【感想・ネタバレ】人口の中国史 先史時代から19世紀までのレビュー

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Posted by ブクログ

「人口」という視点から見る中国史。人口から読み解く簡略な概説・通史にもなっていて良い。戸口統計は国家が把握できた数字で実際の数字ではないという基本を軸にその統計の背後にあるものを読み解いていく。中国史を「合散離集」のサイクルで捉えるのも面白い。本書が最も力を入れているのは18世紀の人口爆発がなぜ起きたのか、という点。従来は地丁銀による人頭税廃止が原因とされていたこの人口爆発について、丁寧に分析しなおして他の背景を探っていく。筆者は20世紀以降についても稿を改めて考察したいとしており、次巻が楽しみである。

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2021年01月30日

Posted by ブクログ

人口に焦点が当てられている本を読むのは初めてかな、誰がどうしたといった血湧き肉躍る系の話は少なく数字の出し方とかの話が多いのでちょっと退屈になりがちだけど、中国史もおさらいできてよかった。人口が歴史の流れに与える影響も大きい。
中国史を合散離集のサイクルとしてとらえ、さらに先史、隋・唐まで、元朝まで、それ以降とステージに分けることで理解しやすくしている。
溺女の風習など知らないこともあったし、それが18世紀の人口急増を説明する仮説の中で大きなキーになってることも。

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2020年10月04日

Posted by ブクログ

中国の人口を通史的に扱っている。大まかな王朝の推移にも触れているので、人口自体に焦点を当てた箇所が意外に少ない気もした。注意しなければならないのは、過去の人口推計は王朝が把握していた戸数に基づくものなので、大幅な振幅が生じているが実態を反映しているわけではないこと。
清代に人口爆発が起きるが、税制が戸との結びつきを離脱したことで人口が炙り出されたこと、新大陸由来のトウモロコシなどの作物が導入されたことを一因とするも、それだけでは説明できないとする。本書では、女児を対象とした子殺しが減ったことや貨幣経済の浸透で他の農業サイクルに依存しない人が増えたことを資料をもとに説明している。なお、女の嬰児殺しの習慣は漢族のもので、清朝を支配した満州族の皇帝が廃止しようとしたものらしい。

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2023年08月18日

Posted by ブクログ

人口の動向という観点から中国史を考えたことがなかっただけに非常に新鮮で刺激的だった。考えてみれば国家を運営していくためには税金徴収、調達できる兵力・労働力の計算に当たっては重要な項目であるわけで、秦の時代だけではなく、夏殷周の時代から記録があって当然だったのだ!遼については記録が紛失しているということであるが、人口よりむしろ戸数そして丁数(男の人数)が重要な概念だったということも理解できる。18世紀半ばごろに人口爆発が起こったという理由も中国でかつて行われてきた女乳児の間引き(溺女)が抑制されたこと、また生産力のアップ、戦乱のなかったことなど、面白かった。また周辺の先住民族が取り込まれて行って人口が増えていくという動きも当然大きい。各時代の中国人口が想定以上に多い(例えば後漢後期の140年ADに約5000万人、隋には約6000万人)ことも、「白髪三千丈」という用語が大げさでないことに連想できて面白かった。戦国時代、三国志時代、隋統一までの南北朝時代その他の戦乱の死者の数、食糧不足、産み控えなど人口に大きく影響したことは当然だが、それだけ悲惨な人生が多かったという重い事実でもあるわけだ。康熙帝の名君であることは人口把握に力を入れたということからも窺えた。

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2020年11月07日

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