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読みやすかった。最初は重すぎて断念しそうになった。壮絶な過去に立ち向かって、乗り越えて幸せになれたことに感動した。支え合える人がいるのは幸せなこと。人は1人じゃ生きていけなくて、誰しもが誰かの大切な人として生きていると思った。暴力を振るった相手の面倒を死ぬまでみるなんておかしいが、罪悪感や依存の感情からきてしまうのかなと思った。親の言うとおり、旦那の言うとおりで生きてきてしまった母は優しすぎたんだと思う。自分の生きたいように、自分の人生を生きるべき。罪のない子どもを巻き込んだことはおかしい。産んだからには最優先に考えるべき。
自分ももし周りからみておかしい状況でも、それが正しいと信じてしまったら抜け出せないのではと考えてしまった。周りからおかしいとかかわいそうとか逃げればいいと思われても自分が後悔のない道を選んでいれば、満足なのかもしれない。母も父に囚われる人生で満足だったのかも。
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読書備忘録708号。
★★★★★。
主人公、横沢史也は建築専門カメラマンのアシスタント。中1の時の夢を見る。斧で父親の頭をかち割り殺す夢・・・。
史也は両親と妹の千尋の4人家族だった。青森の山間部にある集落に住み、父親から常態化した虐待、DVを受け続け、父親に斧を振り下ろした・・・。
実際には、日頃から横沢家の内情を薄々感じていた
駐在さんが止めに入り、事件は父親が階段から落ちた事故として処理された。そして父親は半身不随に。
史也は弘前の叔母に預けられ、東京の大学に進学し社会人となったが、史也の心の中で、その過去はひとつも解決されていなかった・・・。
整形外科医の看護師、梓。
史也は撮影の時に手首をひねり、念のため近所の整形外科医へ。整形外科医は、史也のレントゲン写真から過去に骨折している痕跡などを問診し、梓はそれをじっと聞いている。
そして、史也と梓の運命的に出会う。
梓曰く、貴方はこちら側の人間。
どうやら梓も青森の出身・・・。お互いいつか、過去に何があったか話せるようになればいいね。
史也が時々通っていたキャバクラのメンヘラホステス水希の自死。キャバクラの店長は、水希を良くしてくれていた史也に、水希のお骨を母親に届けて欲しいと依頼する。
史也と梓は連れ立って水希の母親を訪ねる。
そして母親のあまりにもの態度から、自分たちも生きている間に、過去との決着をつける必要があると、青森へ決意の旅を決心する。
梓の母親との再会。梓を極寒の季節に児童保護施設に置き去りにした母親。
あと数分発見が遅れれば凍死していた。言い換えれば明確な殺人未遂。
史也の母親、父親との再会。末期の病に侵された父親。13歳の時にやり損なった殺意の再来。
2人はそれぞれの過去に向き合い、折り合いをつけ、拭えない過去を抱えながら再び歩き出す・・・。
絶対に子供を捨てない。
絶対に子供に手を挙げない。
重いテーマだと一言で片づけてはいけないのでしょうが、片や強烈なラブストーリーで、とても面白かったです。
章立てが朔になぞらえ、三日月、上弦の月、十五夜の月、下弦の月、新月と移っていくのも凄く好き!
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内容はとても重いが、窪さんの文章はとても読みやすい。だからこそ読むの気力が必要な小説だった。
親からの暴力や育児放棄から生き延びて大人になった人を「DVサバイバー」と呼ぶらしい。この本の主人公は小学生の頃より父親からの暴力を受けながら育ち、家族と自分を守るため、ついには父親に手をかけるとこまで追い付けられてしまった男性。
今はカメラマンの助手として、東京で普通に暮らしているが、その生活のそこここに当時受けた心身の傷が影を落として彼を苦しめている。そんな彼の住処に流れいついた女性、その人もまた、ぬぐい切れない過去を持っているのだった。
重くて読むのがとてもしんどい物語だった。DVで苦しむシーン、大人になっても記憶に苦しむシーン、彼らはただ生き抜いただけなのに思い出が辛かったり苦しかったり罪悪感を覚えたり…そんなシーン全てが、読んでいる俺までもツラくさせる。
これがフィクションだと割り切れないほど、現実にはもっともっとひどい仕打ちを子供にするクソ親がいる。ニュースをみるのも辛くなるようなカス親が世の中にはいる。俺にはどうしようもないけど、そういう連中はとっとといなくなれ、ビニル袋を減らそうとするより、こういうクソカスを減らすことこそ、政治がするべき業務じゃないのか?
