国内文学 - 講談社作品一覧

  • 「ベ平連」・回顧録でない回顧【小田実全集】
    -
    1巻1,760円 (税込)
    古代アテナイ文学と思想を学んだ作家が現代の日本のデモクラシーに挑んだ。激化するベトナム戦争に反対し、当面する社会問題を自分に引きつけて考え行動する「個人原理」の追求と考察は、近代国家成立以来、日本が抱えた歴史的課題であった。多様性の中の「個」が無数に横へ広がり繋がる『「われ=われ」のデモ行進』は、それに対する哲学的・思想的答えの一つであった。全国津々浦々に広まった「べ平連」とは何か? この運動の代表者自らが省察した真摯で率直な言説は重くて眩しい。
  • 空吹く風/暗黒天使と小悪魔/愛と憎しみの傷に 田中英光デカダン作品集
    3.0
    太宰治をして「この荒れ果てた竹藪の中にはかぐや姫がいる」と言わしめた「空吹く風」、戦後の混乱の中で春をひさぐ女たちに真実の愛を夢想する「暗黒天使と小悪魔」、運命の女との愛欲の果てに傷害事件に至る顛末を描いた「愛と憎しみの傷に」。共産党の活動など生きる意味への絶望ゆえか女に溺れ、薬と酒で破滅へと突き進んでいく自らの姿を見据え、人間の本性を浮き彫りにする小説集。
  • 雲は天才である
    -
    詩や短歌では叙情味あふれる作品で天性の才能を発揮し、矛盾に満ちた明治という時代への鋭い考察も相俟って今もなお熱烈な読者を持つ石川啄木が心血を注いだ小説。故郷・渋民村の高等小学教の教員時代に書き出され、青年たちの鬱屈と貧しき者、弱き者の心に共振していく初期短篇三作と、唯一新聞に連載された中篇を収録し、短い生涯を駆け抜けた啄木文学の可能性を提示する。
  • 新版 雨月物語 全訳注
    3.0
    上田秋成が遺した、江戸中期を代表する怪異小説集。安永5年(1776)刊、5巻9編。執念は彼岸と此岸を越え、死者との対話を繰り広げる。それは夢幻か、現実か――。現代語訳に語注、考釈も加えた決定版。
  • たった一人の反乱
    3.7
    出向を拒否して通産省をとび出し、民間会社に就職した馬淵英介は、若いモデルと再婚する。殺人の刑期を終えた妻の祖母が同居し始めたことから、新家庭はとめどなく奇妙な方向へ傾き、ついに周囲の登場人物がそれぞれ勝手な「反乱」を企てるに到る。――現代的な都会の風俗を背景に、市民社会と個人の関係を知的ユーモアたっぷりに描いた、現代の名作。谷崎潤一郎賞受賞作。
  • 高濱虚子 並に周囲の作者達
    4.0
    文学青年でありながら、家庭の事情でやむを得ず東大医学部へ入学した秋櫻子。在学中に出会った高濱虚子の文章に感銘を受け、自らも作句を始めた秋櫻子は、虚子に師事し、「ホトトギス」の中心的同人になりながらも、やがて虚子の客観写生を旨とした「花鳥諷詠」俳句に反発を感じていく。虚子との出会いと決別までを、山根東洋城、原石鼎、山口誓子、高野素十らとの交流や実作への批評とともに描く、歴史的名著。
  • 大江健三郎賞8年の軌跡 「文学の言葉」を恢復させる
    4.0
    「情報テクノロジーの支配する社会で、もっとも痩せているのが「文学の言葉」です。私は永く「文学の言葉」で生きてきました。いまも注意深く見れば創られている、力にみちた「文学の言葉」を、知的な共通の場所へ推し立てたいのです」大江健三郎――2007年から8年間にわたり大江健三郎一人によって選考された「大江健三郎賞」の全選考過程と受賞理由、および受賞者との対談を収録した、完全保存版!
