作品一覧

  • 石の聲 完全版
    -
    1巻2,189円 (税込)
    芥川賞受賞後、苦しみながら構想した大長編『石の聲』。没後発表され、単行本として刊行された第一章、その後新たに見つかった第二章と第三章の一部、『石の聲』執筆の苦心と意気込みが伝わる編集者への書簡、作家になる前に綴った胸を打つエッセイ、作家からの追悼文を収録した、オリジナル決定版。
  • 由煕 ナビ・タリョン
    3.9
    1巻1,265円 (税込)
    在日朝鮮人として生れた著者の、37歳で夭逝した魂の記録。差別と偏見の苦しい青春時代を越えて、生国・日本と母国・韓国との狭間に、言葉を通してのアイデンティティを探し求めて、ひたすらに生きた短かい一生の鮮烈な作品群。芥川賞受賞の「由熙」、そして全作品を象徴するかのような処女作「ナビ・タリョン」(嘆きの蝶)、「かずきめ」「あにごぜ」を収録、人生の真実を表現。
  • 刻

    3.0
    1巻1,265円 (税込)
    二つの国と二つの言語。夭逝した芥川賞作家の内面の葛藤を描く長篇小説――若くして亡くなった、在日韓国人女性作家。日本で生まれ育ち、韓国人の血にわだかまりつつも、日本人化している自分へのいらだちとコンプレックス。母国に留学し直面した、その国の理想と現実への想い。芥川賞作家の女の「生理」の時間の過程を熱く語る長篇と、「私にとっての母国と日本」という1990年にソウルで、元原稿は直接韓国語で書かれた講演を収録。 ◎アイデンティティを追求した李良枝の私小説は、「目に見えない」心のミステリーを解明しようとした鮮烈なテキストなのである。日本から、見知らぬ「母国」へやってきた「刻」の主人公は、だから、母語ではない母国語の文字の前で落ち着きを失う。その「私」の1日においては、だから、一刻一刻、親近感と距離感の間で心のゆらぎを覚えて、最終的には選ぶことができないのだろう。<リービ英雄「解説」より>
  • 由煕 ナビ・タリョン

    購入済み

    在日韓国人女性として生まれ日本で生まれ育ち日本語を母語としながら「民族」の違いゆえに日本に馴染めず、韓国に理想を託し出国するも、身体に染み込んだ日本性みたいなものを取りきれずそのため韓国にも馴染めない。日本では「在日文学」として分類されてしまいがちだけれど彼女の小説は世界文学としての普遍性を持っていると思う。「かずきめ」が個人的には胸に迫って来る迫力があり、忘れられない。

    0
    2024年06月02日
  • 由煕 ナビ・タリョン

    Posted by ブクログ

    二人の韓国人の目に映った一人の在日朝鮮人の姿が半年間ともに暮らした家の中の様子や近所の景色、思い出話などの中から蘇ってくる。日本に帰ってしまった彼女がまるで亡霊のように浮かび上がる。
    日本語を第一言語としている在日の彼女が韓国語に馴染めなかったのは、たんに韓国への嫌悪が原因ではないと主人公は考える。彼女の日本語へのこだわりはおそらく、それが生まれた時から体に染み付いている言葉だからだろう。しかし、かと言って日本語を使っていれば事態は丸く収まるというわけでもない。本人の言葉を借りるなら、言葉の杖が掴めない。彼女とのそんな会話を思い出した主人公は、まるで亡霊から一撃を食らったかのように、話に聞いて

    0
    2014年03月23日
  • 由煕 ナビ・タリョン

    Posted by ブクログ

    ゆひ から読み始める。
    なにこの人の文章の透明感。頼りなさそうにみえたら守ってあげたいってなるのかな。

    ナビタリョン 京都の旅館が印象的。ナビタリョンってなんの意味だろう。優しさってなんだろ。人種でなんで人は争うのだろう。

    あにごぜ ここにも人種の壁。兄弟っていったって知らんことだらけだろうな。


    かずきめ 姉といもうと。

    0
    2022年01月16日
  • 由煕 ナビ・タリョン

    Posted by ブクログ

    強烈な違和感の存在を心に留め置くことに

    平成元年、しかも第100回の芥川賞受賞作。

    平成になって1週間くらいで発表だったみたいですね。

    冒頭ナビ・タリョンという作品が李さんの生き様を表す基本の作品。両親の離婚調停、長兄が医療ミスのような形で動けなくなり、次兄が突然死。

    生まれも育ちも日本である主人公はルーツのある韓国へと旅立ち、そこで韓国の踊り、歌を習う。

    街並みで歌い踊るラストは愛子自身がナビ・タリョン、嘆きの蝶であるようです。

    続く「あにごぜ」「由熙」も同様に、きょうだいと、ルーツと日本との狭間で居場所を探し傷つく主人公たちの話なのですが、「かずきめ」だけ異色な、この本の中では

    0
    2015年09月10日
  • 由煕 ナビ・タリョン

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    圧倒的に優れていることは分かるんだけども、彼女が書く原動力は「在日」韓国人であることそれ一点から強烈に湧き上がってきていて、そのどこまでもただあふれ続ける様に気圧されてしまう。
    読んでいて「本当に、それはあなたがそんなにも幸せになれないことに見合うだけのことなのか?」と思ってしまう…。
    巻末の渡部直己氏による解説は、本文を読んだ後だと非常に納得の行くものだった。

    0
    2011年03月27日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!