読んでいる間、ずっと妻や娘の名前をつぶやいていた。俺は彼女らに暴力などふるわなかったし、これからも絶対ふるわないが、どなってしまったこともあれば、感情をぶつけてしまったこともある…、クソカスな親になってしまう要素はもっているんだと自覚する。自覚することから抑制が始まる。飲酒をやめて理性を維持できれば抑制は続けられるはず。痴呆(あえてこの単語にする)など病で抑制ができなくなったときは、正直死んでしまいたいと思っている。
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表紙の印象から、何度となく手に取っていた本
親ガチャという言葉を聞くことがあるが、子どもに親は選べない
そんな苦しさを感じる内容だったように思う
憎悪がなくなることはない
あっけなく終わりがくる
主人公の内側を、丁寧に読みとることができた
建築物という、無機質なものとの繋ぎもおもしろかった
重い内容ではあるが、とてもすらすらと読めた
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どんなに遠く離れても忘れようとしても、親との関係は離れられない。でもそれに囚われていてはいつまでも止まったまま。自分は親とは違うと思って、今大切な人を想って生きて欲しい。
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自分は家族がすごく好きで、愛されて育ったということに疑いはないけれど、両親の育て方すべてが正しかったとは思っていない。
愛はあったけれどかなり厳しかったし、SNSが発達した今の時代ならおそらく「虐待」と言われ拡散されると思う。
だから、史也の気持ちが、本当にほんの少しだけかもしれないけど、分かると思った。
いつ踏んでしまうか分からない父の地雷、その怒鳴り声に怯え過ごした幼少期を思い出した。
こんなにうまいこといかないよ、と思う人も多いかもしれないけれど、史也と梓が出会えてよかった。
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かつて中学1年の時に僕は、酒を飲む度に荒れる父親に手を焼き、遂に斧で殴りかかって殺そうとしたことがある──心に傷を負ったまま家族とも離れ、悪夢のような記憶とともに生きていく史也。荒んだ生活の中で、看護師の千尋との出会いから、徐々に自身の過去に向き合おうとする──これは「決別」と「再生」の物語。
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ずっと子どもの頃の辛い経験を抱えて生きてきた。辛い経験を抱えたもの同士でもなかなか分かり合えないと思うのに、梓の関わり方はすごい。
これからに希望が持てる終わり方が良かった。
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深紅の背景、血痕が染みついた斧。
装丁を目にした瞬間から不吉な予感が脳裏を過り怯んでしまう。
父親の暴力に苦しむ家族がいる。
そして少年は自分の中に黒い炎を噴き出す龍を飼い慣らす。
実父を憎悪し殺意をも抱かざるを得ない僅か13歳の少年の境遇があまりにも不憫だ。
行動を起こさない母に対しても怒りが募る。
暴力は身体と同時に心も破壊し、どれ程の年月を重ねても受けた傷は永遠に残る。
親だから絶対ではない。
親を憎む事に罪悪感を感じる必要もない。
ラスト五行の美しい筆致は圧巻。
人の痛みを知る彼らなら未来を恐れず生きていけるはずだ。
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他人の行動のベクトルは見積もるものじゃないと強く思った。家族制度や建築物としての「家」の多大な存在感の強さが加害性を持つことを改めて実感する。
昔に親から受けた暴力により、自分の子にも暴力をする人と、それだけは絶対にしないと違う主人公、綺麗事だけではなく自らが孕んでいるかもしれない暴力性を自覚しながらも決意して生きていく様は少しの希望があった。
1日半でこの分量の小説を読めたのは初めてかも。
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場面転換、弘前と東京の地点ごとに生まれる感情・関係性との結びつきも興味深く。
後半につれて全体の構成を意識させられる作品となっており、梓との出会いから、幼少期の暴力的な描写、そして弘前での決別…その全てが各々一つの枠として進んでいるのに、どこか複雑に絡まっている要素がある。空間と感情の絡ませ方に脱帽しました。
エピローグについては、少し凡庸な感じはしました。というより、窪さんなので、エピローグを作るということは…?と深読みを余儀なくされるため、最後まではハラハラさせられる。その結果なので、胸を撫で下ろす感覚に近い。
なんといってもキャラがとても良い。伯母・吉田さん・駐在さん…様々な大人が関わり合いを持ちながら、各々の考え方を広げさせられる。改めて正しい・正しくないで割り切れるものなど、この世にはないのだと。
