【感想・ネタバレ】新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実のレビュー

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Posted by ブクログ

詰まるところ、情報にどのように接っし、どのように考え、どのように行動に落とし込んでいくのか。

コロナ禍の中で自分自身に問われたことの一つは、情報の扱い方だ。

▼情報を簡単に信じること
▼一度信じた情報を疑わないこと
このような姿勢を持っていることを認め、慎重になるべきだとも書かれている。

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2021年05月13日

Posted by ブクログ

新型コロナウィルス関連で1番面白いし、読みやすく、かつ、自分の行動を改めさせてくれる本だった。

以下メモ

感染対策の基本は、三密を避ける、マスク、手洗い。あとは、よく寝て、よく食べ、適度な運動をすること
先行きを断言する発言にはたいてい根拠がない

ワクチンの種類は生、不活性、成分ワクチンとある
そして新しく、核酸ワクチンが誕生した
ワクチンには副作用がつきもの

人の免疫には、自然免疫と獲得免疫がある
自然はなんでも破壊しようとし、獲得は指示を出す役割がある

PCR検査の数を増やすと偽陽性の数を増やすことになる。なので、まずは医師が判断し、検査という流れが適切。
検査で感染者を抑制出来ない。

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2021年05月08日

Posted by ブクログ

発行から数カ月たつのに、本屋さんにたくさん並んでいるなと思い購入。

自分が打つであろうワクチンのことが(それなりに)分かったし、それよりなにより情報リテラシーについて、深い考えを読めたことが良かった。

立派な肩書を持っている人から「肩書を疑え」と言われてしまうと、「じゃあ何を取っ掛かりにすれば…」と迷子になっちゃう。
でもつまるところ、基本が何なのかを学んで、そのうえで、どういう道筋で成り立っている意見なのかがわかるくらいにはなりなさいよ、ということなのだろう。

大変だけど、あほのままだらだら生きるよりは、だいぶましだと思う。

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2021年04月22日

Posted by ブクログ

正確な情報か否か自分の頭で判断することの大切さ。
思いこみがあるということを自覚する謙虚さ。
極端な論調は分かりやすいけれど、それに振り回されることのリスク。
主題は新型コロナのことに言及されている一冊だけれど、それ以上にメディアリテラシーを身につけることの大切さが身にしみた。

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2021年03月31日

Posted by ブクログ

世の中どれだけテキトーなことが報道されているのかよくわかった笑
本書にも書かれているが情報に踊らされずに、本当にそうか?と自問しながら生きていきたい。
コロナや疫学?の基礎の基礎が学習できてとても良書。

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2021年03月27日

Posted by ブクログ

マスコミでは語られない新型コロナワクチンについての話…もありましたが、様々な情報源からどのように情報を取っていくのか、インフォデミックに巻き込まれないようにすることの大切さを感じた。ワクチンに関しても賛否両論あるが、得た情報から自分がどのように判断していくかだと思う。著者自身はいくつかの研究結果を見て判断して、元は反ワクチンだったようですが、のちにワクチンを打ったようです。今、副作用や因果関係の分からない死亡事例が報告されていることもあり、いろんな文献や情報を集めていく必要があると思った。

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2023年04月16日

Posted by ブクログ

Twitterでフォローしているばぶ先生の著書。喩えが多くてわかりやすくロジックが明快。とことん自分で考えることを教えてくれる。
“大事なのは知識じゃなく考え方”、“この本すらも疑え“。自分の考えを確立させるのに必要なのはしなやかさと強さ。

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2022年05月05日

Posted by ブクログ

2021年6月になっても、未だにPCR検査信仰から抜けられない野党第一党代表に、本書を誰か読ませてやれよと。
せめて、秘書が読んで説明してやれよと。

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2021年06月15日

Posted by ブクログ

あっちゃんのYouTubeで紹介されていたことがきっかけで読みました。
半年前に発売された本ですが、新型コロナウイルスとワクチンについての基本的な情報が対談形式で分かりやすく体系的に分かり、情報との接し方についても意識を高めることができたので大変有益でした。

専門的なお話は分かりにくいと感じる部分もありましたが、ざっくり理解することが重要と感じましたのでサクサク読み進めるのがオススメです。
特に第3章と第9章は参考になる部分が多かったです。

