数学は門外漢ですが、サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」で紹介されたガロアの人生に興味を引かれ購入。本書のまえがきに書かれているように本書の目的は、当時ガロアが考えた思考を追うことでガロア群のイメージを明確にすること(4章〜7章)。そして、現在のガロア群(高度に抽象化されたことにより、その概念が捉えにくくなった)につなげること(8章)。本書を読むことで、正規部分群の置換ルールを基にした代数式拡張の繰返しと、正規部分群のべき乗(素数)分の1への分割、及び恒等置換への最終的な落とし込みイメージの構築ができると思います。
とはいえ、数学の初心者(=自分のこと)が直感的に理解できるものではなかった、というのが読了後の実感で、実際「前の章を読み返しては復習」というサイクルを少なくとも10回は繰返す必要がありました。これは説明が悪いというより、ガロア群につきまとう発想の飛躍が原因で恐らく誰が説明しても似たようなものではないかと思いますが、初心者はそれなりの覚悟はした上での購入をお勧めします。
以下、自分なりの読み進めガイドです。本書の全体の流れはこれで理解して貰えるのではないかと思います。
【1章から3章の読み方】
4章以降の下準備。これに耐えられるか否かが最初の山場。対称式、解と係数の関係あたりのイメージを意識しながら読むと
後々、話がつながりやすくなると思います
【4章から7章の読み方】
下準備で得た個々の知識がここでガロア群として収束します。ガロア群自体、その発想の理解が極めて困難であり、蓄積した知識のつながりが
途ぎれがちになって議論が今どこに向かっているかと、混乱することもしばしば。そんな時は「部分群」、「正規部分群」をしっかり理解できる
まで何度も関係する節を読み返すことで全体の話しの流れが意識しやすくなると思います
【8章】
7章まで理解できれば、後は楽。世の中に満ち溢れている群の中でガロアが考えた群は「可解群」に分類される!
対称式という考え方は一般に馴染みないものだと思いますが、こうした難解な話を当時の問題の在り方から紐解くという手法も面白かったです。