【感想・ネタバレ】巨鳥の影のレビュー

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ネタバレ

*生活のなかで、ふとした心の隙間に忍び込む殺意や悪意が、蟻や、鳥、魚、犬、プラナリアなど、さまざまな生物と絡んで事件が発生する。のぞきや、泥棒、殺人など、犯罪の背後にあるドラマを描き、謎解きだけではないミステリーの魅放つ放つ。その根底には温かなまなざしと伏線のしかけがめぐらされている。心の揺れや、ゆがみが引き起こす犯罪&どんでん返しの妙を堪能する8篇の極上ミステリー*

いつも通りお見事な展開です!
特に今作はさらりと読みやすく、全てが集約されたラスト3行がじんわり胸に染み入ります。
謎が解けても、悪事が詳らかになっても、淡々とその事実を受け入れて静かに終焉する物語たち。
泣き笑いのまま迎えるような、不思議な読後感です。

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2021年11月15日

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静かに忍び寄る殺意。ハッとするようなトリック。8篇ともに、冷静に計算された伏線と人物の抜かり無き行動力、ふと覗かせる人間性がバランス良く融合した作品だった。

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2021年09月30日

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ネタバレ

 連作ではない短編集は久々だろうか。帯を見ると、短編ミステリの旗手・長岡弘樹さんの最新短編集は「生き物」が共通の括りらしいのだが?

 最初の表題作「巨鳥の影」からびっくり。巨鳥だと思ったものの正体は…。彼はどこで知ったのか。素晴らしい文化をこのように悪用するとは。「死んでもいい人なんて」いないと言い切れるか。どんな悪人だろうと殺せば罪になる。似たような例は現実にも聞くが、ここまで腐った人間はいないと思いたい…。

 本作の一押し「水無月の蟻」。蟻を飼育している青年が、隣りの女性に頼まれて蟻を貸した。まさかこんな目的だったとはねえ。気の毒だが自業自得か。本作中最も重い「巻き添え」。タイトル通りです、はい。現実にもある不幸な事例。ここまで偶然が重なることはないかもしれないが…。父の願いが届いてほしい。

 「鏡面の魚」。語り部の男に一切同情はしないが、こんな改竄手段があったとは。色々突っ込みたいと同時に、素直に感嘆もした。短編だから生きたネタかもしれない。これまた重い「白いコウモリ」。子ども社会の残酷さと、少年の酷な運命。あまりにも壮絶な母の愛の形とは。どうか強く生きてほしい。

 「見えない牙」の正体とは。うーむ、どうしてこんな男と再婚したのだ。その「父」とは呼びたくない男の視点で語られる、皮肉な結末に苦笑せざるを得ない。最後に「再生の日」。道を踏み外した元医学部生が、驚嘆した理由とは。このような実例が実際にあるのか知らないが、彼も再生できるだろうか。

 全8編、突っ込みたいけど唸らされる、長岡流短編ミステリの神髄が詰まっている。

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2021年09月03日

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ネタバレ

星新一流のシニカルな短編、サスペンスミステリーで
けだるいモノローグで描写も簡潔だけど物語に誘い込む力が強い、刑事が真相に気が付いても・・・「何もせんのかい!」と突っ込みたくなるぐらい淡々と終わるw
陰湿男、蟻の借用、片付けられないコボレタ砂糖なんて、ホームズ物で得意げに謎をひけらかされた気分
マザコン息子、狂気の恋人、大人びた子どもと吸血鬼、義理の娘の企み、盗まれたアレ・・・真相示されても釈然としないカタルシスも冴えわたる文章がほんわり人間も描き出している作品集(´・ω・`)

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2023年10月04日

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「巨鳥の影」「死んでもいい人なんて」「水無月の蟻」「巻き添え」
「鏡面の魚」「白いコウモリ」「見えない牙」「再生の日」
8話収録の短編集。

本作は鳥・蟻・魚・コウモリ・犬・プラナリア等の様々な生物をアクセントに用い事件に絡めた面白い趣向のミステリー。

1篇が短いながらも文章の巧みさで脳内で短編ドラマが再生される。

どの作品もラストの切れ味が楽しめるが、印象深いのは予想の上を行く表題作『巨鳥の影』
ハートフルな後味を残す『死んでもいい人なんて』
人間の裏の顔にゾッとする『水無月の蟻』『見えない牙』