史也の境遇には共感させられる生い立ちの自分でしたが、妬み・恨みは感じたことがなく。同じように暴力が蔓延する家庭の中で育った人間でも、受け取るものは違う。それは、単純にDV一つとっても具体性の違いなのか、わたしと小鳥とすずと、なのか・・・。
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虐待を受け父親を殺そうとした主人公が、同様に恵まれない女性と出会う事で、故郷に戻る事になる。
そして過去と向き合う中で。。
過酷な子供時代を過ごした人の、親への感情がかなり真実味を帯び心に迫りくる。最初のショッキングな出だしからは淡々と物語は進んでいくのだが、最後まで飽きさせないストーリー展開やキャラクターの深掘りもきちんとされている。
文量も適当で読みやすい文体、絶望的に悲劇的でもなく、真実味があるラストも良い。
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いわゆる虐待サバイバーとされる人が主人公。
「俺たちはサバイブしたのか?」
と問う主人公の言葉は重い。
酔って暴れる父親、別れない母親、暴力が始まると目が見えなくなる妹、そして主人公。
主人公は薪を割るための斧で父親を殺そうとしたことがある。
けれどそれは周りの大人たちによって「犯罪」とはならない。
本当は法によって裁かれるべき人間なのに、今もまだ殺意はあるのに、と思いながら主人公は生きている。
同じように実の親を許せないと思いながら生きている女性と出会うことで物語は動く。
建築物を撮るカメラマンをしている主人公は仕事で自分の地元である青森に行かなければならなくなる。
そこにその女性とともに行く。
1度会って欲しいという周りの言葉。
まだ心に残る殺意。
許すべきか?いや、そんなの無理だ。
虐待の描写があるので読むのは辛いシーンもあります。
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家には秘密がこもる。その家族だけが抱えている秘密が。あらわにならなければ、その秘密は腐臭を放つ。この家もかつて、そうだった。母はその秘密を消すように、僕が家を出た後、必死であの出来事の痕跡を消してきたのだ。(p249)
2022.01.07
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窪美澄さんの最高傑作 - 窪美澄「朔が満ちる」★★★★☆
窪美澄さんの最高傑作だと思う。盛り上がる訳じゃないけど読ませる力量は感服してしまう。面白すぎて3日で読み終えた。
「家族」という逃げられない絆。キズナというと急に美談になるが、絆とはホダシとも読み「馬や犬をつなぎとめる紐」という意味になる。その紐を断ち切るというのは容易ではない。それは家族という安息の地を捨てるということだ。自由を手に入れることはリスクを伴う。キズナは結ぼうとするものではなく、自然と形成されるものなのだ。キズナなのかホダシなのか似ているようで違うもの。その見極めは難しい。
父を受け入れようとしない点が物語なのにリアルだった。なにより家族を大切ににしようと思った。
朔は新月のことなので空っぽの主人公がだんだん満ちていってまた新月になるってことかしら。繰り返す的な。難しいタイトルだな。
ただ、真っ赤で斤が印象的な表紙は変えたほうがいいと思う。インパクトはあるとけど、猟奇殺人ものに見えちゃう。内容にあってないよ。
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衝撃的な話からスタートしたのが、
良かったのかスラスラと読めた一冊。
内容としては、
もう少し色んな展開(よくいうハラハラした展開)があるかと思って読み進めていたので、
少し肩透かしをくらった印象。
いい意味で何もなく終わった。
違和感なく現実離れしていないので、
感情移入しながら読み進めれた。
普段、雪を見る機会がないエリアなので、
地図見たりとwinter againを聴くとか
別の楽しみができた本。
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窪さんが得意とするところのR18文学とは、少し景色が違う。
父親の暴力に支配された家庭に育った少年。彼は、13歳の時に、父親を殺意を持って斧で打ち続けた。父親は、死なず不自由な身体となり、妻である彼の母親の介護が必要となる。
彼自身は、その罪を認めようとするが、周囲は事故によるものとして処理して、家族と離れて叔母の元成長していく。
成長しても、少年の時の罪の意識に葛藤する。しかし、そこに後悔はない。子供さえも守る事ができなかった母親への憎悪さえある。
父親の病死を迎えても、過去の呪縛から逃れられない。彼が、崩壊した家庭からのサバイブできたのは、理解し合える妻と子供を得た時。
最終章の新月は、朔からの始まりの月。
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13歳。酒を飲んでは家庭内暴力を繰り返す父を僕は殺そうとした。
虐待を受けて生き残った子供をサバイバーって言うの?
