【感想・ネタバレ】神のロジック 次は誰の番ですか?のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

なるほど、本書の帯に「ミステリが明らかになった後の衝撃・その後にある気持ちが湧き上がってくる」ということを書いてありその意味がよくわかった。

物語の後半から一気に増すスピードと、読後にわかる細かな伏線。
私は普段ミステリ小説はあまり読まないがなかなかにハマりそうな読後感だった。

以降はネタバレになるが、本書の肝となる「ファンタジー・共同幻想」は現代にも似た部分が多分にあると思う。

SNSの普及によって自分好みの情報だけを取捨選択できる環境が整った。
だから自分の知っている世界は一面的で偏りができてしまっているかもしれない。
そして、そのことに気がつくこともできないかもしれない。

結果としてある物事に対して一面的な部分しか見れない者同士で対立が生まれる。
論理の飛躍は百も承知だがそれこそが宗教戦争なんだと。

そういったことをこの本から伺った。
たしかにある気持ちが湧き上がる本だとおもう。
焦りにも似たある気持ちが。

私はこの本を多くの人にお勧めしたい。

0
2023年06月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

よくオススメに出てくるので観てみた。
真相には、オオオっとなりました。
学校(ファシリティ)には、10~12歳の6人の生徒がいるが、ここに来る直前の記憶がないという設定。
なんで学校がファシリティと呼ばれてるのか、ワークショップと呼ばれる謎の実習、異様に柔らかく薄味な食べ物、新入生を迎え入れる時に感じる恐怖等々、右を見ても左を見てもとにかく謎だらけの状況。
“共同幻想”には陥ることの恐ろしさご物語の真実に繋がっていて、SNSで歪んだ情報がそこら中に転がっている現在において、非常に響くテーマの作品でした。
真実に辿り着いた生徒はこれこの後どうしたらいいんだ…笑
自分が何を信じていて、それを何故信じているのか、改めて見直したくなりました。
多分まだまだ気づいていない伏線があると思います。

0
2024年02月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 世間から隔絶した学校で起こる不可解な出来事と殺人事件が起こるミステリー。このミステリーの仕掛け(子供だと思っていたら70歳以上の老人だったという叙述トリック)には何となく気づいたが、そこまで持っていく伏線の設定や作中に出てくる「共同錯誤」「妄想の移植作業」は本当に薄ら寒いという感覚に陥った。ラストのバッドエンド風の終わりかたもこの物語であれば納得。

0
2024年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なるほどなー!とうっすらとあった不自然さが腹落ちしてよかった。
子供の心をもった老人たちを世話する、ファシリティで働いている人目線でもう1章読んでみたいな。

0
2023年05月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

学校という名の謎の施設に集められた6人が、事件に巻き込まれる話。
前半読んでいて、漫画の約束のネバーランドが思い浮かんだ。
結末には、あっと驚かされた。読みやすい作品だった!

0
2023年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・面白かった。
ある書店員激推し!のアオリに釣られて読んだ。読んでよかった。
結末はさておいても、前半の軽快だが不穏な雰囲気が好きだ。マーダーミステリーという遊びをよくやるが、そのプレイ時のようなワクワク感があった。『各地から集められた僕たち→事件に巻き込まれる→実は探偵訓練施設だった』というシナリオでそのままマダミスが作れそう。どなたか書いてください。
・ルゥの脱走以降のパニック状態は、圧倒されて読む手が止まらなかった。悲しい事件でしたね。
・改題前の『神のロジック 人間のマジック』はもうそれだけで認知の歪みがキーなんだなというネタバレ感があるので、改題してよかったと思う。
・感想を書いている他の皆さん同様、自分もカタカナの名前を覚えるのは苦手だ。地図と見比べながら この部屋の人が妃殿下ね…ふむ…と読めるのは助かった。3対3になりがち、という構図も人柄を覚えるのに役立った。