8篇のドラマを満喫した。

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2023年02月17日

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短編のサスペンスミステリーですね。
モノローグ形式で余計な描写が無い分文章が冴え渡り、それでいて人間の温もりを感じさせられる文章はさすがですね。
全部で8編。それぞれに魅力を引き出した秀作だと思います。
今後の活躍が楽しみですね。

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2022年03月27日

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ネタバレ

いつもの感じの長岡さんですね〜

えっ。そうくるか?みたいな展開は、あまりなかった。
なるほどね〜くらい。

サクサク読めて、内容について
深く考えずに読み終えてしまって
みんなの感想を読んでから
鳥とか蟻とか犬とか…
あら?生き物つながりだったの?
と初めて気づいたわ

「死んでもいい人なんて」
私は1番共感できた。
そう。死んでもいい人なんていない!
なんて所詮、綺麗事で…
死んだらいいのにって思っちゃう人が多いものよ。
でも実際死なれなら、そう思ってしまったことを
きっと後悔するんだろな
だからやっぱ軽く「死ね」とは言うちゃいかんな。
とよく思うんだけどね。
でもこの話では、死んでもいい人がいた。
だから共感!

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2021年12月29日

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長岡さんらしい、わかりやすいのに面白いミステリー短編。タイトル作のように展開が読めてしまう場合も多いのに、書き方が上手いのでわかっていても面白い。

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2022年01月22日

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短篇ミステリー8篇
次々に繰り広げれる謎解きに一気読み♪
本題にもある鳥、今回は蟻、魚、犬など、さまざまな生物と絡んだ事件が巻き起こります。覗きや泥棒、殺人など、物珍しさはないものの、いつもの如く、伏線の嵐(笑)
読み進めながら、考え、悩み……爽快と落胆を繰り返す(笑)

どんでん返しの妙を堪能‼

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2021年12月26日

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今回は、少し物足りなさを感じた。あぁこれだったのかと言える作品がなかなか見つからないままで読み追わってしまった。次回に期待します。

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2021年11月15日

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ネタバレ

【収録作品】巨鳥の影/死んでもいい人なんて/水無月の蟻/巻き添え/鏡面の魚/白いコウモリ/見えない牙/再生の日
「巨鳥の影」 刑事が聞いた鳥の鳴き声のような音の正体がポイント。
「死んでもいい人なんて」 一見、窃盗犯に対する過剰防衛に思える事件。窃盗犯が忍びこんだのは息子の担任教師の家だった。
「水無月の蟻」 内気な男の隣人への暴走する思い。隣人が男の世話している蟻を借りた理由とは。
「巻き添え」 マザコン息子を溺愛する母の怖さ。
「鏡面の魚」 薬品名を間違えた医師の医療過誤か。ホワイトボードマーカーで鏡面に描いた魚を泳がせる方法が気づかせたことは。
「白いコウモリ」 交通事故で入院したままの加也斗の母は、「吸血鬼」になったのか。
「見えない牙」 義理の娘である小学生の四葉とうまくいっていない「おれ」。四葉が持って行ったスマホを取り戻すため追いかける。
「再生の日」 学費を払えなくなり、医学部を中退することになった「おれ」。過激派に入り、時限爆弾作りに手を染めるが、試作品を盗まれてしまう。
真相(らしきもの)がわかっても、すっきりしない作品が多い。現実はそんなものだろうけれども。

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2021年11月14日

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いつになく結構取り返しのつかない事件ばかりで、子ども絡みもあって、なんとなく後味が悪い話が続いたが、最後で少し希望が持てた、そんなにスッキリでもないけど。

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2021年10月22日

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あっさりとしたミステリー短編集。
鳥や蟻、犬、魚、プラナリアなど生き物をモチーフにしていた。
とてもさくさくと読めた。265ページとまあまあなページ数だけど、あっという間に読み終えた。
後味も悪くなく、むしろ不思議とあったかい気持ちになるものもあった。

表題作の「巨鳥の影」は、そんなことができる人たちがいるのか、と興味を抱いた。

ミステリーを読みたい気分だけど、ボリュームが大きいのは抵抗あるなあ、という人におすすめ。

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2021年09月27日

Posted by ブクログ

鳥、蟻、魚、コウモリ、犬、プラナリア‥‥生き物が鍵となる犯罪を描く8つの短編。

いつもとはちょっと違った切り口が新鮮。さりげなく張られた伏線にもすぐに気づくけど、短編ながら巧みに練られた展開は見事で、優しさのある結末の付け方に読後も悪くない。

「白いコウモリ」と「再生の日」が私は好きだな〜。

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2021年08月29日

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