【感想・ネタバレ】天使と嘘 上のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

想像上のサイラスは中肉中背のイカしていない臨床心理士かと思ったが、身体を鍛えたりしていたり、全身にタトゥーが入っているので少し俗っぽい感じなのかも。
イーヴィーは17歳のカルテのアンジーっぽい容姿かな。
ジャケ読みだったけど、面白い作品に出会えて良かった。

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2023年12月29日

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ネタバレ

「哀惜」の後ろの広告で見て。

どうして人は、特殊な才能を持つ人間に引き付けられるのだろう。
ミレニアムのリスベットしかり、
「ストーンサークルの殺人」のティリーしかり。
いや、キャロル・オコンネルのマロリーや
ジェフリー・ディーヴァーのキャサリン・ダンスには、
それほど惹かれないので、
この作品のイーヴィの魅力はそれだけではないらしい。

イーヴィは嘘を見破る少女。
ある民家の隠し部屋に隠れていたのを発見され、
エンジェル・フェイスと名付けられた。
いろいろな調査にもかかわらず、身元は特定できず、
問題のある子供たちの養護施設で自称18歳を迎えようとしていた。

もう一人の主人公のサイラスも、
兄によって両親と双子の妹たちを殺された壮絶な過去を持つの臨床心理士。
イーヴィがいる養護施設で職員をしている大学時代の同級生に頼まれ、
彼女に会う。
サイラスは警察の捜査にも協力していて、
アイススケートのチャンピオンの女子中学生が殺された事件も追っていく。

(下巻へ続く)

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2023年06月13日

Posted by ブクログ

 実力派作家にも拘わらず日本での翻訳は不遇をかこつ実力派作家、マイケル・ロボサムの新訳が、魅力的なキャラクター・コンビを引き連れて登場した。

 嘘を見抜く能力を持つ少女、イーヴィ・コーマック。拷問を受けて殺された謎の人物テリーの死体とともに発見された少女、新聞ではエンジェル・フェイスの呼び名で知られた少女。

 本書では、少女スケーターが殺害された事件がメイン・ストーリーである。証拠を遺した性犯罪者がすぐに容疑者として逮捕されるが、家族や親族間という狭い世界で未成年の男女たちが複雑に絡む謎多い事件として、臨床心理士のサイラス・ヘイヴンが真相究明に乗り出す。

 サイラスもまた凄惨な過去の記憶を持つ。両親と妹二人を殺害したのはサイラスの兄。サイラスは唯一の事件の目撃者として生き残ったのだ。女性警部レニーは、彼の臨床心理士としての能力を高く買っており、事件の捜査に対する強固な信頼関係が既にできている。

 本書の事件では、サイラスが、イーヴィという人間嘘発見器と出会うことで、二人のコンビらしき体制を作りつつ、事件の謎を究明に当たるという骨組みである。現事件を追いながら二人それぞれの過去がプロット全体に黒い影を落としているところは、まさに本書の読みどころであり、魅力である。

 スピーディな展開と、二人の独白で交互に綴られる読みやすい文体。あまりに個性的な二人の主人公のコントラストと、彼らの人間の心に迫る独自な捜査が、読者の心拍を上げる。これほどのページターナーはあまり経験がない、と言いたくなるほどだ。

 事件の向こうに見え隠れする複雑な人間関係と、真相の追求という課題を抱えながら、二人は、それぞれの自身の過去とどう折り合いをつけてゆくか、という私的命題にもまた挑んでゆく。性別も年齢も異なりながら、彷徨う二つ魂たちの葛藤と心の繋がりとが、作品に温かく流れる血のようで、魅力的である。

 この作品では、絡み合う迷路の向こうに予想外の真実を見出すのだが、イーヴィの思わせぶりな過去の体験については、二人のシリーズとして、改めて次作に持ち越されるそうである。キャラクター造形だけで大成功と言いたい本作なのだが、やはりイーヴィの真実を知りたい気持ちが心を捉えてならない。次作が早くも待ち望まれる。

 マイケル・ロボサムは、オーストラリア人作家でありながら、前作『生か、死か』ではアメリカを、本作ではイギリス、ノッティンガムを舞台に描き、堂々ゴールドダガー賞の複数受賞という快挙を遂げた。ヒーロー、ヒロインのみならず作家そのものも怪物みたいである。

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2021年10月02日

Posted by ブクログ

心の傷を負った少女と心理学者の話。少女には人の心を読める力があるようだ。
里子にして心を開く初めた矢先に急転回。
心の傷は治らないのだろうか?

