【感想・ネタバレ】シンジケート[新装版]のレビュー

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Posted by ブクログ

どうやったらこんな日本語が紡げるのだろうなあと、ただただ感心するばかり。本当にすごい。




お気に入りのものを下記に記します〜。
「飲み口を折り曲げられるストローがきらい臨時の恋人が好き」
「彗星を掴んだからさマネキンが左手首を失くした理由は」
「「耳で飛ぶぞうがほんとにいるのならおそろしいよねそいつのうんこ」」
「ほんとうに俺のもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は」

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2023年07月01日

Posted by ブクログ

暴力的で荒々しい言葉遣いだけど美しい言葉の印象を受けました。
暴力的だと感じるのは、恋人(たぶん)をおまえと呼ぶせいかもしれません。
それと、女性を女と呼ぶせいもあるでしょう。
文学で言えばエンタメ系ではなく純文学系の感じがしました。
もう一人の現代の代表的歌人である俵万智さんはエンタメ系というイメージです。

考えたのですが、穂村さんが恋人をおまえと呼び女性を女と呼ぶのは穂村さんは平成、令和の歌人ですが、穂村さんが昭和生まれだからで、そんなに暴力的という訳ではないのかもしれません。でも、あなたという呼称もありますが。
今だったらぼくらとか君とかが多いような気がします。

拙い的を得ない感想だったかもしれません。すいません。
ちなみにこのレビューで1000レビュー達成です!



以下よく引かれるという歌。


○子どもよりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」

○サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい

○桟橋で愛し合ってもかなわないがんこな汚れにザブがあるから

○終バスにふたりは眼むる紫の<降りますランプ>に取り囲まれて

○わざわいは夏降り注ぎママレードの中にのたうつオレンジの皮



以下私が、好きだと思った歌


○編んだ服着せられた犬に祝福を 雪の聖夜を転がるふたり

○体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ

○「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」

○ゼラチンの菓子をすくえばいま満ちる雨の匂いに包まれてひとり

○ペーパーフィルターに世界の始まりを目守る神々春のゆうぐれ

○ハーブティにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはどらえもんのはじまり

○裏切りの朝の香りはドロップの缶にそれだけ残した<はっか>

○「自転車のサドルを高く上げるのが夏をむかえる準備のすべて」

○「まだ好き?」とふいに尋ねる滑り台につもった雪の色をみつめて

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2023年03月25日

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むずかしいのいっぱいあった、わたしの想像力不足を思い知らされた!燃えるぜ 半年後また読んでみます。ファイヤー!

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2022年11月30日

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やっと手に出来た穂村さんのデビュー作。
凄かった。
度々鳥肌が立ったのは、FRESHNESS BURGERの冷房がききすぎてただけじゃない。
これいい!こっちもいい!と付箋を立てていたら、付箋紙の意味がなくなった。

リアリティの中の夢心地の瞬間を絶妙に捉えた句。
逆に、キラキラ名詞のあとに続く塩辛い現実。
はたまた静と動の美しさ。
口語体の魔力。
愛しき日常の素晴らしさ。
その刹那にセンチメンタルな気分になる。
そしてふと、私達読者のどんな毎日にさえ、それらは含まれるのだと気付いた。
毎日を丁寧に生きていきたいものだ。

これがデビュー作だなんて、ホント衝撃だ。
当時、サラダ記念日のお祭り騒ぎで、シンジケートの存在すら知らずに過ごした私は一知半解だったとでも言うべきか。
いや、一知無解か。
あとがきをよせている高橋源一郎さんにも激しく同意する。
そして、エッセイ集の穂村さんより尖っていて色気あります。
たまに句中、その黒くて狡いものがチラリと見えて怖くなる瞬間もある。

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2022年09月29日

Posted by ブクログ

とにかく、面白くて時間を忘れるほどはまってしまう歌集だ。

高橋源一郎という人の、解説文も素晴らしい。著者の短歌の魅力を分かりやすく書いている。真実を鋭く見抜く目を持っているのだろう。劉備兄貴に孔明の事を紹介した水鏡先生のようだ。

