作品一覧

  • ラヴェンナ:ヨーロッパを生んだ帝都の歴史
    5.0
    1巻8,613円 (税込)
    「ヨーロッパの祖母」となった都市の盛衰 ローマ帝国の中心がコンスタンティノープルに移った4世紀末、西方に新しい都が台頭する。イタリアの都市ラヴェンナにおいて、アリウス派のゴート人とカトリックのローマ人は競って、比類なき建造物とモザイクを次々と創りだした。以来300年にわたりこの町は、学者・法律家・職人・宗教人を魅了し、まぎれもない文化的・政治的首都となる。この特筆すべき歴史をみごとに蘇らせて、本書はイスラーム台頭以前の地中海世界の東西の歴史を書き変え、ビザンツ帝国の影響下にラヴェンナが、中世キリスト教世界の発展にとっていかに決定的な役割を果たしたのかを明らかにする。 全37章の多くは、皇后ガッラ・プラキディアやゴート王テオドリックら支配者から、古代ギリシアの医学をイタリアに蘇らせた医師の業績まで人物に注目しつつ、多様な民族・政治宗教勢力のるつぼであったこの都市がヨーロッパの基礎を形づくっていくさまを追う。そして、都市史をより広い視野から地中海の歴史のなかに位置づける。 美しい図版と最新の考古学の知見によって、ヨーロッパと西方の文化へのラヴェンナの深い影響について、大胆かつ新鮮な解釈を提供する1冊。
  • ビザンツ帝国の最期
    5.0
    1巻3,861円 (税込)
    ひとつの国の滅亡の過程をつぶさに描く 1453年5月28日、ビザンツ帝国皇帝コンスタンティノス11世は、コンスタンティノープルを包囲するオスマン・トルコ軍に対し最後の戦いに臨もうとしていた。出陣に際しての演説は、「たとえ木や石でできた者であっても涙をとめることができなかった」と言われるほど感動的なものだった。翌未明、城壁がついに破られたと悟った皇帝は、死に場所を求め敵中に突入する── 悲愴で劇的な、長らく語られてきた帝国滅亡の場面である。だが悲しいかな、この出来事を伝える記録は偽作であることが今日では判明している。では実際にはどうであったのかを、当時の他の記録を見ていきながら、その背景にあるビザンツ人の価値観や複雑な国際政治の現実を、最新の研究成果を盛り込んで分析したのが本書である。 同じキリスト教の西欧諸国は、かつて十字軍で都を征服した敵でもある。一方、かなりの期間、ビザンツ人とトルコ人は必ずしも敵同士ではなく、日常レベルでは平和に交流していた。両者のはざまで、皇族から都市民衆まで個々人が、危機に際してどういう選択をしたか、著者は包囲戦の百年前から帝国滅亡後の人々の動向まで描いていく。
  • 歴史学の慰め:アンナ・コムネナの生涯と作品
    4.5
    1巻3,168円 (税込)
    皇女にして、西洋古代・中世でただひとりの女性歴史家 歴史学は何のためにあるのだろうか? 私たちがより良い未来を生きるためである。しかし辛い日々を送る者にとって、歴史学が生きる糧となることもあった。歴史学が男の学問だった西洋古代・中世にあって、アンナ・コムネナは、不幸な我が身への慰めを歴史学に見いだした。ビザンツ帝国中興の祖である父アレクシオス一世の治世を描いた『アレクシアス』は、こうして誕生した。 権威ある「緋色の生まれ」としての誇り。皇帝である父への敬愛。皇妃となっていたはずの人生。ヨハネス二世となる弟との確執。アンナは、政治や戦争といった公のことがらについて真実を伝えるのが歴史家の務めであることを承知のうえで、自身の人生や溢れくる思いまでも歴史書に盛り込んだ。 本書は、第一部でアンナ・コムネナの数奇な生涯を語り、第二部では、ビザンツ歴史文学の最高傑作と言われる一方で批判も受けてきた『アレクシアス』を、ビザンツの歴史学や歴史書の性格、ビザンツ知識人にとって歴史学とは何だったのかという文脈から分析する。そして、長らく指摘されてきた年代の誤りの謎や、世界の翻訳者たちが苦心してきた不可解な記述の謎をも考察していく。
  • 生き残った帝国ビザンティン
    4.8
    1巻1,210円 (税込)
    ローマ皇帝の改宗からコンスタンティノープル陥落まで 「奇跡の1000年」興亡史 栄華の都コンスタンティノープル、イコンに彩られた聖ソフィア教会……。興亡を繰り返すヨーロッパとアジアの境界、「文明の十字路」にあって、帝国はなぜ1000年以上も存続しえたのか。キリスト教と「偉大なローマ」の理念を守る一方、皇帝・貴族・知識人は変化にどう対応したか。ローマ皇帝の改宗から帝都陥落まで、「奇跡の1000年」を活写する。
  • ビザンツ皇妃列伝 : 憧れの都に咲いた花
    4.0
    1巻1,045円 (税込)
    ビザンツ帝国千年の歴史を、政治の転換点に皇帝の妃となった、庶民から王女まで8人の女性たちの人生を通して読む一冊。政治や宗教の変動の中に、人間の哀歓が浮かび上がる。

