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コースで言うところの前菜
入門書としてはあまり評価できない、というのが第一印象であろう。
これは著者のエッセイである。いつまで経ってもメルロ=ポンティについての解説や解釈などは登場せず、著者の実体験に基づいた様々な「出来事」を淡々と記述し、その支えのためにメルロ=ポンティがたびたび顔を出す。
だから入門書としてはあまりお勧めできない、と言うのが正直な意見である。
だが、メルロ=ポンティの思想を「コース」と例えるなら、この書物は非常に上品な「前菜」だと言えるであろう。
食欲を刺激させられ、まるでこれからくるスープやメインを取りたくなるかのような、そんな書物。
そうしてはたと気付かされるのだ。
そうだ「学問」と...続きを読む