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2022年07月31日

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最初、全く意味が分からなかった。

穂村弘さんの作品は初めてだし、そもそも、短歌の歌集を読むのも実は初めてで・・・最後の記憶は、中学校の国語の教科書だったろうか。

「あれ、短歌ってこんな感じだったっけ?」というのが、まず思った印象で。
穂村さんを知ってる方には、本当に申し訳ないのだけれど。

それでも、とりあえず、細かいことは気にせずに、読み続けてみようと思い、ひたすら歌を追ってみると、だんだんリズム感が出てきたようで、根拠不明な面白さに陥り始めたとき、最初に気になった歌が現れた。


俺にも考えがあるぞと冷蔵庫のドア開け放てば凍ったキムコ


えっ、キムコって、あの悪臭を守る、あのキムコ?
それから「俺にも考えがあるぞ」って。
思わず、クスリとさせられて面白いし、何か現代小説のような、作者の台詞をそのまま載せて訴えている感じが、私には新鮮。

そして、そのすぐ後に、


「前世は鹿です」なんて嘘をためらわぬおまえと踊ってみたい


踊ってみたいって、誘い文句、私にとってはすごく懐かしいなと思ってたら、この歌集は元々、1990年発売なんですね。

道理で、当時を思わせる、雑多でいて、ロマンチックで、純粋な残虐性が怖くも哀しくもあり(私的にはブランキージェットシティを思い出した)、何でもあるのになぜか満たされない心の叫びのようなものまで、感じられるのか。

そう感じたら、もう一度、最初から読まずにはいられなくなり、改めて読んでみたら、一気に私のお気に入りが増大した。


「あなたがたの心はとても邪悪です」と牧師の瞳も素敵な五月

君がまぶたけいれんせりと告げる時谷の紅葉最も深し

血まみれのチューインガムよアスファルトに凍れ神父も叫ぶこの夜

ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は

闇の中でベープマットを替えながら「心が最初にだめになるから」

「パジャマの片足に両足つっこんだ罰で彗星しか愛せない」

真夜中の大観覧車にめざめればいましも月にせまる頂点

街じゅうののら犬のせた観覧車あおいおそらをしずかにめぐる


観覧車の歌は二つあり、それぞれ観点や味が異なるけど、どっちもすごくいい。

時に、人間のどうしようもなさを惜しげもなく、書いているのもあるけれど、その反面、平和で穏やかな凪の感じもあるのが、人間の複雑さを表しているようで、この人好きかもと思えてくる。
そして、やはり、ロマンチストだと思った。


秋になれば秋が好きよと爪先でしずかにト音記号を描く

抜き取った指輪孔雀になげうって「お食べそいつがおまえの餌よ」

くちうつしのホールズ光る地下鉄の十色使いの路線図の前

「まだ好き?」とふいに尋ねる滑り台につもった雪の色をみつめて

あかるくてさみしい朝の鳥かごにガラス細工のぶらんこ吊す

はるのゆき 蛇腹のカメラ構えてるけど撮る方が笑っちゃだめさ

手はつながずにみるはるのゆきのなか今日で最後のアシカの芸を

犬のためのミルク沸くまで真夜中のウエイトレスのシャドーボクシング


そして、「スイマー」では、刹那的な文章もいいし、海をテーマにした歌をずっと読み続ける爽快感もいい。


査定0の車に乗って海へゆく誘拐犯と少女のように

手を叩け海のあおさに驚いたパトカーが椰子の樹に突っ込むぞ

ゴムボートに空気(エア)入れながら「男なら誰でもいいわ」と声たてて笑う

「海にでも沈めなさいよそんなもの魚がお家にすればいいのよ」

バタフライ・ドルフィン・キックで切ってゆく水と光のバウムクーヘン

砂の城なみうちぎわにたてられてさらわれてゆく門番ふたり


どうしよう、この人、すごいよ。すごすぎる。この人の雰囲気、すごく好き。
何か短歌というよりは、穂村弘さんを知る感じ。
ただ、面白いとか怖いとか素敵なだけでなく、顔で笑って心で泣くみたいな感じが、すごく好き。
短歌読んで泣きそうになるって、どういうことよ。