    試し読み

    フォロー
  • ビザンツ帝国の最期

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    これはとても面白かった。名著だと思う。ビザンツ帝国の最期50年ほどの歴史をロマンではなく人々が自分たちの生活のために行う駆け引き、保身、国内の権力闘争の結果として生き生きと書いていて、カトリック、イスラームとの宗教上の軋轢もあくまでそれらの手段であり、戦争と交渉によって使ったり引っ込めたりされる様子は面白い。ビザンツ帝国、オスマン、ジェノバやヴェネツィアなどの諸都市、ローマ教皇、それぞれの内側に派閥や駆け引きがあるかなり複雑な過程なのだが、引き込まれてするすると読まされてしまうのはすごい。同じ名前の人が何人もいるのでたまに混乱はするし、もちろん個々の人物の内心まですべてが分かるわけではないけれ

    0
    2023年01月21日
  • ラヴェンナ:ヨーロッパを生んだ帝都の歴史

    Posted by ブクログ

    ラヴェンナの栄光の時代、400年頃から800年頃までを扱う。ガッラ・プラキディア、東ゴートのテオドリック王、ユスティニアヌス大帝、さらに歴代のラヴェンナ司教や逸名の世界誌家、カール大帝などーーラヴェンナに大きな足跡を残した人物を軸に歴史が描かれる。ラヴェンナから見たローマ、ビザンツ、東ゴート、教皇、フランクの歴史とも言える。一つ一つの章を積み重ね、ヨーロッパの誕生につながる終章へと導く記述。聖ヴィターレのモザイクもヨーロッパ誕生に関わる重要な要素であった。ラヴェンナはまさに「ヨーロッパという合金を生み出した坩堝」だったのだ!

    0
    2023年01月09日
  • ビザンツ帝国の最期

    Posted by ブクログ

    最末期のビザンツ帝国の構成した様々な個人の動向を中心に、15世紀始めの首都包囲から滅亡までを描く内容。単純化できない多様な意思決定の叙述や滅亡後の離散の状況など非常に興味深い点が多かった。

    0
    2022年08月19日
  • 生き残った帝国ビザンティン

    Posted by ブクログ

    要衝の地に位置しながら約千年に渡って存続した帝国の歴史を、コンスタンティヌスから滅亡まで辿る内容。存続の要因となった各時代における帝国の変容が分かりやすく叙述され、ビザンツ史の概要を掴むことができる良書。

    0
    2022年08月02日
  • 歴史学の慰め:アンナ・コムネナの生涯と作品

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    西洋中世の女性歴史家、アンナ・コムニナの生涯と作品を一冊にまとめている。第一部では、彼女の生涯を辿り、第二部ではギリシャ以来の歴史学の伝統、作法を踏まえて、アンナ・コムニナが『アレクシアス』を書いた内容を精細に分析する。

    歴史学が男性の学問であるが故に、歴史学の正統を標榜しつつも、歴史学から逸脱し、そして歴史学に名を残すことになったアンナ・コムニナの偉大な業績を知ることができた。

    特にアンナ・コムニナの誤謬とされている年号についての誤りを、史料から丹念に辿り、アンナ・コムニナの執筆態度、執筆方針、そしてギリシャ以来の戦法とトルコ人の戦法までも絡めながら、一つ一つ読み解いていくのが、歴史学の

    0
    2022年07月19日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!