作品一覧

  • あなたと原爆~オーウェル評論集~

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    開高健が言及していた (と記憶している) 『象を撃つ』を目当てに購入した。

    せいぜい十数ページのエッセイにこれほどまでに魅了されるとは思ってもいなかったのだが、その卓越は凡そ次のようなところだろう。
    ライフルで頭部を撃たれた象はその肢体から力を失い頽れる。殺到するビルマの群衆。なかなか事切れない象にさらに銃弾を撃ち込むも血が溢れるばかりで、あまりの痛々しさにその場から逃げ出してしまう。オーウェルにその引き金を引かしめこのスペクタクルを演出したのは、白人は主人然としてなければならないという情けない矜持だったのだ。オーウェルにそれなりに深い罪の意識を植え付けたのがいかにつまらない動機だったか。そ

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    2023年09月20日
  • あなたと原爆~オーウェル評論集~

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    ジョージ・オーウェルの評論集。
    16編の短編が4部構成で収録されている。
    1部ではオーウェルの鋭い視点や先見性、2部から3部ではその表現力や観察力、4部では人間らしさが垣間見える構成になっていると感じた。
    どれも大体70年前くらいに書かれた作品であるが、現代を生きる上でも大切な知恵が得られる本だと思った。
    特に印象に残っているのは以下の4作。

    表題作「あなたと原爆」
    10ページ程度だが、内容はページ数以上に濃く、本の初めから圧倒された。
    オーウェルの鋭い視点や思考、先見性が凝縮されているように感じ、この最初の作品だけでもこの本を読んでよかったと思えた。
    WW2終戦の年に、核兵器の出現によっ

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    2023年02月24日
  • あなたと原爆~オーウェル評論集~

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    一九八四年で有名なジョージ・オーウェルのエッセイ集。いずれも1940年代という第二次大戦前後の世情を真摯に批判的に記している。
    当時の時代背景や英国、欧州の国民意識などわからない部分もあるが、現代に置き換えても通ずる内容。これこそが訳者の選定基準なのだろう。
    主義や思いが先にあり根拠を後からつけるということは多々あるが、それを他人事とせず、またそうなってしまうことを当然と開き直ることもなく自省する姿勢を持たなければ。
    2,3章の印象が強いが表題をこれにしたのは、日本人にとって原爆のインパクトが大きいからだろうか。

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    2022年02月14日
  • あなたと原爆~オーウェル評論集~

    Posted by ブクログ

    慧眼だけでなく、オーウェルの「動く人」としての人間臭さが感じられた。
    「象を撃つ」の描写力には打ちひしがれざるを得ない

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    2021年03月02日
  • あなたと原爆~オーウェル評論集~

    Posted by ブクログ

    これが1945年前後(表題作はまさしく1945年)に書かれたものというから、その先見性に驚くしかない。
    冷戦構造しかり、国家とテロの関係やナショナリズム、差別の問題とまるで現代を論評しているようだ。
    アメリカでトランプ大統領が誕生した時、「1984年」がベストセラーになったという。歴史を自身の都合で書き換え、監視によって言論の自由も奪う世界なんて小説のなかだけで許してほしいけど。

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    2019年10月01日

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