と思っていたら、最後の、「ごーふる あとがきにかえて」の、ホチキスの針の最初のひとつで、とどめを刺された。涙腺崩壊というやつです。

そう、私は今でもそれだよ。
まさしく、ホチキスの針の最初のひとつ。

「自由に、無意味に、震えながら、光りながら、ゴミみたいに、飛ぶのよ」

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2022年04月08日

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フーガさえぎってうしろより抱けば黒鍵に指紋光る三月

「猫投げるくらいがなによ本気だして怒りゃハミガキしぼりきるわよ」

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2021年07月19日

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死ぬまで何十回とこの歌集を開くだろう
喫茶店で初めて読んで、涙を堪えるのに必死だった
31文字の狂気たち。

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2021年06月17日

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最近ちょっと短歌に興味があって。でもこれは半分以上ジャケ買いという感じ。とにかく美しい装丁。短歌のことはこれから勉強します。

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2023年07月09日

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ずっと書き留めていた短歌がある「シンジケート」
新装版が出るとのことで購入
長い時を経てしまったけど、言葉選びの秀逸さは今もはっとさせられる

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2023年06月07日

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短歌初心者の私。又吉直樹さんが某youtube番組で良い!と言ってたのを聞いて、興味が出て読んでみた。
なんだろ、短歌って身近だね。日常の切り取り。ふふって思ってページめくっちゃう。こういう本、すごく好き。
何より装丁が!!背表紙!!是非みて欲しい!!飾るために欲しいくらい!!

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2023年04月30日

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どこかずっとリアルで切ない感じがしていて、何でだろうとあとがきまでしっかり読んで、だからか!とかなり納得しました。

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2023年02月13日

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歌人・穂村弘のデビュー作「シンジケート」。その新装版。流石の名久井さんの装丁。

表紙のポリプロピレン様のカバー外すと、誰かの後ろ姿が。中にはキャンディの包み紙が挟まってる遊び心にくすりと笑う。

大切に、繰り返し読んでいきたい。

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2022年01月22日

Posted by ブクログ

こんなに短歌がキラキラしているとは。
読み解く力がないため、解説付き本が読みたいと思った。でも、良かった。
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さかさまに電池を入れられた玩具(おもちゃ)の汽車みたいにおとなしいのね
自転車のサドルを高く上げるのが夏をむかえる準備のすべて
桟橋で愛し合ってもかまわないがんこな汚れにザブがあるから
声がでないおまえのためにミニチュアの救急車が運ぶ浅田あめ
査定0の車に乗って海へゆく誘拐犯と少女のように

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2021年12月22日

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オススメされたり授業で紹介されたりして興味を抱いていたが歌集として読んでみると自分が知っていたものがほんの一部だったことを改めて感じ面白いと思いました。

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2021年12月21日

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「風の夜初めて火をみる猫の目の君がかぶりを振る十二月」 水滴が雪になるようにことばが結晶化して歌になる。そんなピカピカの恋を詠んだ、現代短歌を代表する穂村弘のデビュー歌集。本体は背表紙なし糸綴じ。

新装版を店舗で見て購入してみた。面白かった。

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2021年12月07日

Posted by ブクログ

とても好きな句を。

「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」

愚かなかみなりみたいに愛してやるよジンジャーエールに痺れた舌で

パレットの穴から出てる親指に触りたいのと風の岸辺で

眠れない夜はバケツ持ってオレンジのブルドーザーを洗いにゆこう

「まだ好き?」とふいに尋ねる滑り台につもった雪の色をみつめて

「おじさん人形相手にどもっているようじゃパパにはとても会わせられない」
カーネルサンダース

「鮫のはオルガンの音が好きなの知っていた?」五時間泣いた後におまえは

「キバ」「キバ」とふたり八重歯をむき出せば花降りかかる髪に背中に


シンジケート[新装版]  穂村弘

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2021年11月21日

Posted by ブクログ

新装版となったシンジケート。
大好きなヒグチユウコさんの絵、そして本のつづり紐がのぞくおしゃれで贅沢な作りの装丁。おまけの飴玉包み紙もついてくる。

この時代に生きた同年代の人には響く現代短歌、今の人にはどう映るんだろう。

穂村さんっぽくない、シンプルでわかりやすいこの歌が今は好き。
「声がでないおまえのためにミニチュアの救急車が運ぶ浅田あめ」

ラジオで自費出版したときのエピソードなどを聴いているし、テレビで本のこだわりも紹介していたりと穂村さんをより知るとまた読み方も変わってくる。

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2021年06月30日

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ネタバレ

そうか、31年前の歌集なんだ!そんなに前の歌集なのにちっとも昔な感じがしない。
瑞々しくて可愛らしいことばで哀しみやおかしみを表現している。穂村さんってこんな歌を作る人だったんだ。
わたしの頭のなかでは松本大洋さんの絵になって情景が浮かんでいる。そんなイメージ。

