【感想・ネタバレ】ラストエンペラー習近平のレビュー

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Posted by ブクログ

字数は少ないが内容は豊富な本。
2021年現在の国際環境は、日本にとってかなり有利になっている。チャイナ4.0の戦狼外交はチャイナ2.0の悪化版。世界的に反中ムードが高まっている。シーパワー=海軍力、マリタイムパワー=海洋力で、これは中国の理解していない同盟の戦略。
人材が常に入れ替わるため、ジェットエンジンのようなチームワークが必要な技術は開発できない。
日本が中国に対する戦略としては、冷戦期にスウェーデンがソ連とフィンランド国境に精鋭を配置したように、中立のまま台湾を支援できるような体勢をとることで抑止する。そして習近平をつまづかせる、すなわち中国からの様々な要請に全てノーと答えて習近平は失敗していると中国国内に印象付けること。
軍事テクノロジーの逆説として戦車と機関銃の話を挙げている。機関銃は陸軍のどの職種も採用せず、旅順ではロシアの水兵が使っていたことは面白い。戦車も英海軍の航空部隊から始まりチャーチルが承認、本来の任務を隠すために水槽(タンク)を開発していると欺瞞していた。
中東の木の枝と蛇の寓話。木の枝に意思はないが蛇にはある。相手は木の枝ではなく蛇であることを認識する重要性。
なんで中国はあんなことするんだろう、言うんだろうという疑問については「国内のことばかりで他者が見えていないから。文明論的にも対等は他国はおらず強者か弱者という見方しかできない」と簡潔な解答を与えてくれた。

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2021年11月07日

Posted by ブクログ

 予想以上におもしろい本でした。現代中国については、とにかく猛烈な経済成長をしているので、経済力で世界第一位となるのは時間の問題なので、習近平の支配が成功していると考えたくなります。彼は政敵になる可能性のある共産党員幹部たちなんと153万7000人を虐殺や投獄によって一掃し、憲法改正までして終身国家主席という地位を確保して独裁者となりました。
 任期が決まっていて、後継者は選挙で選ばれるなら、クーデターによる暗殺の影に怯える必要はあまりないのですが、終身独裁者は常に暗殺に怯えて政敵を抹殺し続けなければならないところに彼の最大の弱みがある。そして彼がその地位を守るためには、経済成長と国力拡張を臣民に見せ続けなければならない。そして彼の強気な一帯一路や香港や台湾併合をめざす膨張路線はあらゆるところでトラブルを引き起こしている。
 
 この本は、戦略の逆説的論理(パラドキシカル・ロジック)についてさまざまな実例を紹介しながら説明してくれます。戦争が平和をもたらし、平和が戦争の原因となるということいついて我々は危機感を持らなければならない。
 台湾は徴兵制を廃止して国防をアメリカ任せにすることで、経済的な発展と平和を享受していますが、その姿は日本とまるで一緒である。こういう視点から現代情勢を見つめ直すことが、平和ボケした日本人には必要だと思いました。

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2021年07月29日

Posted by ブクログ

習近平を「つまずかせる」には、面子を潰すことだ。中国が格下と見ている国が習近平に「ノー」と言い続けることだ。
中国がオーストラリアにつきつけた「不満」がすなわち「弱点」なのだ。ここを突けばよい。

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2022年02月15日

Posted by ブクログ

訳者の奥山さんが著者のルトワックさんにインタビューなどをしたものをまとめた、ということなので半分くらいは共著に近いのかもしれない。実際、いつものルトワック節論文よりかなり柔らかい感じの習近平論考になっていると思う。
中国は確かに豊かになり強くなったが、それが災いして戦略的には弱くなる一方である、例えば、という論考がいくつも披露される。曰く、チャイナ4.0になって内も外も全方位に喧嘩を売って回る戦狼外交があらゆる他者を反中国同盟に駆り立てる。ジャックマーはじめ国内の起業家を叩いて回るから中国経済の行方に暗雲が立ち込める。お前たちは小国だから黙っていうことを聞けと明言するほどの外交音痴。
毛沢東になりたい習近平がラストエンペラーだというのは説得力があると思う。そのメンツを潰す小さな不同意を小国が積み重ねれば習近平は倒れるだろうとの予測もそうだろう。しかし、最末期の彼が乾坤一擲の台湾侵攻に賭ける恐れが増すのではないか。そうなれば米軍は沖縄その他日本の基地から出撃するから日本は必ず当事国になる。それが嫌で基地利用を認めなければ日米同盟が破綻するから選択の余地はない。そんな選択をせずに済む軟着陸を考えたいがそうは問屋が下さぬかもしれないね。

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2021年12月07日

Posted by ブクログ

国際政治というのは複雑だが面白いと感じました。中国はこれからどうなるんでしょう?
大国が小国に勝てるとは限らない。
これに尽きる気がします。
習近平がいなくなるまでは、中国は拡大志向なんだろうと思います。転換はできないんでしょうね。

あと、軍事力の大切さも改めて痛感です。

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2021年08月28日

Posted by ブクログ

「大国」のアクションに対しては、必ず「小国」のリアクションが有り、「小国」は連帯するというのが一つ。
中国には、対等な外構という経験値がゼロであるため、「強者」と「弱者」の概念しかない。だから中国は戦狼外交に陥ってしまう。しかも独裁者の顔色をうかがう事が最優先な貯め、外を見ていない。これがもう一つ。

ただね、森を見て木を見ずというか、さすがに有人戦闘機や軍艦を無用の長物扱いは先を見すぎ。そこは同意できないのね。

薄い分、☆一つ減

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2021年07月29日

Posted by ブクログ

筆者がチャイナ1.0としている韜光養晦の終わりにより、中国が敵を増やしてしまっているのは指摘の通りだと思う。理由が大陸国だからなのかは分からないが、海軍力と海洋力(同盟戦略)の違いを理解できておらず空母に手を出してしまっているという指摘も頷ける。9段線の主張は引っ込みがつかなくなっているのだろう。

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2022年01月10日

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