桜部さく作品一覧
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-ニューヨーク・マンハッタン――ミリオンダラー・マンションがひしめく大都会。五年前より不動産エージェンシー・ラックスホームズに身を置く白井純は、完全歩合制で売買交渉をするエージェントだ。細身のスーツが似合う痩身に凛としていながら可愛げのある顔立ちの純には、『日本人ネコの枕営業エージェント』という不本意な噂が独り歩きしている。純の恋人は親子ほど年の離れた資産家のニコラスで、純がエージェントとしてここまで伸し上がれたのもセレブなニコラスの人脈によるところが大きかった。そんな折、ラックスホームズに若手敏腕エージェント、マテオが引き抜きで入ってきた。『女たらし』の異名をとるマテオは、外面は爽やかだが皮肉屋の一面もあり意外性の塊みたいな男。純の好奇心をそそって止まない。ある日、彼が売り主エージェントとなった新築マンションのお披露目パーティーが開かれ、内覧に訪れた純はそこでマテオと情熱的な一夜を過ごしてしまう…。
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4.5
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4.6英国コルフォート伯領、アントネルの街。活気に満ちた大通りの裏、貧しい労働階級者の集う小路沿いのベーカリーで、ノエルは働いていた。10歳の頃、店主夫妻により孤児院から引き取られて以来、18年間1日の休みもなく、たったひとりでパンを焼き続けていた。だが、そんな日々は突然、終わりを迎えた。月に一度、ベーカリーの前を通り過ぎる一人の紳士によって。彼はルイス・コルフォート。第四代コルフォート伯爵…アントネルの街の領主だった。ルイスは劣悪な環境からノエルを連れ出してくれたばかりか、ノエルを自分の屋敷で従僕見習いとして雇ってくれたのだ。ルイスの屋敷で働き出したノエルは、従僕の仕事を必死に覚えた。すべては、自分を助けてくれたルイスのため。ルイスの役に立ちたい。その一心でルイスに尽くすノエルに対し、いつしかルイスも、特別な信頼を寄せてくれるようになるが……。
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3.9鬼が棲むと譬えられる強大な北の国の使者・ 第六王子であり陸将軍でもあるサスナに選ばれ、 生贄として捧げられた東国第四王子カナギ。 死をも覚悟して北の国に足を踏み入れたカナギを待っていたのは、 サスナによる贅を尽くした贈り物の数々と 一心に注がれる深く真摯な愛、 そしてカナギが自ら磨いた才智への尊崇と信望だった。 祖国を離れ、遠い異国へと攫われて出会う、 愛と新しい運命の物語。 さらに第10回B-PRINCE文庫新人大賞イラスト大賞受賞者・黒須 白がイラストを担当する「可愛い僕に恋してください」(著:chi-co)のお試し読みも特別収録!
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4.0
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4.5県警本部強行犯係に所属する碧唯(あおい)は、ゲイであることを隠しつつも先輩刑事の中崎に惹かれていた。碧唯より10歳年上の中崎は、準キャリアという立場がため、肩身の狭い思いをしている碧唯に対しても優しく接してくれる、唯一の人だった。想いを伝えることはできずとも、せめていい後輩として彼の記憶に残りたい。その一心で仕事に打ち込む碧唯だったが、ゲイ・コミュニティばかりを狙った連続通り魔事件の発生により、心を乱されていく。碧唯の動揺をつぶさに感じとった中崎の優しい気遣いに、碧唯は自らがゲイであることを打ち明けてしまう。少しだけ距離を縮めることができたふたりの関係とは裏腹に、通り魔事件の捜査は難航。突破口になればと、碧唯は自らがオトリとなり、通り魔をおびき出す作戦を提案するが……。
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4.3恵は祖父が経営する田舎町の小さなパン屋「シュガーパン」で働くパン職人。理想の王子様との出会いを夢見ながら、美味しくてかわいい、人を幸せにできるパンを焼くことに心血を注いでいる。ある夜、苦手な運転の練習がてら車を走らせていたところ、人気のない山道でエンストを起こし、立ち往生してしまう。田舎の冬の夜は寒い。電池の切れたスマフォを眺めつつ、このままでは凍死……などと恐ろしい考えがよぎったところに、一台の車が止まってくれた。そこから降りてきたのは、暗がりでもわかる筋肉質な身体をした男性だった。切れ長の一重瞼ときりっとした眉。固く結ばれるのが似合う薄い唇。その猛々しい顔立ちは、恵の理想そのもの! しかもレスキューの到着を一緒に待ってくれた挙げ句、車の状態確認までしてくれて行動もまさに王子様! これはなんとしてもお近づきになりたい! と意気込む歩は……。
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3.9