好きな歌5首。

・体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ

・「キバ」「キバ」とふたり八重歯をむき出せば花降りかかる髪に背中に

・「自転車のサドルを高く上げるのが夏をむかえる準備のすべて」

・許せない自分に気づく手に受けたリキッドソープのうすみどりみて

・子供よりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」

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2021年06月05日

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わたしは現代の穂村さんというか、他の方でも、現代の方の短歌の方が好きだなと思うことも多かったけど、当時この本が出たとき(しかも自費!?)の手に取ったひとたちの衝撃はすごかったのだろうな、と思える。才能。自分が生まれた頃くらいの本でした。生まれた頃だからその時代がどうなのかは本当には分からないけど、全体に漂う空気。その頃の若者の、不謹慎で残酷なのにどうしてそんな人恋しいような瞳をするんだ、みたいな、たまらなさというか、昭和最後の時代に漂ったことのある大人のタチの悪いアンバランスな魅力みたいなものなんだろうな、と思った。その後の平成や令和ではたぶん培われないタイプの。

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2023年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短歌のガチャポンの人。ofsで伊藤紺さんの展示目当てに行った時にたまたま売ってて買った

1990年の作品だって、生まれる前に作られた作品が、今でも、あーーってなるところがすごい。

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2023年08月05日

Posted by ブクログ

表紙の美しさに一目惚れして購入。短歌をじっくり読むという機会がなかったので楽しめるか不安だったのですが、なかなかどうして、こんな素人でも「いい!」と思える歌がいくつかあり驚きました。

特に心に残ったのは以下。他にもいくつかありますが、恋愛に関するものが特に生々しさを感じられて好みでした。


・体温計加えて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ
・サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい
・試合開始のコール忘れて審判は風の匂いにめまいをとじたまま
・「鮫はオルガンの音が好きなの知っていた?」五時間泣いた後におまえは


巻末の解説を読む限り、「あの時代」が閉じ込められているとのこと。ピンとこなかった歌も、「当時を青春として駆け抜けた人が残したタイムカプセル」として読むと感じ方も変わるかもしれないので、見方を変え、時間をおいて手にとってみようと思います。

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2023年04月04日

Posted by ブクログ

ここのところ、短歌に心惹かれるのでひとまず好きな歌人の方を探そうと手に取りました。高校生の頃をなにやら思い出すなと思ったら、ちょうど同時代に歌われたものなんですね。

懐かしくもありますが、当時のことが思い出されて少々気恥ずかしくもなりました。

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2023年01月12日

Posted by ブクログ

人生は何が起こるか分からないね。
まさか自分に好きな歌人ができるとは。

お気に入りのうたは、
「ほんとうにおれのもんかよ 冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は」

リズムもわかりやすいし、いろいろ想像できるところもいい。
冷蔵庫のたまご置き場に涙を落とせるなんてずいぶん背が高い人なんだなぁと無邪気に思っていたけれど、そうかこの人の前にあるのは一人用とかの小さい冷蔵庫かもしれない、と唐突に気づいた。
1人用の小さい冷蔵庫、泣いている状況、泣いていることを認められない自分。
この組み合わせがなんとも切なく、詳しい状況は全然分からないのに胸が締め付けられます。

前半の部分がひらがなで曖昧でふわふわした心情を表していて、後半は漢字を使って固い印象を持たせてる…のかなぁ?
よく分からないけど、技術的にもすごく高いのかもしれない!

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2022年09月27日

Posted by ブクログ

新装版ということで、装丁と、中に飴の包み紙みたいなんが挟まっているという面白さで、ほぼジャケ買い。

大人の色気と少年のような心が入り混じっている人だなぁと。

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2021年07月26日

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