【感想・ネタバレ】悲劇の世界遺産 ダークツーリズムから見た世界のレビュー

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Posted by ブクログ

フライドチキンは黒人奴隷の栄養食、サイパンの製糖工場のため韓国人街ができているなど、観光というよりダーク産業発展の歴史とでもいうべき良書。

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2023年01月14日

Posted by ブクログ

「世界遺産」と聞きますと、日本人にとっては
世界に認められた観光資源、と考えてしまうの
が一般的と思います。

そして原爆ドームなどは、悲しい歴史ではあり
ますが、人類が後世に伝えるべき「負」の遺産
とも考えられます。

しかし「負の遺産」という言葉や概念は日本人
だけが持っていて、当のユネスコもそんな区分
けはしていないのです。

そもそも自然遺産ならともかく、人間の営みが
関係している産業や文化遺産には、見方を変え
ればいくらでも「負」の部分は存在するはずで
す。

それは2018年7月に世界遺産登録された「長崎
と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の内容
を詳しく見れば理解できると思います。

当初地元では多くの教会を候補として挙げてい
ましたが、実はそれらの多くはキリスト教禁教
期ではなく、信仰が認められた明治6年以降の
ものした。そのためイコモス側から「禁教と関
係ないよね。もっと江戸幕府が弾圧していた内
容を伝えて」と、登録の延期がされたとか。

で、結局潜伏キリシタンが人里離れた場所に棚
田を作っていたというエピソードも盛り込んだ
らしいのです。

そもそも棚田は平家落人や切り捨てられた人が
残した景観としては世界中に存在するはずです。

つまり「後付け」であった部分が多いのです。

最近は「ダークツーリズム」という言葉がよく
聞かれます。

心地よい「世界遺産としての良いところ」では
なく「闇」の部分にもしっかり耳を傾けよう、
とする動きです。

コロナ禍で多数の観光客を呼び込む「量」では
なく、「質」を考える時期にあることを考えさ
せられる一冊です。

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2022年05月02日

Posted by ブクログ

ハワイ行ったらパールハーバー、沖縄行ったらひめゆりの塔、一度は行くべきと思いながらも未だに行けず。逆に修学旅行で連れて行かれた?広島は、大人になってから再訪すると新たな発見があったり。ネット社会、情報化社会になっても実際、訪れて感じる、これが大事。

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2022年02月26日

Posted by ブクログ

ダークツーリズムという言葉はなんとなく知っていたけど、こんなに研究されてる方がいたなんて。大学時代に知りたかったーと思うけど、もしかするとその頃はまだメジャーではない分野だったのかもしれません。

沖縄とかグアムとかハワイとかを旅行して、「リゾート」「観光地」としてのそこを享受しようとしても、なんだか心から楽しめないな…という違和感はこれだったのかと思いました。

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2021年11月15日

Posted by ブクログ

光も影も付いて回るというのが世界遺産の思想である。筆者は日本人があまり思い浮かべない遺産の悲劇の記憶や人類普遍の価値とは何なのかを考え、ダークツーリズムという新しい観光の形を通して見るという提案をする。

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2022年09月01日

Posted by ブクログ

世界遺産として登録させるための矛盾や、文化遺産として売り出すための戦略の影?が分かりやすく紹介されており,面白かった。

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2022年04月06日

Posted by ブクログ

観光学者 井出明氏によるダークツーリズムというフィルターを通して見た世界遺産の解説書。世界遺産に関する基礎的な説明に始まり、実践として著者が実際に歩いたアウシュビッツ、日本の産業遺産、島の存在、潜伏キリシタン関連遺産、自然災害に関する遺産等をまとめてあります。どんなものにでも光と闇の部分があり、どちらか一方が正しいというものではないというスタンスで色々なものを見直すという姿勢は重要かと思いました。おまけのカリブ海の国々を訪問した紀行文は面白かった。

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2021年10月18日

Posted by ブクログ

<目次>
第1章  世界遺産制度の概要とダークツーリズムの考え方
第2章  アウシュビッツとクラクフから考える
第3章  産業遺産の光と影
第4章  ダークツーリズムで巡る島
第5章  潜伏キリシタン関連遺産を観る眼
第6章  復興のデザイン
第7章  コロナ禍で考える世界遺産
附章   カリブの旅