自分用のメモですが共有します。あくまで参考にとどめていただけると幸いです。

【この本で最も重要だと思った一文】 p.273-274 (あとがき)
「公的情報も含め、複数の情報源からの情報を集めて検討し、そして妥当なラインを知っていく、そして咀嚼して行動していく。」

【集団免疫】
1引くR0分の1 の値。
新型コロナの場合は「0.5」
※R0はアールノートといい、基本再生産数のこと。
※基本再生産数…集団のすべての人に免疫が付いていない状態において、1人の感染者から何人に感染させるかの平均値。
つまり50%の人が免疫を持つと集団の中ではそれ以上感染が流行せずに自然に止まる。
日本の人口をざっくり1億とすると、5000万人の免疫獲得が必要。
自然免疫のみで5000万に到達するには、致死率2%とすると100万人の犠牲者が出るまで集団免疫が獲得できない。

【核酸ワクチン】
遺伝子の設計図であるDNAや、具体的な指示書・命令書のようなRMAを直接打ち込む。RNAなら、目的の細胞に到達するとタンパク質に翻訳されてウイルスの成分ができる。
ワクチンというか遺伝子治療のようなイメージ。
ただし、遺伝子治療の分野でも核酸を直接打ち込む治療は行われていなかった。
(遺伝子治療ではウイルスベクターを用いていた。)
人類史上初めての試み。
ウイルスを打ち込む従来ワクチンとは考え方が大きく異なる。
効果は実証されつつあり、期待できる反面、普通のワクチン開発だったら治験が停止するくらいの副反応も見受けられる。
ADE(ワクチンを打つことで返ってかかりやすくなったり、かかったときに重症化しやすくなること)の懸念もあるし、10年先の副反応は誰にもわからない。
一方で従来型のワクチンの開発もゆっくり進んでいる(成分ワクチン…塩野義製薬、国立感染症研究所)
米国、英国はワクチンの接種が進んでいるが、コロナによる死者数が日本とは桁違い。ある程度のリスクは仕方ないという風潮もある。
相対的に死者数の少ない日本ではより慎重な判断が求められる。

【PCR検査】
30%の偽陰性、1%の偽陽性が伴うため、有害にもなりうる。
そのため、検査前確率の高い人をメインに行なっていた。
あくまで陽性の確定に使うツール

【情報リテラシー】
ネットの情報収集:とっちらかったものの中から、いくつかの話を自分の頭が勝手につなぎはじめ、アイスクリーム理論的な大きな勘違いを起こしやすい。さらにその勘違いを裏付けそうな言葉を検索してしまったり…
→大きな流れ、体系を理解していないから
一旦一つの論理の中で体系的に読める本がいいのでは?by 山中さん →トンデモ本も多い by峰先生
ある程度騙されたり、間違った情報を呑み込んでしまうのは仕方ない。
「絶対正しい」ものを探そうとすることが危ない。
「何を根拠に何を言ったか」現実のデータとむすびついているか、理論・理路が示されているか、考え方・解釈の方法が示されているか、自分の頭で考える。

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2021年05月26日

Posted by ブクログ

コロナ第4波が到来、ワクチン接種も話題になっているので読んでみた本。対談形式で、とても分かりやすい。特に、ワクチンの種類について説明されているのが良かった。
日本で接種されるファイザーとモデルナのワクチンはmRNAワクチン(核酸ワクチン)という新しいタイプで、ヒト用の医薬品としては初めてのもの。かなり急いで承認されたという。アストラゼネカのワクチンはウィルスベクターワクチン。そして先日、塩野義製薬が年内にもワクチンを供給できるかもしれないというニュースを見たけど、これは成分ワクチン(組み換えワクチン)だ。単に「○○社のワクチン」じゃなくて、具体的にどういうワクチンなのか、というのが知れたのはとても良かった。
他にもワクチンが「90%の有効性」を持つとはどういう意味か、PCR検査とは実際にどういうものかなど、きちんと理解していないことが多いんだな、と実感した。
溢れる情報にはトンデモなものも多く、情報に振り回されないようにするにはどうしたらいいか、というメディアリテラシーについても言及している。この時期に読んで良かったと思う。

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2021年05月15日

Posted by ブクログ

新型コロナやワクチンの話だけでなく、如何に情報に惑わされないようにするのかなど、情報リテラシーを高めることを重要性が書かれている本です。

新型コロナが流行してから、それに乗じた詐欺が増えましたが、詐欺に引っ掛からないためにも一読する価値のある本だと思います。

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2021年03月20日

Posted by ブクログ

【感想】
素晴らしいコロナ関連書、間違いなく必読!