・前世説は自分には響かず、VR説は結構信じてしまった。これも結局、自分の思想に近い(VRは存在することを知っていて、そのオチなら納得度が高い)からなんだろうな。
電話室のくだりは、ムムッ、怪しげな機械!やはりVR説!というように、都合よく自説を補強しながら読んだり。コットンおばさまと寮長が「NPCにしては魅力に欠ける」とうっすら感じつつ、それはタネ明かしのときに何かが明かされるはずだから…と、自説に反する情報は無視したり。
・年齢のトリックは終盤まで気が付かず、確信したのは、帰ってきた寮長が「ファンタジー」という発言をしてから。VR説含め、どれでも無いんだろうな〜とは思いつつ、あまり推理もせず読み進めてしまった。
途中、それまでのモノローグに比べて一段とマモルが幼くなる気がするが、意図的なんだろうか?
・叙述トリック的な作品は、「読者」を思い込みへ誘う「作者」の存在をどうしても意識して、うがった読み方をしてしまう。本作は、あくまで作中人物の意思で騙しに来ていてよかった。
60年間の記憶が無いのに、ここ一年の新しい記憶は細かく積み上げられる…というのはちょっと都合が良いかしらね。マモルだけならともかく、全員がそういう特性とは。

・文体や読み口は若者向けっぽいが、大人が読んでこそヒヤリとするテーマのような。全員、よく考えるしよくしゃべる老人で、家族はどんなたいへんな思いをしてその(博士の元へ預けるという)選択をしたのか考えてしまった。
ステラおばあちゃんは特に、ご家族にもつらく当たったりしたのかしら。プリンシパルへ来て自分のファンタジーが肯定されたからこそ、壊れたときの反動が大きかったのもあるだろうが、そもそも何らかの“素質”があったのでは…なんて勘繰ってしまう。
マモルくんが早く馴染めたのは、母の教育の賜物ですね。
・60年分の人生を失った、というくだり、読んでいてつらかった。誰の身にも起きることですね。お金を払ってでも施設へ、という点だってそうだ。
結局、父母の元を離れて祖父母の家に→成人して自分の力で生きる→家族ができる?→国外で老後を過ごす?→姥捨山へ送られる ということなのか。両親のことも作中で解決すると期待したが、しなかったんだろう。
一緒に生活した謎の中年男女が自分の子なら、マモルくんパートナーいたうえでステラちゃんにときめいてたわけか。それも、誰にでも起こることだなあ。

0
2023年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

sfチックなミステリ。
登場人物が少年かと思いきや実は老人で、客観の意見が主観になりうるのか(少年だ少年だと言われ続けたら五感で自分を少年だと認識するのか)の実験をしてた施設の人たちの話。
設定がちょっとなという感じだったけど登場人物の推理とかなかなか面白かった。

0
2023年09月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これは何を読まされているのだろう…そもそもなんでこの本買ったんだっけ?と思ってしまうほど、全く意味不明だった。途中。
なんとなく、ポエトの考えに引っ張られて読み進めていったが、真実がわかると鳥肌ものだった。辻褄も無理に合わせてあるようで、きっちりはまるのは流石だと思った。