<内容>
ダークツーリズムとは、その地その時代を代表する観光地ではなく、戦争や災害、奴隷や民族殲滅などの「負の遺産」を巡りながら、歴史や政治を考えていこうという観光の考え方。著者は、それを早くから訴えていた人。観光というと、美術作品(建築や庭園)を観たり、美しい自然を愛でたり、美味しいものを食べたりのイメージが強いが、実際には広島の「原爆ドーム」やポーランドの「アウシュビッツ収容所跡」など、負の遺産も十分に観光地となりうるのだ。それを『ヘンだ』と考えるのは日本人くらいらしい。一方、「世界遺産」(含む自然遺産)は、ユネスコがICOMOSの諮問により決めているのだが、まだまだ欧州の視点から見られることが多く、直近の日本の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」なども、日本的にはかなり骨抜きになっているらしい(その前の「明治日本の産業革命遺産」も)。また政治的配慮も影響するらしい。なんか手放しで喜べないのだが、日本に限らず観光の目玉になるようなので、見る側がいかにそれを意識できるか、本当のポイントを見抜けるかではないか?「ダークツーリズム」はその1視点として大事だと感じた。

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2021年06月13日

Posted by ブクログ

旅の目的は人それぞれだが、私個人、若い頃はハワイやヨーロッパの人気の観光地よりも、東南アジアの奥地やネパールなど、観光地として綺麗に便利に整備された場所よりも若いうちじゃないと行けないような体力を使う場所中心に旅していた。よってショッピングを楽しんだり豪華なホテルでラグジュアリーな時間を過ごす事は、当然環境もお金も遥かに到達しないような身分柄出来なかったし、しようとも思わなかった。
やがて生活に余裕が出ると、イタリアやスペインなどの南欧に加え、スウェーデンやデンマークなど北欧を回るようになり、言ってみれば日本とさほど都市的な発展度合いが変わらないが、食と人の見た目だけが海外風になっているようなものだった。
前者であれば、世界遺産に登録されている様な観光地ももちろん外したりはしないが、どちらかと言うと現地調達した四輪駆動車で田舎の村を訪れ、現地の人々のお世辞にも裕福とは言い難い生活を垣間見る事が多く、正に世界を知る事が目的だったと感じる。後者の旅も美術館や建築物からその国の歴史の長さ重さを感じる事ができ、教科書や写真集だけでは解らない、現地の空気の暖かさや市場の匂いなどを感じながら歴史について更に理解を深める事ができたと感じる。
アメリカでは現地の食もスーパーも道もアトラクションも何もかもスケールの大きさを感じたし、中国上海は人の多さを肩や背中で感じ取る事ができた。どの国からも必ず何かを学ぶ事ができたし、有意義な海外旅行をしてきたと自負している。コロナが始まるまでは。
本書はダークツーリズムと言われる、世界遺産の負の側面に焦点を当てて旅をすることの意味を教えてくれる。世界遺産はユネスコが毎年いくつも新規の登録を行うため、近年は国内も世界遺産だらけになった。行ってみると、こんなところが世界遺産かと思うような何の変哲もない風景が広がり拍子抜けすることもある。だがそれら遺産の背景にある歴史や文化の流れを理解することで、長い時間の中で形成された、遺産の表面だけを見ていた事に気づけるのである。
特に海外の遺産はアウシュヴィッツやワルシャワ歴史地区など20世紀以降の二つの世界大戦に関連するもの、日本では広島の原爆ドームがそれに該当するが、人類が犯した罪に起因するものが文化遺産として多く登録されている。黒人奴隷の歴史や、スペイン・イギリスの植民地政策から来るもの、更には虐殺の歴史など、「負の側面」は必然的に多くの人々の記憶に残り、かつその記憶を継承する事で同じ過ちを繰り返さないという、人類の固い約束・意思が含まれている。
我が国は石見銀山や九州に点在する明治維新以降近代化の歴史、北関東群馬にある富岡製糸場など、そこに女性や海外労働者の苦しみや重労働の土台についてはあまり触れられていないように感じる。本書はそうした日本の世界遺産の扱いは、観光的商業的な側面が強く、世界遺産登録=観光地化の意味合いが強いと捉える。確かに世界遺産になると、途端にホテルやグッズや街をあげてのアピールを見ていると少し淋しくなる事がある。世界遺産として負の側面にもフォーカスし、前述した様に背景や歴史を学ばなければ、表面の建造物の外観だけ見て拍子抜け、といった薄い記憶で終わってしまう。これは非常に勿体無い。本書タイトルにある様なダークな側面にももっと力を入れて、見る側に是非そうした事実を原因、解決までの流れとして捉えさせる様な展示に力を入れて欲しい。そうした意味で国内に点在する戦争遺産が手入れもできず放置され、消えていく事を防止する様な取り組みも行なって欲しい。自治体任せではなく、国が登録制度を設けて管理についても責任を持って行っていくべきだ。

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2023年09月08日

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