【感想・ネタバレ】まぜるな危険のレビュー

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Posted by ブクログ

 ☆「アントンと清姫」
 ソヴィエトの科学者アントンに捨てられた清姫は蛇体とかして、モスクワに彼を追い、クレムリンの大鐘に隠れた彼を鐘ごと焼き殺す。この史実(?)を時間砲のよって変えようとする科学者の息子は……。
 クライマックスの祝祭感をなんとなくアニメっぽいな、と感じた。
 ☆「百万本の薔薇」
 深紅の薔薇の確保と、前任者の怪死の謎を解くべく、中央から薔薇を栽培している秘密都市へ送り込まれた、野心家の科学者。しかし。
 よくあるニューロティックなサスペンスかと思いきや、という一本。野心家で、如何にもヤな奴の主人公の、隠しきれない人の良さに味があっていい。
 ☆「小ねずみと童貞と復活した女」
 伊藤計劃氏の没後に書かれたトリビュート作らしい。まず「屍者の帝国」の設定に「白痴」を足す。で、ムイシュキン公爵って白痴から天才を経て白痴に戻る、これアルジャーノンじゃね? と言うんで更に「花束を」足す。事のついでに、「ドウエル教授の首」その他をプラスして産まれたスラプスティック・アクション・コメディ。ドウエル教授が生きてる首を通り越して、「生きている脳」になって、赤毛の青年と宇宙を駆ける夢を見る辺りで爆笑したが、著者の前書きによると、ネットでの評価の半分は酷評だったらしい。さすがに悪ふざけが過ぎると、伊藤計劃ファンの憤激でも誘ったかなあ。
 ☆「プシホロギーチェスキー・テスト」
 金貸し殺しを企むラスコーリニコフは市場で奇妙な冊子を手に入れる。それはずっと後の日本で書かれた小説「心理試験」だった……。
 〈心理試験〉の犯人がラスコーリニコフなのは読めば分かるレベルなので、却ってネタにはしにくいように思うのだが、そうくるかという。
 ☆「桜の園のリディヤ」
 気まぐれな旅の青年は、田舎駅で出会った少女に旧知のように扱われて困惑するのだが……。
 悲劇的な状況にある少女と、それに巻き込まれた青年のラブロマンスになりそうでならないところが、作者の持ち味かと。
 ☆「ドグラートフ・マグラノフスキー」
 〈ドグラ・マグラ〉が元ネタのニューロティック系サスペンス(?)に、こーゆー脱力系の……。久作の時代はともかく、今となっては陳腐極まりないアイデンティティ・クライシスの物語を、変に有り難がる風潮というのは小馬鹿にされてしかるべき、ってことだろうか。

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2021年08月16日

Posted by ブクログ

読書備忘録665号。
★★★☆。

SFとロシア文学のリミックス短編集とのこと。すなわち超マニア向け短編集。笑
言い方を変えると、作者が楽しくて自ら三題噺を起草して、仕上げて大喜びしているという図。これ、みなんさんも共感してもらえますよね!面白いでしょ!という思いがずんずん伝わってくる。

前提条件として、非常に幅広いSF好きであること。そしてAnd条件として、ロシア文学をある程度知っていること。この条件に当てはまるのは、レッドデータブックに載るくらい希少な読書家の方々。笑
私は当然当てはまらない・・・。

そんな中でも、2作ほどはドツボにハマりました。なので間をとって★3.5。

「アントンと清姫」歌舞伎のネタなどになる清姫伝説?なるものと、クレムリンにある鐘の皇帝なる世界一の割れ鐘のリミックス。よく分からん。笑

「百万本の薔薇」自身のカラマーゾフの妹という作品と、ソ連のヒットソング百万本のバラのリミックス。カラマーゾフの兄弟からの妹からの・・・。ということでこれも面白さがわからん。笑

