作品一覧

  • 大江健三郎の「義」
    5.0
    謎だらけのポストモダン小説の先駆『同時代ゲーム』はなぜ書かれたのか。自伝的要素の強い『懐かしい年への手紙』に登場するギー兄さん、『燃えあがる緑の木』の新しいギー兄さんは、なぜ「ギー」なのか。大江健三郎の全小説を精読し、柳田国男の影響を確信した著者は、大江と柳田の深い関係を探っていく。しかし、大江の謎は柳田のみならず、『万延元年のフットボール』と島崎藤村『夜明け前』との類似点へと行き着き、いつしか不思議な親和性を持つ文学者のつながりは平田篤胤へと辿りつく。これまで海外文学の影響下において読み解かれてきた大江健三郎文学に、深く根を下ろした日本文学の伝統とは一体何か。大江研究の第一人者が読み解く、知的好奇心に満ちた快著!
  • 大江健三郎全小説全解説
    5.0
    1巻3,652円 (税込)
    新聞記者として長年大江健三郎を取材してきた著者による、わかりやすい大江健三郎入門書。『大江健三郎全小説』(全15巻)を通して書かれた解説を一冊にまとめる。大江健三郎全小説のあらすじから説き起こしつつ、個々の作品発表当時の文芸批評家による主要評論に言及、その作品がどのように受容されてきたかを論じる。またときに作家へのインタビューを引用しながら作品の意義を明らかにする。大江文学がどのように生まれ、どのように読まれ、さらにこれからどのような研究課題がありえるのかを総合的・俯瞰的に論じた大江評論の決定版。 目次 はじめに よろしい、僕は地獄に行こう! 惨憺たる青年たち 封印は解かれ、ここから新たに始まる 復元された父の肖像 神話としての「個人的な体験」 知と懐かしさの容れ物として ノーベル賞はいかにしてもたらされたか 果てしなく多義的な偽史をめざす アメリカの影が差す女性たち 予戒としての近未来SF 青年の夢想と酷たらしさ 世紀末に集中した「魂のこと」 再びの「カラマーゾフ万歳!」 永遠のモラリスト、伊丹十三 「晩年のスタイル」こそ苛烈に 大江健三郎年譜 『大江健三郎全小説』収録作リスト 文献一覧 索引
  • ひみつの王国―評伝 石井桃子―(新潮文庫)
    4.6
    ノンちゃん雲に乗る、クマのプーさん、ピーター・ラビットなど作家・翻訳者・編集者として幾多の名作を世に送り出し、溢れる才能のすべてを「子ども時代の幸福」に捧げた101年の生涯。200時間に及ぶインタビューや書簡、綿密な取材をもとに、戦前戦中の活動や私生活にも迫る。子どもの本で人々を勇気づけ、児童文学の星座で強い光をはなつ石井桃子の稀有な人生を描いた、初の本格評伝。(解説・川本三郎) ※当電子版には、新潮文庫版に掲載の写真の一部は収録しておりません。ご了承ください。
  • 詩人なんて呼ばれて
    4.5
    1巻1,848円 (税込)
    弱冠二十歳、『二十億光年の孤独』でデビューして以来つねに第一線であり続け、八十五歳の今も他の追随を許さない詩人・谷川俊太郎。その人生の軌跡、女性たちとの出会い、創作の源泉まで。「国民的詩人」の核心と日本戦後詩の潮流に、当代きっての文芸ジャーナリストが迫る。書下ろし1篇、厳選の詩20篇を収録。
  • 大江健三郎 作家自身を語る
    4.8
    1巻913円 (税込)
    なぜ大江作品には翻訳詩が重要な役割を果たすのでしょう? 女性が主人公の未発表探偵小説は現存するのですか?──世紀を越え、つねに時代の先頭に立つ小説家が、創作秘話、東日本大震災と原発事故、同時代作家との友情と確執など、正確な聞き取りに定評のあるジャーナリストに一年をかけ語り尽くした、対話による「自伝」。最新小説『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』を巡るロング・インタヴューを増補。
  • 大江健三郎 作家自身を語る

