【感想・ネタバレ】昭和史 忘れ得ぬ証言者たちのレビュー

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Posted by ブクログ

【読書】昭和史の研究家、保阪正康氏が昭和を生きた人々・親族等から聞き取った証言集。そのメンバーは本当にすごい。歴史の教科書で出てくるような人ばかり。犬養毅の孫、東条英機の妻、瀬島龍三、斎藤六郎、鈴木貞一、後藤田正晴等々。しかし、中には必ずしも歴史上は有名な人物ではないが、現代から見て非常に示唆のある出来事を目撃している人もいる。保阪氏の取組はそうした歴史に新たな光を差し込んでいる。色々と注目すべき人物の証言があったが、いくつかコメントすると以下のとおり。
鈴木永二氏。一橋大学卒。元三菱化成社長で、日経連会長。90年第三次行革審議会会長等も歴任。その人のコメント。「企業は人なりであり、資本の論理で全てをみるのではなく、人間を大切にしなければならない。」大学の先輩という親近感もあるが、戦中と戦後を生きた人の言葉は重い。
また、大本営情報参謀であった堀栄三氏。 大本営参謀の情報戦記の著者。「情報あっての作戦であるべき。そうであれば、あのような戦争にはならなかった。」「人は一度しか生きられない。あとは辛抱して生きる姿勢が必要。」
さらに、共同通信の記者、森元治郎氏。ポツダム宣言受諾のスクープをした記者。終戦を拒む陸軍の将校から殺される可能性がある中で密かに海外放送で流す。その報が流れることにより日本本土への爆撃が少なくなる。緊張あふれるコメント。
中国で孫文を助けた山田良政氏。外国人で中国革命のために犠牲になった最初の人物。北京の日本公使館の駐在武官の通訳であり、孫文の思想と人間性に共鳴を覚え、中国革命の意義を清朝政府軍説いて処刑される。このような人物がいるとは知らなかった。

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2011年11月20日

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