高橋たか子の作品一覧
「高橋たか子」の「どこか或る家 高橋たか子自選エッセイ集」「彼方の水音」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「高橋たか子」の「どこか或る家 高橋たか子自選エッセイ集」「彼方の水音」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
パリで暮らす「私」は極限の信仰を求めてプスチニアと呼ばれる貧しい小さな部屋に辿り着く。そこは日常生活に必要なもの一切を捨て切った荒涼とした部屋だった。プスチニア――ロシア語で「砂漠」を意味するそこで暮らす「私」は沢山の「国境」を越え、「亡命」してきた。「亡命」は「私」を削ぎ落とし、「個」を脱ぎ落とし、透明になる行為だ。「私」の「亡命」の物語は一組の男女の物語へ、そしてある男の手記へと引き継がれていく。深く深く、内なる淵源へと降りてゆき、そこに拓かれた光景は何処までも遠く無限大の静寂に包まれた白と青の世界。神の沈黙と対話し、己の魂の静謐な声を聴く。神秘的な、魂の巡礼の壮大な物語。
Posted by ブクログ
自殺願望を抱く友人二人を三原山まで同行して火口に投身させた自殺幇助者の鳥居哲代。自殺者と自殺幇助になっていく軌跡をミステリー風に描いた作品。高橋たか子は初めて読みましたが、鋭い文章で構築された本作は物凄い緊迫感に充ちており、圧巻でした。人と人の関係は時として意図しない、本意ではなかった行動へと導く。気が付いた時には自分の役割から降りられない。砂川宮子が死の直前に明かした「私はわかってほしくなかったのよ。誰もわかってくれる人がいなければ、わかってくれる人が見つかるまで、きっと私は死ななかったわ。そうなのよ、あっけないほど、あなたはわかってくれたから、もう私はもぬけのからのように安心したのよ」この
Posted by ブクログ
愛ではなかった。
玉男、澄夫、そして雪生、物語は展開し、やがて繋がっていく。
「他方、私のほうは、雪生という元型が日に日にはっきりしてきた。その元型はいわば私たちのなかにもあるのであった。二人で、それぞれ自分のなかを井戸を覗くふうに覗くと、いわば共有している、底なしの井戸の水が見え、その水の奥の奥に雪生という元型がちらちらと仄見える。いや、むしろ、雪生と私の関係という元型が仄見える。そうなのだ、関係そのものの元型があるのであった。
これまで経験したことのないそれを、私は私で発見していった。私自身も、やはり、そのようにして思い出しているのであった。そのことで自分が巨きくなっていく、いうにいわれぬ