国内文学 - 講談社作品一覧

  • 蟹の町
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    処女作「雪洞にて」は、山岳カメラマンが朝の光で樹氷を撮ろうと雪の斜面に掘った穴に潜む短い時間の心理と回想を、瑞々しく綴った秀作。「蟹の町」は、詩性にあふれた筆致が不思議な町を浮かび上がらせる快作。他の2篇も、暖かい人々の情景を描かせれば日本一と注目を集める作家の、みごとな出発点となる小説だ。詩的感性あふれる鮮烈なデビュー作。内海文学の原点がここにある!
  • すらすら読める方丈記
    3.7
    総ルビつきの原文、中野孝次のわかりやすく、かつ洞察に満ちた現代語訳、そして共鳴する想いを込めた深く真摯な解説が、平家と源氏が争った時代を生きた鴨長明の肉声を今の時代に鮮やかに蘇らせる。大地震、大火、大飢饉、辻風、さらに遷都を体験し、ついには方丈の住居暮らしに本当の安心を得た生き方が心に沁みる。
  • 「ベトナム以後」を歩く 【小田実全集】
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    ベトナム戦争終結後、著者が約十年目に訪れたベトナムは「惨勝」の末、「ふつうの国」となった。統制経済と闇市経済の中に生きる人びとの貧しさ、官僚主義や腐敗、女性差別、戦争中に撒かれた枯葉剤の残酷な被害。そしてカンボジアの処刑場で見た頭蓋骨。東西冷戦中、「惨勝」したベトナムの辛い戦後期を歩き、深く省察。ベトナム戦争以後、米国のアジア太平洋戦略は大きく変った。核戦争の危機、強制収容所という破滅への道を避けるため、新たな「非同盟」的世界秩序の構築を求める。
  • 闊歩する漱石
    3.5
    夏目漱石の『坊っちゃん』は、あだ名づくしで書かれた反・近代小説。『三四郎』は、都市小説のさきがけ。そして『吾輩は猫である』は、価値の逆転、浪費と型やぶりによる言葉のカーニバルーー。漱石の初期3作をモダニズム文学としてとらえ、鑑賞し、分析し、絶賛する。東西の古典を縦横無尽に引いて、斬新明快に語る、最も自由な画期的な漱石論。漱石の楽しさを語ろう!
  • 日本の神さま 古事記の物語
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    不思議な力と、冒険、恋、そして戦い。日本の神様のすがたを生き生きとえがいた「古事記」。その中から有名な神話を選んで一冊に。天をおさめる女の神様・アマテラス、その弟で、ヤマタノオロチを退治した暴れん坊のスサノオ、意地悪をされたうさぎを助けたオオナムヂ、強さゆえに親に遠ざけられた悲劇の王子ヤマトタケルなど、個性的な神様が続々登場します。<すべての漢字にふりがなつき 小学中級から>
  • 春泥歌
    4.0
    祖母に懐き、祖母なくしては一日も過ごせないほどのわたし。祖母から聞いた――椿の花の咲き乱れる断崖上に6歳の男児がいたが、連れ立っていた盲目の母の姿はなく、その子の手の先では金剛鈴が鳴っていた――という話を聞いて以来、わたしに取りついた恐ろしい夢……凄艶な情念、ほとばしる詩情! 表題作のほか、美と幻想の9短編を収録。
  • 学問のすゝめ
    5.0
    「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずといえり」なる言葉より説きおこし、人の心に根深く巣くう封建思想を排撃、明治という新しい時代の個人、国家の在り方を広く一般に訴えた、福沢の代表著作の一つ。現代表記に改め、懇切な校注を付した。明治維新という新時代の個人・国家の在り方を、一身の自由独立という立場より説き起こし実学を奨励した、当時の驚異的ベストセラー。
  • 二十四の瞳
    5.0
    昭和3年、瀬戸内海小豆島の分教場に赴任してきた教育熱心な女教師。重く暗い時代に突入していく時期に、この先生と12人の教え子のさまざまな生活を描き、戦争批判、戦争被害者の生き方、教え子たちの暖い童心を、鮮明な郷土色と豊かなユーモアにより捉えた感動的名作。木下恵介監督らにより2度の映像化、黒木瞳ら主演で6回のテレビドラマ化、テレビアニメ化もされた不朽の戦後反戦文学。
  • 色即回帰
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    男の女遍歴を、浮気などといって非難するのは大間違い。そういう気持の強い男こそ、女陰回帰の志、母のもとへも戻りたいという、いわば母を求めて三千里、真実鈴ふり巡礼心の持主なのだ。――山陰は皆生温泉、風呂番の老人が人生哲学を語った「色即回帰」ほか、野坂文学の真骨頂を発揮した作品7編を収録。
