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Posted by ブクログ
文章が実に美しく、昭和の時代に子供たちが野山を駆け回り、自然とともに遊びを作り出してきた風景が想像できます。子供にとって遊びとは何なのかという事を通して、教育とは何かと考えさせられました。
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名著復活!絵本作家かこさとし、子供の頃の四季を通じた遊びの記憶。大人になって振り返る甘酸っぱい思い出の数々にはしんみりします。
「だるまちゃんとてんぐちゃん」で有名なかこさとし(自分には「からすのパン屋さん」の印象)の作品。1975 年日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。その後長く絶版だったのが2018年に復刊(ありがとう復刊ドットコム!)、その文庫版。
越前の武生で過ごした子供の頃の遊びについてイラストを含め詳細に記録している。筆者の記憶力には驚かされる。多くの遊びは実際にやったことはないが、なぜか懐かしさを感じる。母が同じ北陸の出身なので、自分の小さな頃に教わった遊びもちらほらと。
おそらく今では絶滅したであろう、自然を活かした遊びの数々。季節ごとに草花を使ったもの。雪国の長い冬の室内の遊びなど。
本書を読むまで知らなかったが筆者はバリバリ理系のエンジニア。絵本作家としての技量ばかりだなく、冷徹に子供の遊びを振り返る視点が本書の中身を濃厚なものにしている。そして子供の教育、成長に関した卓越な論評が素晴らしい。特に大人社会の虚偽を子供が見抜いているという「兵隊ごっこと戦争ごっこ」は秀逸。
中勘助の名作「銀の匙」に似た、子供時代に対する甘酸っぱい耽美な記憶を呼び覚ます作品。
今度実家に帰った時、母にも読んでもらおうと思う。
復刊して下さった方々に感謝したい。