【感想・ネタバレ】あのポプラの上が空 新装版のレビュー

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Posted by ブクログ

札幌市内や谷野井家の情景が、目に浮かぶ描写。内容は重いけど、読んだ後心にずしっと何かが残る作品。何度読んでも、数年後に読みたくなる。

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2022年01月23日

Posted by ブクログ

正直に言えば「え?ここで終わりなの?」と思った。この家庭の後日談をぜひ読んでみたい。ふざけた視点であれば、初美と景子に好意を持たれている惇一が羨ましい。かなり。

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2022年02月05日

Posted by ブクログ

静かに自己を見つめ直したい時に三浦綾子さんの作品を手にする。ご自身がキリスト教信者であることで、作中でも頻繁に神や祈りに触れ、登場人物の宗教観の有無も大事な要素だ。裕福な家族の崩壊を、第三者の惇一とともに目の当たりにしながら、"人の生きる道"を読者に問う。裕福一家の末娘は「うちには宗教がない」と言うが、無宗教が問題ではなく、進むべき信念がないのが問題なのだと我を顧みたり。

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2022年01月31日

Posted by ブクログ

人間はいかに生きるべきか。クリスチャンである三浦綾子さんの小説は、様々なかたちでそれを問うてくる。

主人公の佐川淳一は、亡き父の友人である谷野井陶吉の厚意で、医学部を志すため東京から札幌に移り住んだ。陶吉は札幌の病院の院長で、淳一は谷野井家に下宿しながら勉学に励んでいたが、誰もが羨む裕福な一家と思われた谷野井家に、世間には明かしてはならない闇があることを知っていく。

曲者ぞろいの谷野井家。院長であり病院の隣にある薬局の薬剤師である陶吉、その妻の式子、薬局に勤める若い女性であるテル子。
陶吉の息子で病院の医師である浜雄、その妻の那千子、娘の初美と景子。
そして家政婦の余里子。
すべての関係性がどれも歪で良好とは言えない中、家政婦の余里子の存在がどうにか一家を繋ぎ保たせている。
淳一は初恋の相手である中学生の景子に会うことを楽しみに札幌にやって来たが、来た当初は荒れ気味だった景子に面食らい、しかしいつしか本来の純粋な景子の面影を見つけ、そして彼女の中に信仰を見始める。

一家が口を揃えて「この家の癌」だと言うのが祖母の式子と父の浜雄で、読み進めるにつれてその理由が分かっていくのだけど、病院を経営する家とは思えないその内容に驚く。
式子と浜雄の悪事を世間から必死に隠そうとする陶吉は、掴み所がなく飄々と振る舞っているけれど、その実長年苦しんできたことが分かる。そしてかつて若かった陶吉に式子が放った一言が2人の関係を変えてしまったくだりでは、人の心を深く抉る地雷のような言葉について考えてしまった。

血の繋がらない居候である淳一の目から見たものが語られているので、家族の物語とはいえどこか俯瞰的で、内容は重いけれど淡々とした雰囲気が漂う。

「この家には宗教がない」という家族では最年少である景子の言葉は、三浦さんがとある本を読んでいて見つけた、実在する子どもが発した言葉なのだという。
荒れた家や不仲な家族の中にあって、何か信じられる絶対的なものがあるというのは、1人の人間を救うことになるのかもしれない。

「(法的な場以外で)人は人を裁いても良いのか」「善く生きるとはどういうことなのか」ということを考えさせられた作品ではあったのだけど、短時間では考えをまとめられそうにないので、この先折に触れてこの小説のことを思い出して考えてしまいそうな気がする。
悪いことをしてしまった人の弱さについて、そして身近な人が悪いことをしてしまった時に自分は果たしてどうするのかということについても。

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2021年08月28日

Posted by ブクログ

 札幌の医者家族のドラマを通して、家族観、男女観、宗教観に問題提起。昭和30年代以降が舞台と思われ、漱石モノより現代に近いはずだが、強く伝わってくるものがなかった。医者という富裕層が舞台だからか。
 登場人物それぞれの心の闇についても印象に残ったのは「あなたの体はキレイ?」と尋ねられて以降、妻を抱けなくなった戦争帰りの陶吉のみ。でも、それが後の家族の問題の芽であり、その根源が戦争による人間破壊であれば、人の罪と心の傷の大きさを知る。
 最初、べらんめえ調でぐれていた景子がインパクトあったのにあっけなく普通の良家の女子学生に戻ってしまったのは残念。登場人物はそれぞれ個性的でもあったし、描き方次第ではもっと面白いものになったになと思う。
 サッポロが舞台で植物園やなじみの風景が出てきたのは懐かしかった。

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2023年01月13日

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