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弱冠二十歳、『二十億光年の孤独』でデビューして以来つねに第一線であり続け、八十五歳の今も他の追随を許さない詩人・谷川俊太郎。その人生の軌跡、女性たちとの出会い、創作の源泉まで。「国民的詩人」の核心と日本戦後詩の潮流に、当代きっての文芸ジャーナリストが迫る。書下ろし1篇、厳選の詩20篇を収録。
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Posted by ブクログ
「詩人なんて呼ばれて」(谷川俊太郎/語り手・詩、尾崎真理子/聞き手・文)を読んだ。今年最初の一冊は、詩人谷川俊太郎への3年越しのロングインタビューを含む尾崎真理子渾身の一冊。 ほんとこれはすごいですから。 なんだかんだ言ってもやっぱり私は朔太郎でも中也でもなく谷川俊太郎が好きさ。
聞き手の尾崎真理子さんは、石井桃子の評伝も書かれていて、気になっていた方でした。 谷川俊太郎は私にとって、「20億光年の孤独」こどもの絵本や、最初にシュルツの「ピーナッツ」を日本に紹介して翻訳した人。そして、佐野洋子のもと夫でした。 3回目の妻となった佐野洋子。彼女の才能に惚れ込み、刺激を受けながら...続きを読む、批評しないと気が済まない彼女から、きつい言葉を投げかけられながらも、初めて気付かされたたくさんのこと。父である谷川徹三が死ぬまで、「世間知らず」だったと。 この本は、ご本人も気づいていなかった「谷川俊太郎」を導き出している、すごい評伝だと思いました。
自伝以上の 谷川俊太郎さんの自伝に なっている 聞き書きをはるかに超えて もはや一冊の 谷川俊太郎論に なっている 谷川さんの詩集が その時代と密接に関係し その時代に溶解し そこから言葉が 紡ぎ出されていった その過程が なんともお見事です この世の中から 「本」というものが そして 「詩集」...続きを読むというものが 決してなくならないだろうと 改めて思わせてもらえました
2017年63冊目。 谷川俊太郎さんが歩んできた人生を振り返りながら、濃厚なインタビューを交えて「詩」「言葉」の本質に触れられた。 その本質は、「あやふやな豊かさ」みたいなものを持っている、と感じる。 書き手の自我をはっきりと表現するのではなく、自我をなくして世界を取り込み、そこで受胎したものを、...続きを読むただ安産させる。 「創り手」である以上に、「通路」なのだと思った。 はっきりとした意図の元に紡いだ言葉ではなく、もっとあやふやなのだけど、生命力が削がれる前の生々しさと美しさを持っている言葉。 「加工前」、と言ってしまうと機械的な印象過ぎるけど、可能な限り「あるがまま」に近づこうと試みているのだなと思う。 そう思って改めて詩に触れると、昔はわからなかった楽しさや美しさが、本当に強く感じられるようになった。 「人生は日々のものである。そして人生が日々のものである限り、詩もまた、日々のものである」 形而上学的な思索の結果ではなく、あくまで日々の中に眠っているものを詩にする谷川さん。 私生活の暴露まで厭わないあたりが、生粋の詩人なんだなと思った。 (奥さんはちょっと大変そうだったけど)
小さい頃から知っていたが、よく知らない人ということで、雑誌か何かのおすすめで知り、読んでみた。 谷川俊太郎は有名だけれども、何もわかっていなかったし、アバンギャルドだけれども、筋が通っている話だった。個人的に意外なことが多く、厚めの本だったが早めに読んでしまった。 同じような人にはいいかもしれな...続きを読むい。
哲学者だったお父様、谷川徹三氏を語るところから始まるり、谷川俊太郎という天才を紐解く、尾崎真理子氏。すごい人だなと思う。このインタビューと、谷川俊太郎作品の解説、なんて知的に掘り起こしていくんだろうと、とてもおもしろいんだけど、あまりに知的な解説ぶりに、私なんて理解しきれずたじろぎました。 前半の...続きを読む私の知らない谷川俊太郎の生い立ちがとにかく面白く(ラジオドラマなどの脚本書いてただなんて!)サクサクとへえへえ!と読み進めていると、中盤からの3人の歴代の妻君についての辺りで、女として読みづらくなって… でも平成の軽やかな谷川俊太郎像にまた安心して最後まで読み切った。なんとも壮大な時間を、時間かけて読みました。 天賦の才を持った詩人なんだと感心してしまったのが、小学校1.2年生の頃の日記に 「けさ、生まれてじめて朝をうつくしいと思った」 と書いてあったというエピソード。 向かいの家のニセアカシアの木の向こうから太陽が昇るのをみて、きれいだと感じ、その瞬間のことを文章におさめたのだという! 哀しみや貧しさや、喪失感からでなく、自然の美しさの讃歌が谷川俊太郎という人の詩の根源なんだと、戦後の鎮魂歌をうたってきた詩人とは違う。それが現代にも軽やかに受け入れられるおじいさん詩人の秘密。 村上春樹との類似点も述べられていた。ぜんぜん違うんだけど、なんていうか、太宰治や三島由紀夫が生理的に苦手という村上さんと、詩壇の異星人と言わてきた谷川俊太郎さん、確かにどこか近しいものは感じました。なにひとつ不自由ないくらしの中から生まれてきた作品という点とか、河合隼雄氏に傾倒していたところとか。 まだまだ時代に求められ、活動し続ける谷川俊太郎。この本を読むのもいいけれど、やはり詩を読みたいなと思わされました。 今欲しいのは「トロムソ・コラージュ」かな。
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