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3.0同盟継続のため、隣国エスパニルの王太子アロンソのもとへ嫁いだフロレンス王国のオメガ王子ユベール。前代未聞の政略婚から五か月――想いが通じ合ってから初めての発情期を迎えたユベールはついにうなじを噛まれ、二人は真の番となった。ところが、そんな幸せのさなかの二人のもとへ、フロレンス国王が病に倒れ国が存亡の機に瀕しているという知らせが届く。これまで虐げられてきた民衆が現王太子トリスタンの王位継承に反対して一斉蜂起しているという。人々が望んでいるのはユベールが母国に戻り王位に就くこと。だが、ユベールはエスパニル王太子の后の身。フロレンスの王になれば愛するアロンソと一緒に暮らすことが叶わなくなってしまう。母国を思う気持ちと愛しい伴侶への想いの板挟みで苦悩するユベールに、アロンソは「二人で最善の道を探そう」と言ってくれて……。
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3.5
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3.2
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4.3独身アラフォー刑事の中居和樹は、ある晩行きつけの飲み屋『酒処サナエ』でひとりの青年と出逢った。優と名乗ったその彼は、まるでうさぎのような丸い双眸が可愛い、純朴そうな、だがどこかミステリアスな一面もある二十七歳。再びサナエで出逢い、今まで男相手に感じたことのない、恋心のような胸の高まりを優に覚えてしまい戸惑う和樹だったが、いつしか仕事帰りに優の部屋に寄り彼に手料理を振る舞ってもらうという、ほのかに甘い関係になっていた。そうしてついに身体でも結ばれ、二人は恋人同士として付き合っていくことになったのだが…。そんな折、和樹が追っている殺人事件でも進展があった。殺された男は、同性愛者の男性たちに強請を働く極悪非道な輩だったことがわかってきた。やがて被害者の携帯電話の通話記録が開示されて…。
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4.3両親に育児放棄され、養護施設で育った過去を持つ小谷未来には忘れることのできない相手がいた。養護施設で同室だった高崎流星。流星は中学を卒業すると同時に養護施設を出ていってしまいそれっきり連絡を取っていないが、彼と過ごした3年間の記憶は、22歳になった今なお未来の中に鮮明に残っていた。そんなある日、勤めていた工場が閉鎖されることになり転職先を探し始めた未来は、事務員の求人を出している会社の概要欄に、流星の名を見つける。流星に会いたい、その思いで面接を受けた未来は無事採用され、流星の会社で働くことに。しかし感動の再会と思いきや、流星は未来を避けるような素振りを見せる。流星は施設育ちの過去を隠したいのだと理解した未来は、仕事の関係に徹しようとするが……。
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4.6学生時代、家族にゲイであることがばれ、以来、周囲の理解を得られぬまま偽りの生活を送ってきた圭。そんな彼に転機が訪れた。総合電機メーカー・サミーに就職して三年目、ニューヨークにあるアメリカ本社への一年半の駐在だ。自由の国そして最先端の街…ここでなら自分の性的指向を偽ることなく新しい恋に出会える。期待を胸に渡米した圭だったが…。上司のアダム・ヘイワードは大層なイケメン、引き抜きで入ってきた仕事のできる男だが、いかんせんストイックで愛想がない。だが、圭はそんなアダムとも交流をもちたいと積極的に声をかけランチを共にするようになった。やがてニューヨーク生活も充実してきたある晩のこと、初めてゲイバーを訪れた圭は帰り際数人の男たちに囲まれてしまう。レイプされる!…恐怖に慄く圭を助けてくれたのはたまたま通りかかったアダムだった。彼は茫然とする圭を己の部屋に連れていき一晩泊めてくれて…。
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4.4漫画家を目指しながらデザイン事務所の契約社員として働く水谷千里。生まれつき重度の難聴のため引きこもりがちな千里だったが、SNSに投稿した犬が主人公の漫画が人気になり書籍化の話が進んでいた。だが出版社の都合でそれが中止に。落ち込む千里を慰め元気づけてくれたのは、SNSを通じて知り合った浪間はじめというプロの小説家だった。会社員と作家という二足の草鞋を履く浪間は、悩みがちな千里をいつも温かく励ましてくれる心の拠り所だ。そんな浪間から『オフ会をしませんか』という誘いのメールが…。耳が聴こえないことを告げていなかったため初めは躊躇したが思い切って会ってみると、浪間は想像以上に魅力的でスーツの似合うオトナな男性だった。何度かオフ会を重ねるうち、気づけば千里は初めての恋に落ちていた。そんなある日、たまたま訪れた横浜の街で千里は浪間の意外な姿を見かけてしまう……。