小説・文芸 - ちくま文庫作品一覧

  • 神も仏もありませぬ
    4.1
    呆けてしまった母の姿に、分からないからこその呆然とした実存そのものの不安と恐怖を感じ、癌になった愛猫フネの、生き物の宿命である死をそのまま受け入れている目にひるみ、その静寂さの前に恥じる。生きるって何だろう。北軽井沢の春に、腹の底から踊り狂うように嬉しくなり、土に暮らす友と語りあう。いつ死んでもいい、でも今日でなくていい。
  • これでもかーちゃんやってます
    5.0
    頑張らなくてもだいじょうぶ! ちょっとくらい家が散らかってても、キーってつい怒っちゃっても、晩ごはんが少々手抜きになっても、いいんじゃない? 上大岡トメが綴る頑張り過ぎない子育てのススメ。完璧な母を目指すより、等身大で子育てしよう。
  • 家内安全
    5.0
    誰かを好きになって、恋をして、一緒に暮らす。そこには、たくさん喜びや悲しみ、想いの襞が重なりあっている。夫と娘と初詣に行く日常を得るまでの、恋愛と仕事に戦う日々を描く表題作「家内安全」のほか、「ゆっくり進む船が行く」「鉄紺」「ぬるぬる」、平間至の写真から生まれた「ショートストーリーズ」など、いずれも、恋をする心と体を、まっすぐに見つめた小説集。
  • 冠・婚・葬・祭
    3.9
    成人式、結婚、葬式、お盆。人生の節目に訪れた4つの物語。新人記者が成人式の取材に行く「冠」、引退したお見合いおばさんの縁結びの顛末を描く「婚」、社命で参列のお供をしたおばあちゃんの人生がほの見える「葬」、姉妹が両親を失った田舎の家に集まる「祭」。さまざまな人生や人間模様が、鮮やかに描かれる連作小説。
  • 君は永遠にそいつらより若い
    4.0
    身長175センチ、22歳、処女。いや、「女の童貞」と呼んでほしい――。就職が決まった大学四年生のだるい日常。その底に潜む、うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。そしてかすかな希望……? 芥川賞受賞作家の鮮烈なデビュー作。
  • 童話集 銀のくじゃく
    4.5
    みどり色のくじゃくを織ってほしいと注文を受けたハタおりの若者は、銀のくじゃくを織りたくなって……。表題作「銀のくじゃく」ほか「あざみ野」「熊の火」など、美しいもの、かなわぬものにあこがれてうつろう人の心を、香り高い幻想にしたてた、七つのメルヘン。書き下ろし作品「火影の夢」「青い糸」所収。
  • 緊縛
    3.0
    「わたしを縛って……」心も体も強く縛られることを欲しながらも、二人の男とのアイマイな情事を淡々とくり返す美緒、三十二歳。その日常の果てに彼女の心が向かう先は……。第十八回太宰治賞受賞作。短篇の秀作「見ていてあげる」を併せて収録。
  • ねぼけ人生
    4.1
    陽気な落第生だった少年時代、ラバウルで死の淵をさまよい片腕を失った戦争の時代、赤貧の中で紙芝居や貸本マンガを描き続けた戦後、そして突然訪れた「鬼太郎」と妖怪ブームの中で締め切りに追われる日々。のんのんばあが、南国の土人たちが、奇妙な「水木荘」の住人やユニークなマンガ家仲間が彩る波乱万丈の人生を、楽天的に生きぬいてきた日本土人・水木しげるの面白く、ちょっぴり哀しい半生の記録。
  • 東京の戦争
    4.4
    物干台で凧を揚げていて、東京初空襲の米軍機に遭遇した話。戦中にも通っていた寄席や映画館や劇場。一人旅をする中学生の便宜をはかってくれる駅長の優しさ。墓地で束の間、情を交わす男女のせつなさ。少年の目に映った戦時下東京の庶民生活をいきいきと綴る。抑制の効いた文章の行間から、その時代を生きた人びとの息づかいが、ヒシヒシと伝わってくる。六十年の時を超えて鮮やかに蘇る、戦中戦後の熱い記憶。
  • オクターヴ
    3.6
    「シは有限の極み。上のドは神の世界。知覚できないものの世界をガムランが開く」。失踪した友人から届いた3枚の絵葉書が、〈私〉をバリの深奥へと導く。宗教と音楽とむせかえるような自然。不思議な青年オダ。「ニュピ」にはミツコに会えるかもしれないという謎の言葉の意味は……? 『7 days in BALI』として発表された傑作長編を大幅改稿。
