作品一覧
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4.3
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4.0警察の歴史をひもとくとき、今日のようなシステムが整うに到るまでには、その道筋は一筋縄ではいかなかった。そこには長い歴史が存在する。ヨーロッパにおける警察組織の発達過程は、王権や教会、都市といった様々な権力機構と不可分の関係にある。ヨーロッパ王朝史研究を専門とする著者が、各時代の独特な捜査法を紹介しつつ、ヨーロッパで近代警察が誕生するまでの背景、更には警察史を通じて見えてくる「新しいヨーロッパ史」を描き出す。【目次】序章 江戸の「警察」組織/第一章 古代ローマ「警察」制度/第二章 中世の「警察」制度/第三章 中世の都市の発展/第四章 嫌われるウィーン市警備隊/第五章 パリ「警察」の成立/第六章 警察大改革前のイギリス旧警察/第七章 「ありがたき警察」と警察国家/最終章 近代警察の誕生/あとがきにかえて
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3.0
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ学者が日本語で書いた文章は形式張っていたり賢く見せたいだったりで読みにくいことがあるが、本書は読みやすい文章でスラスラ読めた。
著者の専門は中世から近世のようで、古代や現代の情報は薄い印象(というより中世〜近世がかなり厚い)。
私は「傭兵と言えば三十年戦争」と思っていたのでその様子が詳しく記述され、そして思っていた以上に酷い有様で書いてあったので満足している。
同時期に読んでいるフォン=クラウゼヴィッツの『戦争論』が軍人の立場から書かれたものなら、本書は戦争経験も徴兵経験も無い純粋な学者の側面から書かれたもので、その対比は面白かった。
特に、クラウゼヴィッツが著書のところどころで絶賛している -
Posted by ブクログ
現在のドイツやイタリア、更にフランスやスペインも少し入るような欧州の“中世”、日本史で言えば平安時代の半ばに相当するような10世紀の様子を背景に、合戦や謀略や政治的駆け引き、近親者間での愛憎や争い迄と、実に色々と在る群像のドラマが展開するような物語であった。壮大な大河ドラマが展開するという内容で非常に面白かった。
オットー1世(912‐973)が本書で語られる物語の主人公に据えられている。「ローマ教皇による戴冠で即位する“皇帝”」という概念はカール大帝(742?‐814)が創ったとされる。そのカール大帝が開いた帝位の伝統が途切れ、約40年ぶりにオットー1世は「ローマ教皇による戴冠で即位する“皇 -
Posted by ブクログ
主にオットー1世に関して伝記的に記述しており、オットー1世のローマ帝国=一つのヨーロッパを志向する国際意識が逆に「ドイツ」という国家意識を醸成することとなった、その過程を書いています。
歴史的事実を淡々と書き連ねていくというより、著者による推測や余談が合間に挟むことで、人を選ぶとは思うが、私は飽きることなく読み進めることができました。
著者が繰り返し述べているように、同名の人物が多数出てくるので、読み始めの時はわけがわからなくなるのではと思ったものの、こうした余談やユーモア溢れる人物描写によって人物を具体的に想像することができ、読み終わる頃には何となく漠然とした人物相関図が頭の中に出来上がり -
購入済み
複雑なことをわかりやすく
この著者の書いた「30年戦争」を読んで感銘を受けたので、通史としてのこちらの本も読んでみた。ヨーロッパ市の中でも特に複雑でわかりにくい神聖ローマ帝国史を、省略せずにわかりやすく書いてある期待通りの良書である。ヨーロッパ諸国は千数百年間に渡ってこのように複雑で混乱した戦争と外交を繰り広げてきた。極東の島国でのほほんと暮らしてきた日本とは、外交や戦争において基礎が全く違うと思わざるをえない。