いとうせいこうによる「国境なき医師団」のルポルタージュ第2弾。比較的安全だった第1弾とは異なり、今回は素人が取材できる中ではおそらく最前線のガザを訪れる。そこは日々イスラエル軍の銃撃をうけた若者たちが運び込まれる野戦病院であり、リハビリテーションセンターであった。身体的にも精神的にも元には戻らない傷を負った人々は、それでも笑顔で取材に応えることで、そしていとう氏はそれを飾らない真摯な言葉で伝えることで、この世界の不当と人間の力を訴える。どんな政治的背景があろうとも、武器を持たない人々を一方的に傷つける「正義」は存在しないのだ。