  • 図書館の神様
    3.7
    「これって青春?」「どうやらそのようですね」ーー。思い描いていた未来をあきらめて赴任した高校で、驚いたことに“私”は文芸部の顧問に! 清く正しくまっすぐな青春を送ってきた“私”には、思いがけないことばかり。不思議な出会いから、傷ついた心を回復していく再生の物語。ほか短篇「雲行き」を収録。
  • 黒森物語
    4.0
    森に消えた母の姿を求める“母なしむすこ”りゅうと、不思議な霊力をおびた“銅のくし”を懐にした“口なし娘”たみは、闇の一族、菜の花一族、夢の衆たちが住み、悪と死のつかい“放れ熊”の支配する黒森へ旅立っていく。闇の世界、山の住人、森の精霊たちが、その生滅をかけて戦い、語りかける壮大なファンタジー。
  • 童話集 白いおうむの森
    -
    死んだ人の住む地底の暗い森。生きている人から死んだ人への思いを運んでゆく白いおうむ。少女は偶然その森に入りこんだのだが……。表題作「白いおうむの森」ほか「雪窓」「鶴の家」「長い灰色のスカート」など、人と人との出会い、そして別れ。その喜びと悲しみを美しい筆致で描いた童話七篇を収録。
  • モモヨ、まだ九十歳
    3.8
    パンダが見たい。新幹線で一人上京してきたモモヨ九十歳。カルバン・クラインのショー・ウィンドウに見とれるわ、ディズニーランドを駆け回るわ、靖国神社には目もくれず東京ドームにまっしぐら。あふれ出る好奇心、面白がり力全開のスーパー・グランドマザーはいかにして出現したのか。七人の子供を育てることが人生だった。時代にはまだすがすがしい折り目正しさがあふれていた。その自由人ぶりを見て「あんないじわるバアさんに自分もなりたい」と願う孫が綴る涙と笑いの女一代記。
  • 熊撃ち
    4.0
    飢えに追いつめられて、つぎつぎと人を襲う熊。その熊をじっとねらう、村田銃をもった熊撃ちの名人。北海道千歳市では老婆や村娘が餌食となり、人々を震え上がらせていた。厳しい大自然を背景に、人間と熊が繰り広げる生きていくための闘い。大自然の中で生きる人々の緊迫感と、自らを厳しく律しながら深い山へと分け入って行く誇り高い猟師たちの個性あふれる姿、そして野性の猛獣と原生林の迫力を、乾いた筆致で生き生きと追う。実際におきた七つの事件と実在する八人の熊撃ちを題材に、孤独で忍耐強い彼らの生きざまを描く連作短編集。
  • 肉体の門――田村泰次郎傑作選
    4.0
    敗戦直後の廃墟の東京で、獣になって身を売る若い女たちの集団。その中に突然現われた一人の男をめぐって起こるドラマを描いた表題作「肉体の門」。死と隣り合わせた欲望のひしめく中で人間のつながりを求める男女の姿を描いた「肉体の悪魔」「春婦伝」「蝗」。さらに彼の主張を集約したエッセイを収め、田村文学のエッセンスを贈る。
  • ミステリー食事学
    6/7入荷
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    昭和24年に江戸川乱歩を唸らせデビューした小説家・日影丈吉のもう一つの顔は、名だたる有名ホテルの料理人たちに仏語を教えた料理研究家であった。伝説の毒薬から悪食珍味に絶品フレンチ、メグレやホームズ、クイーンら名探偵が口にしたはずの各国の味の裏側まで、世界の「食」と「謎」をたっぷりと語る。グルメ文化史としての魅力も輝く名エッセイ、待望の復刊。

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  • 女ともだち ――靜代に捧ぐ
    6/7入荷
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    ある日から、音楽活動も執筆も全てやめた。妻・靜代の病気が判明したから。大学一年生のときに、赤いワンピースを着た靜代と出会い、結婚。著者には他に恋人たちができるが…。やがて、かけがえのない最高の女ともだちであることに気づくまで。『たましいの場所』の著者が妻に贈る鎮魂エッセイ。

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