  • 執念夫婦添い節
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    漫談家の昇仙にくどかれて夫婦になった福子は、妊娠できない体質だったうえに、女盛りに卵巣を摘出し、ますます夫からの情が薄れていく。そして昇仙は妾をかこい、帰宅するのは月に数回。だが、たまたま帰ったときに、脳溢血で倒れてしまう。福子は、ひもかわまがいとなった昇仙の一物を口にふくみ、ようやく彼が亭主になったという実感を味わうーーという表題作ほか、純情にして猥褻な女と男を描いた傑作5篇。
  • オットーと呼ばれる日本人
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    過剰なる情熱、マルクス主義の洗礼、したたかに感じた中国革命の現実――内閣のブレーンでありながら、国際諜報団員として時代の濁流にどっぷり浸かり、その熾烈な人生を精一杯生き、愛し、思考した一日本人――。その「ゾルゲ・尾崎事件」を題材に、転換期に生きる知識人の、深く屈折した内面を照射する、現代戯曲中屈指の名作。
  • 夕鶴・おんにょろ盛衰記 ほか七編
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    名もなき民衆の声なき希求と願望をこめた伝統民話を素材とし、未来への指向を含む現実のテーマとして作品化し、不朽の国民文学にまで高めた著者の民話劇と朗読用作品の代表作を新編集。「彦市ばなし」「龍が本当に現れた話」「陽気な地獄破り」「山の背くらべ」「女工哀史」「花若」など。
  • 無職無宿虫の息
    -
    ほれてかよえば千里も一里、ふられてかえればまた千里。――ぐれてのたくりゃ一里も千里、足を洗うにまた千里。ごぞんじ色川節の名調子が冴えわたる。時は昭和二十…年、焼け跡、闇市のその時代、愛すべき無職無宿の大のたくりのやさぐれたちの、哀しくもしたかかでたくましき生きざまを、軽妙なタッチで描いた傑作短編小説集。ぐれて歩いたあの日の、型破りの青春放浪記。
  • 夫の始末
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    女にとって、夫という男は、何ものなのか。「物事の始末が悪い」と言われ続けた著者が、この世の名残りに、散らかし放題に「始末」をつける。劇作家同士、雑巾を縫う夫と山を歩く妻……。見事に違う、個性鮮やかな夫婦の60余年を戯画化した、何ともおかしい自伝的連作集。女流文学賞・紫式部文学賞、W受賞作。
  • 贋作 天保六花撰
    値引きあり
    4.0
    貧乏御家人の入り婿となった片岡直次郎は、黙っていても女が貢いでくれる色男。が、病弱で世間知らずな美しい妻あやのを養うためなら、ゆすりたかりも厭(いと)やせぬ。ご存じ悪徳坊主・河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)、剣客・金子一之丞、商人・森田屋清蔵、やくざ者の丑末(うしまつ)に吉原の遊女・三千歳(みちとせ)ら6人の悪党が繰り広げる痛快大江戸ピカレスク。
  • 虚構の彷徨 ダス・ゲマイネ
    5.0
    左翼運動への裏切りと鎌倉海岸での心中未遂、縊死未遂の告白を軸に、小市民的モラルを否定しながらも惨落と自負の意識に痛ましく引き裂かれていく青春の日々、その絶望の乱舞を、道化の言葉でつづった、「道化の華」「狂言の神」「虚構の春」という、いわゆる『虚構の彷徨』三部作。他に、芥川賞落選で精神的に追い込まれた同時期に書いた「ダス・ゲマイネ」も併録。
  • 小説現代3月号『大特集 本を造る!』
    無料あり
    4.0
    「小説現代2018年3月号」大特集『本を造る』 【1】東村アキコ×安藤祐介対談 本は「宝箱」で宝物 【2】一冊の本ができるまで 【3】入稿から搬入まで、16人の"職人"に訊く! 【4】安藤祐介 『本のエンドロール』 第一章スロウスタート※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。

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