世界各国でワクチン接種が始まった。しかし、日本も含め、ワクチンに関するデマ、誤報が様々なメディアから報じられている。ときには専門家でさえも誤った意見を述べてしまう中、「コロナウイルスに関する様々な情報を、整理しつつ自分の頭で考えてみよう」と呼び掛けるのが本書だ。インタビュアーの編集Yさんの質問が的確なこともあり、「そうそう、これが知りたかったんだ」という情報まで、深く詳しく突っ込んでくれた。

印象的であったのは、安全性を疑問視する声が挙がる「ワクチン」について、接種の是非を「国策の観点」から考察した部分である。

ワクチン対応に関しては、もはや拙速かどうかを考える余地もないほどに状況がひっ迫している。そんな中、日本全国の20歳~69歳の男女を対象に行ったワクチンに関するアンケートでは、半数が「様子を見てから接種したい」と回答。「あまり接種したくない+絶対に接種したくない」は3割にのぼった。欧米と比べてもワクチンに懐疑的な人が多い結果となった。

ワクチンの副反応の確率はわずかであり、重篤な症状となる確率はさらに低い。コロナをいち早く押さえ込む意義のほうが強く優先されるため、当然、誰しも打つのが正解であるだろう。全員一丸となって協力し、集団免疫を獲得するのが「絶対条件」だ。

しかし、「何としてでも打て」と、本当に強制できるだろうか?

日本は欧米ほどコロナ死者が多くないため、ワクチンの効き目よりも副反応のほうに焦点が向けられがちである。欧米と比べてひっ迫感の無い日本では、打たなくてもいいという選択肢が現実的に見えてくる。
そんな中、副反応が大規模に出てしまうと、新型コロナ対策自体に相当な逆風が吹いてしまう。ただでさえワクチン接種に懐疑的な国でネガティヴな意見が出てしまうと、世論が一気に非接種に傾き、集団免疫の獲得に失敗してしまう。

だから、「四の五の言わずにワクチンを打て」という安易な主張はできないのだ。どこまでも慎重に世論を気遣うべきであり、必要なのは「科学的アプローチ」ではなく、「政治的アプローチ」なのだ。

科学的リテラシーを突き詰めれば、むしろ「ワクチンを必ず打ってほしい」などとは口が裂けても言えなくなる。本書を読んで一番衝撃的だったのは、この事実が「免疫学者」というプロの立場から主張されたことだ。

免疫学者の峰先生は、どこまでも「分からないことは断定しない」というスタンスを貫いている。しかし、それは決して無責任な態度ではない。
新型コロナとはデマや妄信との闘いであった。WHOの初動、クルーズ船対応、PCR検査の拡大の是非、未知の災害を前に様々な憶測が飛び交う中、感染症専門家ですら判断を過ち、政治家はもっと判断を誤った。こうした混乱を最前線で見てきた先生が、慎重すぎるほど慎重な態度を取るのも無理はないだろう。

ではそうしたデマはどうして発生したのか?それは「安易にファクトを求める」態度から来たのである。
世論は安心を得るべく散々ファクトを求め続け、行き過ぎた断定主義を生んだ。科学的見地から何でも白黒つけようとし、時には専門外の学者に政治的決定を委ねた。

しかし、新型コロナウイルスは「分からない」のだ。こうすれば安心であるとは誰にも言い切れない。何しろ未曾有の病気の前では専門家でさえもお手上げであり、科学が答えを出すにはあまりにも情報が足りない。安心を得ようと「専門家の意見」に飛びついた結果、誤った知識が流布するきっかけになってしまった。

