J・G・バラードの作品一覧

「J・G・バラード」の「旱魃世界」「太陽の帝国」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 旱魃世界
    4.5
    1巻1,188円 (税込)
    十年ほど前から徴候を見せていた世界的な旱魃は、ここ五カ月のあいだ、各地で急速に文明社会を崩壊させつつあった。マウント・ロイヤル市の住人たちが競うように水を求めて海岸へと殺到する中、医師ランサムはハウスボートの船上で、破滅まで引き延ばされた時間を緩慢と生き続けていた。やがて、妄執に囚われた建築家ローマックスの不穏な企みをきっかけに、彼も海を目指して南下を試みるが……生物を拒絶するように変質する世界をシュルレアリスム絵画のように描き出した、バラード〈破滅三部作〉の一端をなす『燃える世界』の完全版、本邦初訳。/解説=牧眞司
  • 太陽の帝国
    4.0
    1巻1,527円 (税込)
    第二次世界大戦の波が押し寄せつつある国際都市上海。共同租界に暮らす西洋人の日常は、本格的な日本軍の侵攻によって一変した。混乱する街中で両親と離ればなれになったイギリス人少年ジムは、西洋人が連れ去られた街で遺棄された屋敷やアパルトマンを転々として生き延びようとするが、やがて日本兵に捕らえられ、龍華収容所へと送られる──〈破滅三部作〉などで知られるニュー・ウェーヴSFの旗手が、その創作活動の源となった少年期の実体験に基づき書き上げた本書は、ブッカー賞の候補となって一躍文芸界でバラードの名を高らしめた。瞠目の傑作長編を新訳決定版にて贈る。/解説=柳下毅一郎
  • ミレニアム・ピープル
    4.0
    1巻1,222円 (税込)
    首謀者不明のうえ犯行声明もなかったヒースロー空港の爆破テロは、精神科医デーヴィッドの前妻ローラの命をやすやすと奪った。その無意味な死に何らかの意味を見出そうと、デーヴィッドは様々な社会運動に潜入してテロの首謀者たちを突き止めようと試みる。やがてテロ組織の一員である謎の女ケイに辿り着くが、その出会いは彼らの指導者である医師グールドが計画した、中産階級の聖地チェルシー・マリーナでの実験の始まりを意味していた。一般市民が無差別的テロ行為を娯楽として消費する近未来を描く、20世紀SF最後の巨人バラードによる黙示録的傑作。/解説=渡邊利道
  • ハロー、アメリカ
    3.5
    1巻1,018円 (税込)
    エネルギー問題が引金となった経済破綻により、21世紀初頭、アメリカ合衆国は崩壊し放棄され、さらには世界的な気候制御の失敗によって砂漠と化した。そして1世紀が過ぎたある日、蒸気船に乗った小規模な探険隊がイギリスを出港し、ニューヨークに上陸する。密航した21歳の青年は、自分がこの国の新しい支配者、第45代大統領となることを夢見るが……。わずかな残存者のいる諸都市を探訪し、アメリカの夢と悪夢の残滓に邂逅した探険隊の記録を通じて、予言者バラードが辛辣に描き出す強烈な未来像!
  • ハイ・ライズ
    3.5
    1巻968円 (税込)
    【映画化原作】ロンドン中心部に聳え立つ、知的専門職の人々が暮らす、新築の40階建の巨大住宅。1000戸2000人を擁し、マーケット、プール、ジム、レストランから、銀行、小学校までを備えたこの一個の世界は事実上、10階までの下層部、35階までの中層部、その上の最上部に階層化されていた。その全室が入居済みとなり、ある夜起こった停電をきっかけに、建物全体を不穏な空気が支配しはじめた。3カ月にわたる異常状況を、中層部の医師、下層部のテレビ・プロデューサー、最上層の40階に住むこのマンションの設計者が交互に語る。バラード中期の傑作。/解説=渡邊利道
  • 旱魃世界

    Posted by ブクログ

    あっという間に暑い夏はすぎて秋。酷暑をふりかえりつつ、タイトルからして暑そうなバラードの作品を読む。燃える世界の改訂版の位置付けとのことですが、読みやすさも違う
    し、意味合いも違う文脈が多くなったような気がします。特にラストシーンなどかなり違うのではないでしょうか。これ翻訳の違いなのでしょうか?原文が変わったのでしょうか?

    読んだからといってこれからの人生が何か変わるかといえば何も変わらないですが、なんといってもバラードの魅力はそのシュール・リアリズムの絵画のようなビジュアルにも訴える強烈なイメージでしょう。この印象は一生残ります。「沈んだ世界」も再読してみよう。

    0
    2021年09月28日
  • ハイ・ライズ

    Posted by ブクログ

    借りたもの。
    祝・映画化記念の再販!
    映画鑑賞後に読んだことで、映画との明確な違いを意識する。

    映画では”ヴァニタス”――タワーマンションと階級社会に見る人間の傲慢とその儚さ――虚栄を強く意識させられたが、小説ではタワーマンションという空間での環境問題――近隣住民の心身に与える影響やテクノロジーは人間を幸せにせず暇を持て余した人間が刺激を求めて暴力的になってゆく様を強くしている。

    世界の縮図、閉じた円環の中で機能する完璧な世界を構想しながら、ただ高みへと目指す一方的な構造は次第に住んでいる人間を不安定にさせる。
    公共施設の不備や故障、次第に外界から孤立し、物資も滞ってゆく……
    階級意識と不

    0
    2016年08月25日
  • 旱魃世界

    Posted by ブクログ

    旱魃世界

    人類の愚かな振舞いにより、海からの水の恵みが途絶えた世界。
    湖は干からび川は流れを止め、生き物は死に向かい、陸地は砂漠化していく。
    人は海水を蒸留して得るわずかな水と引き換えに、愚かにも、更に塩で海を浸食していく。

    連想されるのはマッカーシー「ザ・ロード」でありマルセル・セロー「極北」であり、映画「マッドマックス」や「風の谷のナウシカ」だろうけど、水を求めて南へ向かう姿は、なぜかスタインベック「怒りの葡萄」をイメージしてしまう。

    主人公が「意識の中に携えてきた内なる景観(イナーランドスケープ)の周辺領域を越える旅」とは、なんだったのか……最後まで読んでも捉えることは難しい。

    0
    2024年02月14日
  • ハイ・ライズ

    Posted by ブクログ

    超高層マンションがディストピアになるSF作品。住環境から遊離した建物に居住していると人間を歪ませてしまう。

    0
    2022年12月31日
  • ハイ・ライズ

    Posted by ブクログ

    高層ビルに住む人々が、小さな綻びをきっかけにおかしくなっていく話。想像の範疇を超えた……という感じはあまりないし、淡々と話が進んでいく面があるのでスリルみたいなものはないが、普段から平然と平和に生きている自分の環境が当然じゃないかもしれない……という身近な所に恐怖を感じるという面で良い作品だった。

    0
    2022年11月25日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!