の罪と罰、未成年を読んで、いくつか読み返したほうが良いんだろうな。
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