生きるか死ぬかなんだね。
重い話だった…メンタル強な時に読むのをおすすめします…
Posted by ブクログ
窪さんの表現が好きで、何作か読んでいます。
いつもは知らぬ間に引き込まれて、
小説と自分の境目がどろどろに溶けて
わからなくなる。。
といった感覚なのですが、
本作は展開の都合が良すぎて
終始冷静になってしまいました。
お話を進めるためにこの登場人物が出る!みたいな。。
筆致はとても素敵だと思います。
Posted by ブクログ
一気に読んだ作品
大きな傷を背負った2人の再生の話。
子供の頃にサバイブし逃れられない十字架を持つ史也と梓。同じ傷を持つ同士はさらなる強い結びと恐怖が覆う。
過去は変えれる。見方を変えれば。
その時わからなかった気付きがたくさんある。
誰かに寄り添い、同じ時を過ごすことがこんなにも難しくて潰れそうで。支えが言葉が触れ合いが生きる糧になる。
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DVの父親殺人未遂を13歳で起こした青年の再生サバイブ物語。
捨て子だった梓、メンヘラの水希と青年の周りの子供時代に虐待を受けた女子の話も心苦しかったです。
サバイブしそこなった水希への後悔や父を殺しそこなった上に罪に問われない苦悩はとてもかるものではなかったですが、自分の出自を梓に支えられながら見つめなおせたことで、過去からの脅迫感に苛まれることがなくなったことは良かったです。
コロナ前に週刊連載を読みかけていたので気になっていた久しぶりの著者の作品ですが、すっきりしました。
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好きな作家の本。
虐待を受けていた主人公の暗らく壮絶な子供時代
13歳のときついに斧で父の頭を割るが父は死なず・・・
駆けつけた駐在さんの助けもあり事故として処理されたが、それからも父親への殺意と罪悪感が消えず葛藤しながら生きていく。
全体的に暗く重たい話だし、
結婚して絶対幸せになってやるという脅迫観念みたいな気持ちや
親になる恐怖とかは読んでて結構つらい
伯母、妹、駐在さん、上司、彼女に助けられながらトラウマと向き合い、最後は明るく終わったのは救いかな
Posted by ブクログ
*
『朔が満ちる』
初めての読んだ窪美澄さんの小説です。
第一章 三日月/幾度となくくり返される悪夢
第二章 上弦の月/真夜中のサバイバーたち
第三章 十五夜の月/道行二人、北へ
第四章 下弦の月/闇夜の告白
第五章 新月/見出すもの、見出されるもの
父親の暴力に怯え耐え続けた史也。
13歳のある日、いつも通り酒を飲んで
暴れ始めた父親が母と史也に暴力を振るう。
史也の中で抑え続けていた殺意が暴れ狂い、
手にした斧を振り下ろしていた。
母と妹の千尋を守るためだったが、父親の怪我は
階段から転落したことにすり替えられてしまう。
明確な殺意があり、罪を犯したと理解している
史也は裁かれない罪を抱え隠して生きていた。
同じこちら側の梓と出会った事がきっかけで、
史也の生き方が少しずつ変わっていく。
今もどこか、目に見えない場所で息を潜めて
我慢して泣いている小さな子どもの存在を
考えずにはいられない物語。
生き延びた子ども(サバイバー)が抱える苦悩。
乗り越えようと懸命にもがく姿に逞しさを
感じると共に、乗り越えられない苦しさもある、
その両方を否定せずにいたいと感じました。
小説後半にある史也の想いが胸に刺さりました。
『ただ、元気で生き延びてほしい、
と祈ることしかできない』
Posted by ブクログ
毒々しい感じの表紙
父親からの暴力にたえる母と息子
目が見えないと叫ぶ妹
斧を振り上げ父を殺そうとする息子
ここまでは、あっと言う間に読み進み
さぁどうなるのか?と思ったら…
丁寧に描かれてハッピーエンドだった。
すごく良い終わり方だったけど
そんなにうまくいくかなぁとか
思ってしまう私は歪んでるのか?
私も末っ子だからか?
妹が目が見えないフリをしてたのは
すぐに分かった
末っ子はある意味、上手に生きていけるんよね
お母さんの行動が、いちいちムカついた
暴力をふるう父が最悪なのは
もちろんだけど、とめたり逃げたり
守ったりできんもんかなぁ?
しかも原因はお前だろ?
こういう人っておるよね
私には理解できないタイプ
梓の行動がリアルでよかった
伯母さんと梓は似た系だよね
Posted by ブクログ
父の付き添いで病気にきて本を読んでいたらメンヘラということばが出てきた。メンヘラ?調べてみたらメンタルヘルスメントの略らしい。
特徴を調べてみたら、ヨアソビの夜に駆けるの主人公のような症状だと思ってしまった