    Posted by ブクログ

     2006年に行われ、テレビ放映もされた連続インタビューを再構成し編集・追補された「推敲された」インタビュー。尾崎氏が大江のことばを引き出す役に徹したことで、細密に描き込まれた作家・大江健三郎の自画像ができあがっている。文庫版には「後期の仕事」三部作を書きおえたあと、2013年の対話も収録されている。
     全体を読み終えて、あらためて大江の勤勉な読書家であり勉強家であることが印象に残った。谷崎潤一郎にも似たようなことが言えるが、研究対象が自分よりもどう考えても知識教養に優れている場合、研究者はいったい何をすればよいのだろうか。
     強靭な記憶力、とくに自身に対する批判をよく覚えていることにも驚かさ

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    2023年08月07日
  • 大江健三郎全小説全解説

    Posted by ブクログ

    大江作品が凄いのは勿論だが、全小説(「夜よゆるやかに歩め」は未収録だけど)を網羅・総覧できる、素晴らしい一冊本。
    しかも必要にして十分なあらすじと、時代の説明、同時代のリアクションから、2020年の今だからこその評まで。
    巨大な山脈の、微細なミニチュア模型。

    目次
    ◆はじめに
    ■第01章 よろしい、僕は地獄に行こう!
    奇妙な仕事/他人の足/死者の奢り/石膏マスク/偽証の時/動物倉庫/飼育/人間の羊/運搬/鳩/芽むしり仔撃ち/見るまえに跳べ/暗い川 おもい櫂/鳥/不意の唖/喝采/戦いの今日/部屋/われらの時代
    ──初期作品群その1
    ■第02章 惨憺たる青年たち
    ここより他の場所/共同生活/上機

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    2023年05月28日
  • 大江健三郎の「義」

    Posted by ブクログ

    これは今まで読んだ大江健三郎論の中で一番納得できた一冊。なんか本人のインタビューでは洋モノの思想が出てくるし、仏文科だし、後期の小説で主人公が読んでるのはダンテとかブレイクとかな割に、物語にはもの凄い日本らしい湿気と土臭さがあるのが気になっていたのだが、この本を読んで得心しました。世代的には全然大江の衝撃などはなく、文庫に作品がいっぱい入っているので遅れて読みだしたのだが、結果、長江古義人シリーズだけですね、私に面白く読めるのは。日本人の作家でこれほど時期によって作風の違う作家も珍しい気がする。

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    2023年04月17日
  • 大江健三郎 作家自身を語る

    Posted by ブクログ

    大江健三郎氏の創作の秘密、作品に込められたものが解る。
    聞き手の尾崎真理子女史の作品への深い読みに舌を巻く。
    また、尾崎真理子女史の読みが確かなものであるので、大江健三郎氏の応えと合致し、巧みに大江健三郎さんの応えを引き出している。

    この本により、偉大な芸術家の内面を初めて知ったという感慨を持った。
    私生活の事は、身近な人間でないので、わからないけれども、大江健三郎氏の芸術家としての人生は幸せであったと思う。

    とにかく、大江健三郎ファンにはおすすめです。

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    2020年10月14日
  • ひみつの王国―評伝 石井桃子―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    この夏読んだ「働くわたし」の中にブックガイドがあって、そこで紹介されていた石井桃子、いや幼い日の記憶にある、いしいももこの評伝です。かなり厚めの文庫でしたが圧倒的な面白さ。ご本人の山荘のある軽井沢でのロングインタビューをベースに新聞記者ならでは取材力と推論の組み立て、要点を明確にする簡潔な文章で、「くまのプーさん」「小さなおうち」「ピーター・ラビット」などの翻訳、あるいは「ノンちゃん雲に乗る」などの著作で児童文学の巨大な最高峰である石井桃子の101年の人生を大きく描き出しています。「しゃべりすぎた」「聞きすぎた」「生きている間は書かないように」というように本人の中だけの箱をあける作業も含めて、

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    2020年08月30日

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