作品一覧
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3.8私の身体は、生き抜いた時間の証として破壊されていく 「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」 圧倒的迫力&ユーモアで選考会に衝撃を与えた、第128回文學界新人賞受賞作。 打たれ、刻まれ、いつまでも自分の中から消えない言葉たちでした。この小説が本になって存在する世界に行きたい、と強く望みました。 ――村田沙耶香 小説に込められた強大な熱量にねじ伏せられたかのようで、 読後しばらく生きた心地がしなかった。 ――金原ひとみ 文字に刻まれた肉体を通して、 書くという行為への怨嗟と快楽、 その特権性と欺瞞が鮮明に浮かび上がる。 ――青山七恵 井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。 両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだす――。
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
とにかくすごい小説、というか文章でした。ここまで生々しい怨嗟を小説から感じたのは初めてだったと思います。
語り手となるのは生まれつき難病を抱え、呼吸器なしでは生存できず、親の遺産とヘルパーさんの介護で生活が成り立っている女性。
大学の通信課程に通い、ネットライターの仕事とSNSでの過激なつぶやきで、かろうじて社会とつながっていた彼女は、ある日ヘルパーの一人にSNSアカウントを知られてしまい……
著者の市川さん自身が主人公と同じく、先天性の病気のため呼吸器と車椅子を使用する重度障害者です。そのため主人公の日常と、健常者への思いがあまりに生々しい。
自分が普通に本を読むこと。学校に行 -
Posted by ブクログ
間を置くことなく読み終えた。
著者について知らずに読んだが、知った後でこの本との向き合い方は変えずにいたい。
逆に作中では、健常者の特権性に対する怨恨が純度高く描かれるが、そこに萎縮してしまうと、この作品の価値を下げてしまう気がする。
物語中盤、釈華は田中に素性を知られていることを告げられる。その後も攻撃的な態度をとる彼に、釈華は言葉では抵抗しているつもりでも、次々を弱さを見せる場面がある。そして、田中自身も最後まで済ますことなく、また悪人になりきることもできず、離れていく。
そのリアリティが、自分とは遠く離れた世界のようで、自分の生きている世界なのかもしれないと認識させる。
高火力で、