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2021年08月10日

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フィギュアスケートの期待の星として将来を期待されたジョディ・シーアンが死体で発見されたのは、地元の花火大会の翌日だった。15歳のジョディの遺体には性交の跡があり、その髪の毛には精液がかけられていた。警察は近所に住む前科者の男を逮捕する。精液のDNAも一致した。だが、この物語の主人公の片割れであるサイラス・ヘイヴンは、ジョディを殺害したのはこの男ではないと考え、別の面から調べてみることにした。

サイラスは刑事ではない。幼少期の彼の身の上に起こった事件を担当した刑事(今は警部)に、時々頼まれて捜査の助言をしている。本業は臨床心理士だ。古くて広い家に住み、携帯電話を持たず、背中には一面に鳥の美しいタトゥーが入っている一風変わっているが魅力的な男として描かれている。
彼は児童養護施設でもう一人の主人公、イーヴィ・マーコックと出会う。彼女は6年前、拷問された形跡のある男の死体が見つかった民家の隠し部屋に、たった一人で身を潜めているところを発見された。名前も年齢も家族も何もかも分からず、またそれらは彼女の口からも語られることはなかった。
イーヴィには嘘を見抜く能力があり、それが故、行く先々で問題を起こしてきた。確かに人は多かれ少なかれ嘘をつきながら生きる生き物なので、それをいちいち見破られたり指摘する人がいたら腹が立つだろう。

上巻は、この二人の出会いから同居生活を始めるまでが中心として書かれている。それぞれが交互に語り手になりながら、丁寧にお互いの心情が描かれているので、殺人事件自体はまだそれほど大きな動きはない。もしかしたらそれを退屈に思う人もいるかもしれないが、わたしは面白く読んだ。
章の終わりがセリフで終わるのも好き。
全体的にドライな文体の訳も好みだ。

この二人が今後どのような関係性を、どうやって築いていくのか、事件の解明とともにとても興味がある。
イーヴィの嘘を見抜く特殊な能力は、まだ事件解明に使われていない。どう捜査に関わってくるのか、それも楽しみだ。

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2024年04月08日

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ネタバレ

とある花火大会の夜のお祭りムードの翌日、学校で人気のスケートチャンピオンの少女、ジョディが帰宅していないことが判明。
その後、凌辱の痕跡と共に死体で発見されるという至ってありきたりな展開。
容疑者もすぐに見つかるが、いかにも冤罪っぽいなぁというにおいぷんぷん。

主となる事件の展開だけを見ると、ありきたり感満載なのだが、この事件解決の過程を盛り上げる味付けとしてのヒロイン、イーヴィと、その保護者替わりのサイラスのキャラクター造形、彼らの過去を種としたサイドストリーが秀逸でぐいぐい読まされる。

イーヴィはかつて世間を賑わせた事件の関係者。
腐乱死体が発見された建物から、後日隠し部屋から見るも無残なほど不衛生な状態で救出された”箱の中の子”、”エンジェル・フェイス”。
人の嘘を見抜く力を持ち、人間関係で常にマウントを取れる異能力者だが、かつての事件の心理的影響からか、社会適応性が著しく低く、その暴力性から児童保護施設で暮らす日々。
知人からの相談をきっかけに心理カウンセラーとして彼女と出会ったサイラスは、彼女を里子として引き取ることを決め、一緒に暮らし始める。

サイラス自身も兄が家族を惨殺した猟奇的事件の被害者であるが、当時新米、現在は少女殺害事件の捜査責任者、レニーの保護下に置かれ、現在は臨床心理士として自立している。
レニーから少女殺害事件への協力を求められ、被害少女には隠された面があると睨み調査を進めるが、やはりきな臭いにおいが、、、という上巻。

下巻はイーヴイの能力が事件解決に影響を与えることになるんだろうなぁ。。
いや、面白いシリーズものが出てきました。

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2022年01月08日

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辛い過去を持つ臨床心理士が担当することになった少女殺害事件、そして彼が出会う凄惨な過去を持つ少女。
この二人の正反対の少女(生と死、真実と嘘)がベースに話が進んでいく。

上巻ではそれぞれのキャラを描くのに力が注がれており、ミステリ的要素は少ない。それでもなお、多彩な修飾語や比喩で彩られた文章は陰影があり、キャラを魅力的に浮き彫りにしていて飽きない。

下巻にも期待できそう。

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2021年11月11日

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ネタバレ

おじさんと少女という探偵もので、読んでいる最中に「ストーンサークルの殺人」が脳裏をチラついた。(あちらは少女ではないが、良い凹凸コンビ)
こちらの方は二人とも不安定な感じがして、ミステリーパートと二人のきずなをはぐくむパートとが並行している。イーヴィは最後にはまた施設へと戻ってしまったが、彼女の心には安らぎが残った。次回作ではイーヴィの蚕片が語られるらしい。
彼女に何があったのか気になる。

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2021年10月10日

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臨床心理士のサイラスは、かつて異様な殺人現場で発見された少女と施設で邂逅する。イーヴィと呼ばれる彼女は、人がついた嘘を見破るという特殊な能力を持っていた。折しも、スケートの女子チャンピオンが惨殺される事件が発生。将来を期待された選手にいったいなにが起きたのか? 捜査に加わったサイラスは、イーヴィと事件の真相を追及する――。

