• ハプスブルクの宝剣(上)
    ネタバレ 購入済み

    一気読みしてしまう名作

    あまり巷間に知られていないように思うが、もっと評価されるべき名作です。自分の内なるユダヤを憎み、徹底的にユダヤ性を廃することでオーストリア人になろうとした主人公エリヤーフーの苛烈な人生を描いた作品です。最後には自分がユダヤ人以外の何者でもないと気づき、ユダヤに還ることで終幕を迎えますが、そのテーマの普遍性を取り上げた筆者の圧倒的な筆致。中世ヨーロッパに造詣の深い筆者の確かな知識に基づく史実の記述と、そこにフィクションの存在である主人公が巧みに融合したストーリー。マリア・テレジアとの愛憎渦巻く心情描写は見事の一言です。一気読み必須の大作だと思います。続編を書いて欲しい。

    #感動する

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    2021年05月15日