0
2023年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 西澤保彦らしい、SF的な特殊な設定のミステリ。人里離れた全寮制の「学校」で、生徒は厳しい制約を受けながら、風変わりな課題に挑んでいる。
 なんらかの隠された真相があることは明らか。作中でも、登場人物は、この「学校」が、前世人格再現能力者を研究している場所だとか、ヴァーチャルワールドであるとか説、秘密探偵養成所であるなどの推理をする。
 真相は、登場人物は本当は全て老人。ある種の健忘症が原因で、10歳から12歳までの間で記憶が止まっている人物を集めていた研究所だったというもの。情報が歪んでいても、全員がそれを受け入れれば、それが社会的事実となる。いわゆる共同錯誤というものを研究する場所だった。
 老人ばかりを集めた施設をつくり、主観的な認識の歪みによる少年少女のコミュニティに変貌させるという、「校長先生」=デボラの計画。この真相を示す伏線が張り巡らされている作品である。
 残念なのは、少年・少女と思われていた登場人物が、全て老人だったという真相に近い作品として、UのHという傑作が存在する点である。私自身も偏愛する作品であり、この真相である以上UのHを超えない…どころかさほどの衝撃もなかった。「ああ、そういうことか。」程度の衝撃となってしまった。
 この作品は2003年の作品で、UのHも同じ2003年の作品。他の人の感想、レビューを見ても、「ネタに共通するところのある某作品を先に読んでいたため、…真相の衝撃がやや減じてしまった。」というものがあり、そうだろうな、と感じてしまう。
 一番のポイントとなる「少年・少女と思われていた登場人物が、全て老人だったという真相」という部分の驚きがそがれてしまうため、どうしても評価が低くなるが、伏線は多数、張られている。「学校」の建物がもともと病院だったのではないかという描写、鏡を見てマモルが自分の顔ではないと感じる場面、バスケットボールなどの球技に交じってそれとなくゲートボールという記述があったり、老人が食べるような食事、スナック菓子が消えるという描写があったりするのも、全て「実は老人でした」という真相の伏線
 もう一つ、この作品の特徴は、「実は老人でした」という部分だけでない。老人であることが叙述トリックとして読者に伏せられているのではなく、人間の認識能力の危うさを背景とした共同錯誤現象として、登場人物の誤信しているという点。客観的な事実として70歳を超えるが、主観的には10歳から12歳だと思っている登場人物がそのような共同錯誤現象に陥っている。新しい仲間が入ると、その共同錯誤現象が崩れるおそれがある。共同錯誤現象が崩れることを極度に恐れ、その原因を排除しようとするもの=怪物。それはステラ・出るローズ。ステラは、自分が11歳の少女であるという幻想に耽溺しており、それを崩そうとするもの、そのファンタジーを否定するものを殺害する怪物となっている。
 共同錯誤現象を宗教に例え、楽園の破壊者=異教徒を殺害する。作中でも、マモルと母親のエピソードとして、宗教戦争として、自分が信じる神を信じない人を殺害するといった話が出ており、これも伏線となっている。
 最後、ステラは自身のファンタジーを否定する全ての人物を殺害し、「学校」は崩壊。マモルは、記憶か60年ほどの歳月が失われている事実を受け入れ、60年以上の前の母親とのエピソードを思い出しながら終わる。
 UのHを読む前に読んでいれば…というのは意味のない仮定だろう。UのHを読んでいるという前提でしか評価できないが、評価としては★4には至らない★3の上位という印象。よくできた作品であり、インパクトもあるのだが、突き抜けてはいない。そんな印象

サプライズ ★★★☆☆
 UのHの存在を前提とした評価ではある。もっとも、この作品は、読者を騙そうとするというより、共同錯誤現象という設定のために、「実は老人でした」という真相を用意しているので、仮にUのHを読んでいなくても、初めてUのHを読んだときほどの印象はなかったかもしれない。そういった意味では、先にUのHを読んでいたことはラッキーだったともとれる。
熱中度 ★★★★☆
 真相が気になって先が気になるレベルではあるが、何も手が付けられないほど入り込むほどではない。上手い小説ではあるが、突き抜けた要素がないと感じるのはこの点。平均点が高く安定している西澤保彦の作品らしくはある。
納得度 ★★★★☆
 強度錯誤現象や実は老人でしたという真相を裏付ける伏線は多く、特殊な設定と相まって、それなりの納得度はある。上手い小説である。玄人評価が高そう。
読後感 ★★☆☆☆
 客観的には老人で、主観的には子ども。60年程の人生を失っているという点は悲劇でしかない。学校は崩壊し、ステラが関係者を殺害。読後感はかなり悪い。とはいえ、最悪の読後感というところまではいかない。
インパクト ★★★★☆
 実は老人でしたという真相や、共同錯誤現象、クローズドサークルや、「学校」を舞台とした実習等、インパクトはあり、読後感の悪さも相まって、この作品の内容は時間が経っても覚えていそうではある。
偏愛度 ★★☆☆☆
 UのHが好きすぎるので、そちらとの比較で、どうしても偏愛度は下がる。

0
2023年04月19日

「小説」ランキング