著者の作品は初めて読む。上巻は、まだ助走といった感じ。

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2021年07月04日

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臨床心理士の男と人の嘘を暴く少女
共に凄惨な過去を持つ二人はどこか似ている
歩み寄ろうとする男と、人を全く信用出来ない少女の関係がもどかしい
嘘を暴けるというのは、人の気持ちに寄り添えるある種途方も無い優しさなのかもしれない
自分が何者なのかを証明出来ない少女
奪われる自由、尊厳 
何も持てずに孤立する少女を見て、世の人々が日々何か行動する背景には、強い自己の証明が欲しいからなのかとも感じた
並行して巻き起こる事件
二人は協力する事になるのか、事件の真相は 少女の本当の姿は 下巻へ

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2021年06月25日

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嘘発見器が2台です

臨床心理士のサイラスと嘘を見抜く少女イーヴィが出会い、コンビ結成までの信頼関係を徐々に構築しつつある上巻です

サイラスの方もイーヴィほど絶対的ではないですが、心理学を駆使して相手の嘘を見抜きます

つまり二人共に嘘発見器なのです

この相手の心の内を感じ取る二人が代わる代わる語り手をつとめて物語が進んで行くのがこの物語の肝ですよね
登場人物全てが二人の視点でがんがん丸裸にされていきます
そこに二人の持つ壮絶な過去が説得力を与えます

そしてそして登場人物ば丸裸なのに二人の心の内は謎に包まれたまま
この対比が二人の主人公の深みを与えてるんですよね

巧いなぁ〜
あまりに巧すぎてそこしか印象にのこらなかった上巻
果たして二人はどんなチームになるのか?
楽しみすぎる下巻へ!

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2023年11月20日

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心理療法の人がいちおう主役なので、事件は起こっていて解決に向かっているような気もするが、ミミズのような足取りである。知り合いの刑事に頼まれて相談役的な。それと別物件で、昔殺人現場に潜んでいた少女を引き取って生活するようになる。なんだか嘘が見抜ける特技がある。生き様プラス能力のせいで少女は荒みまくっている。その心療内科医も過去に家族を兄に惨殺されていて、結構根深いものがある。自分的にはあらすじとかどーでも良くて、読んでて気持ちいいか悪いかで、この本は気持ちよかった。なので下巻も読んでる。

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2022年11月26日

Posted by ブクログ

臨床心理士という資格でもって公的捜査に加わっているという英国の警察制度がよく分からないままではあるが、ともに精神的不安定さを抱えた少女と男

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2022年07月03日

Posted by ブクログ

まあまあ面白かった。特に驚くような展開ではなく、想定の範囲内だった。受賞作との事で内容はちゃんと読ませるし、結末も悪くはなかった。だが、あまり満足度は高くない。主人公の設定があまり良くないのと、もう一人の女性の主人公もリスベットサランデル風で最近の流行りのようでもあり、真犯人もそれほど驚きはない。

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2022年05月15日

Posted by ブクログ

英国推理作家協会賞、ゴールド・ダガー受賞。
海外新作は、冒険できないのでどうしても受賞作を。
ただ、翻訳が越前氏だったので、躊躇わずにチョイス。

正解~、読みやすくてすぐに物語に入って行けます。

二人の並外れた境遇と事件がどう絡まっていくのか、ぞくぞくしながら、読み進めてあっという間に後半に続いていく・・・

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2022年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

――


 真実ではない。それだけ。
 けれど真実が常に自分の手の中にあるなんて
 そんな恐ろしい人生を送ってきたのかい? 君は。




 軽い気持ちで読み進めてたら思った以上にはまった。

 ひとつのセンセーショナルな殺人事件を軸に、臨床心理士サイラス・ヘイヴンと、養護施設で暮らす“嘘を見抜ける少女”イーヴィ・コーマックの視点から犯罪を描くのだけれど、主要なテーマはどちらかというとこのふたりの不器用な? うーん、言葉選びが難しいけれど不具合な? 関係の生成の過程にある。というか事件よりそっちに夢中。
 主題の殺人事件よりももっとセンセーショナルな過去を抱えるティーンエージャーであるイーヴィと、同じくきっとセンセーショナルだったに違いない事件でまともなティーンエイジを過ごせなかったサイラスが、奇妙に繋がっていく。
 職業的にも、そしてキャラクタ的にも多分に分析的なサイラスと、欺瞞に満ちた(そのぶん世に溢れている)ワイドショーじみた分析なんてその能力で反則的に乗り越えて鼻で笑ってしまうイーヴィという、コンビとしては不倶戴天なふたりの縺れが魅力的。

 翻訳ものによくあるタイトル問題。今回は原題のが好きか…と思ったけれど最後まで読んでみると、邦訳のほうが核心を突いているようにも思えた。

 筆致は軽くていかにも海外TVシリーズ、という感じなので、上下巻と構えずさらりと読めると思います。
 今回は邂逅編とでも云おうか、シリーズも序盤。
 今後が楽しみ、というのも含めて、控えめに☆3.4

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2021年07月10日

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