  • 大衆文学論
    -
    白井喬二、菊池寛らを論じ、先行する大衆文学論を詳細に考察した第一部「大衆文学の理論」。吉川英治、山本周五郎、松本清張らの、作家と作品を論じた第二部「作家の年輪」。時代小説の挿画、落語、浪曲など、大衆文化・芸能を掘り下げた第三部「大衆文学の周辺」。独自の視点で大衆文学を検証し、芸術性偏重の従来の文学観に新たな文学論を提示した画期的評論集。芸術選奨受賞作。
  • この百年の小説 人生と文学と
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    西欧文学に100年以上遅れて出発し、そのエッセンスを学びながら追いかけてきた日本の近代文学。明治期の誕生以降、発展を続けているその歴史を、漱石、鴎外、露伴、谷崎、芥川、川端、三島、大江、石原らの代表的な作品を取りあげながら概観し、青春、恋愛、少年、心理、老年、歴史等々、「人生と文学」の断面から照射した、壮大かつ心揺さぶる精神のドラマ。博覧強記の小説家が遺した名著。
  • でもくらてぃあ 【小田実全集】
    -
    1巻1,980円 (税込)
    「難死の思想」、「法人資本主義」、「殺すな」、「異質の価値の共生」、「人間は殺されてはならない」などの言葉は、「近代天皇制国家」から「近代民主主義国家」へと移行した戦後日本の思想的座標軸を示す概念でもある。本書は、1992~94年の米国滞在中から阪神大震災直後まで書きつがれた「される」側の人間のあり様、意志に基本をおいた「される」側の思想書。今、「殺す」文明のかたちが世界にはびこる中、著者の「非暴力・平和主義」の原理を再考する必要がある。
  • 源氏物語湖月抄(上)増注
    -
    本書は『源氏物語』の時代からますます遠ざかりゆく現代に生きているわれわれが、この第一級の古典を原文によって味読するための、唯一のしかも最高の伴侶である。読者は、この一書によって、万巻の注釈書をたよりに『源氏』を読むに等しい満足感を味わえるであろう。上巻には『源氏』の考証を行った首巻と、本文桐壷の巻から明石の巻までを、中巻には澪標の巻から柏木の巻までを、下巻には横笛の巻から夢浮橋の巻までを収載する。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • 醒睡笑 全訳注
    4.0
    誓願寺法主の安楽庵策伝が江戸初期に編纂し、板倉重宗京都所司代に献呈した笑話集。うつけ・文字知顔・堕落僧・上戸・うそつきなど、多様な庶民の登場人物がつくる、豊かな笑いの世界。のちの落語、近世笑話集や小咄集に大きな影響を与えた。慶安元年版・全8巻42章311話の翻刻文に、現代語訳、語注、鑑賞、解説を付した、はじめての書。(講談社学術文庫)
  • 宇治拾遺物語 上 全訳注
    -
    1~2巻2,640~2,750円 (税込)
    鎌倉時代前期に成立した代表的説話集。貴族・僧などの著名人から、下級官人、侍、庶民、子供まで、登場人物が多様で世俗的傾向の強い話を集める。強力譚、報恩譚、聖譚、不思議譚、艶笑譚など世の万般を描く切れ味鋭い話の数々。本巻には「舌切り雀」「瘤取りの話」「芋がゆ」など現代に伝わる物語をはじめ百余話を収録。古本系統「伊達本」を底本として現代語訳、語釈、解説を付す。
  • 新しい小説のために
    -
    1巻2,816円 (税込)
    小説の中の「私」とは、誰なのか?新世代の小説家たちが切り開いてきた現代文学の新たな地平の持つ意味を、小林秀雄以来の文芸理論を徹底的に検証しつつ探った、まったく新しい小説論。「役割を終えた」近代文学を更新する!
  • 今昔物語集 本朝世俗篇 合本版 全現代語訳
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    我が国最大の説話集であり、内容の多様さも文学的興趣も群を抜く「今昔物語集」。古来我が国で「世界」を意味した三国、天竺・震旦・本朝(インド・中国・日本)の一千を超える説話を収めた三十一巻(うち三巻を欠き、現存は二十八巻)のうち、本朝の世俗説話を収めた巻二十二~三十一。その平易で読みやすい全現代語訳をコンパクトに刊行。語注も充実。
  • 藤原行成「権記」全現代語訳 全三冊合本版
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    一条天皇・藤原道長の側近として多忙極まる日常的政務 能吏による平安宮廷詳細日記である『権記』は、平安中期、九条流藤原氏の嫡流で三蹟の一人と称される藤原行成の日記である。平安最盛期の宮廷での政治的動きや儀式次第、行事の実態などが詳細に綴られている。日々の宮廷の政治・儀式・秘事が記され、貴族の多忙な日常と平安の政治体制が見える第一級史料、初の現代語訳。
  • 宇治拾遺物語 全訳注 合本版
    -
    1巻5,170円 (税込)
    鎌倉時代前期に成立した代表的説話集の一つ。人の耳目をひく話を集める。都の巷から鄙の里、震旦・天竺まで、世の奇異なものへと開かれる好奇心。仏菩薩の霊験には純朴な感情で、えせ聖や詐欺師・幻術師の行為には分別わきまえた言葉で、民衆の反応がさまざまに語られる。古本系統『伊達本』を底本として94話を全訳・解説。

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