「小ねずみと童貞と復活した女」早世の天才作家伊藤計劃の遺稿を円城塔さんが書き継いで完成させた「屍者の帝国」。そしてドストエフスキーの「白痴」と、古典SFの傑作「アルジャーノンに花束を」。さらに「ソラリス」と「ブレードランナー」がエッセンスとして加味された傑作。★5つです。笑

「プシホロギーチェスキー・テスト」「罪と罰」と江戸川乱歩の「心理試験」。面白くないわけがない!★5つ。

「桜の園のリディア」佐々木淳子さんのSFコミック「リディアの住む時に・・・」とチェーホフの「桜の園」。どちらも知らない作品ですが、作者が言うようにどちらの作品も知らなくても楽しめるように書いたと。時間SFの要素が大層面白かった。

「ドグラートフ・マグラノフスキー」夢野久作さんの「ドグラ・マグラ」とドストエフスキーの「悪霊」だとか。ぐちゃぐちゃ感が半端なく楽しめた。

★2が2作、4が2作、5が2作。結果★3.5です。笑

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2022年07月03日

Posted by ブクログ

人間椅子を参考にしてしまった判事は一体どんな捜査をするつもりなのかwww
各作品についている前書きも面白い。
悪霊ちょっと読んでみたくなった。

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2022年06月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロシア文学に色々混ぜ物をした、パロディ?パスティーシュ?短編小説集。
作者は「カラマーゾフの妹」の高野史緒だから、混ぜさせたらそりゃ上手いだろう(未読だが)、とはいえ、混ぜる元ネタをあまりに無知すぎて、本来の面白さを感じきれなかった。主観で星×3だが、失点は完全に読者側の不勉強が原因なので申し訳ない

長い、重い、固有名詞ツラい…で手を付けていないロシア文学。この本を読んで、元ネタも読んでみようかなぁ…と思わないところが、またなんとも情けない俺。ご時勢的にもロシア文化を知っておくってのはいい勉強だとは思うのだが…軟弱である。

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2022年05月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「アントンと清姫」★★
「百万本の薔薇」★★★
「小ねずみと童貞と復活した女」★★★
「プシホロギーチェスキー・テスト」★★★
「桜の園のリディヤ」★★★
「ドグラートフ・マグラノフスキー」★★★

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2021年11月20日

Posted by ブクログ

「ロシア文学+SFの超絶リミックス全6篇」とあるとおり、ロシア・ソ連ネタに絡めた6篇の短篇集である。ネタは必ずしも文学とは限らないが、翻訳的な乾いた文体で展開される話はどれも一読の価値はあると思う。中でも「子ねずみと童貞と復活した女」は古今東西の様々なネタがぶち込まれた闇鍋風で、とても楽しかった。ロシア文学には疎い(というかほとんど読んだことがない)ので、元ネタを知っていたらもっと楽しめたかもしれない。

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2021年09月19日

Posted by ブクログ

SFものは苦手だが、面白く読めた。混ぜる前の原作を知らなくても良いのだが、3作目は余りにたくさんの投入で難しかった。私的には「プシポロギーチェスキー・テスト」と「桜の園リディヤ」が最高だった。

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2021年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何気に混ぜたら意外に美味しかった、これ、まあ好みは分かれるけどねーといった感じか
混ざらないもの同志を混ぜたのではないので毒性のものは感じられない
出てくる面々もまさか自分がこういう局面を迎えるとは思わないだろう
作者の解説により、元作品覚えてなくても大丈夫というか、解説の自由度が高くてよい

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2021年09月09日

Posted by ブクログ

SF。短編集。
ロシア文学と日本文学とSFのミックス。
今まで何度か挑戦していたが、苦手な印象が強かった作家さん。
ストーリー的に面白いとは思わないけど、作風はかなり独特で興味深い。
読んでいると癖になりそうな感じもする。
なかなか評価が難しい作品。著者の作品をもう少し読んでみたいとは思った。

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2021年08月10日

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