結局のところ、ファクトをいくらかき集めようとも、「自分の頭で考えないと、いつまでたっても安心はできない」。


科学は結論まで教えてくれない。決断を下すのは、いつだって自分なのだ。



【本書のまとめ】

1 新型コロナウイルスの基本情報
今回の新型コロナウイルスは分類上SARSに近いため、「SARSコロナウイルス2」と名付けられた。このSARSウイルスとの類似性の高さが、コロナ攻略の鍵になる。

●用語解説
基本再生産数…免疫がなく、何も対策が講じられていない状態で、1人の感染者が何人にうつすか(再生産数)の値。
実効再生産数…免疫、ワクチン、外出規制など、対応策が取られている中での再生産数。

飛沫…ウイルスの周囲に唾液などの水分が取り巻いている状態のこと。これによる感染は「飛沫感染」という。重いので空気中をあまり漂うことなく、速やかに落下する。新型コロナが当てはまる。
飛沫核…水分が蒸発し、ほぼウイルスだけの状態のこと。これによる感染は「飛沫核感染(空気感染)」という。空気中を長時間浮遊するため、感染力が桁違いになる。結核が当てはまる。
※飛沫感染と飛沫核感染の定義は、正確に決まっているわけではない。

コロナの流行はインフルエンザの流行とよく似ているが、CFR(感染致死割合)で比べると、インフルエンザより100倍も高い。
新型コロナの厄介なところは、軽症と無症状が非常に多いこと。感染者の4割が自覚なく感染を広げてしまい、ときおり重症者を生み出してしまう。
SARSの封じ込めが成功したにもかかわらず、コロナが封じ込めできないのは、この「無症状者の多さ」が原因である。SARSはその強力さからすぐに隔離措置が取られるため、市中感染が広がらなかったのだ。

現状、コロナに対しては、共存しつつワクチンで抑制していくしかない。


2 感染対策
メインは飛沫対策である。接触感染対策は、手洗い以外はそこまで敏感にならなくていい。手洗い+手を口に入れない、程度の注意でよい。

●感染対策
・栄養と睡眠をしっかりとる
・手洗いを欠かさない
・うがいは水で十分
・咳エチケット(うつすことを防ぐためのマスクの着用)
・三密を避ける
・体調不良者と接触しない
・十分な換気
現状、感染対策としてはこれしか言えることがない。上記以外の感染対策がプッシュされている場合、それはウソなので気を付けよう。


3 免疫とは何か
感染症というのはウイルスや細菌などの「病原体側」だけでなく、「感染される側」の免疫などの状態と併せて、両者を理解することが必要である。増えたウイルスだけが身体に異常をきたすのではなく、ヒトの免疫が過剰な反応をしてしまうせいで、自分の体を傷つけることもある。ウイルスと、ウイルスの増え方を見ているだけでは不十分である。

「免疫」とは「一度かかった感染症に二度はかからない」という意味だ。
「集団免疫」とは、ウイルスや細菌などに対し、人口の一定以上の割合が免疫をもつことである。これが一定以上まで高まると、集団の中でそれ以上感染症が広がらなくなる。再生産数が1以下になるからだ。
新型コロナにおける集団免疫の値は、人口の50%とされる。自然感染で獲得しようとすると莫大な犠牲者が出るため、ワクチンで獲得することを目指している。


4 次世代のワクチン、「核酸ワクチン」
ワクチンの種類にはいくつかある。
生ワクチン…弱毒した生の病原体を打つ
不活性化ワクチン…殺したワクチンを打つ
組み換えワクチン…ウイルスの成分の1つだけを人工的に作って打つ

この3つは、安全性は高いが、量産が難しかったり、免疫系の反応が若干弱かったりする。

この3つから更に進化した「メッセンジャーRNAワクチン」「DNAワクチン」、まとめて「核酸ワクチン」と呼ばれるものが、対コロナワクチンとして注目されている。
これは、処理したウイルスではなくDNAやRNAをそのまま注射する。遺伝子技術によって組み替えられたDNA達は、目的の細胞に入った瞬間にタンパク質に翻訳され、あたかも弱毒化したウイルスに感染したように作用する。設計図を直に打ち込んで、人の細胞を工場にして免疫を作ってしまおう、という発想だ。

核酸ワクチンはSARSのときから研究開発されていたが、「10年後、20年後に実現するといいね」というスピード感だった。それがコロナウイルスの流行により一気に開発レースが進んで、実用化に向けて動いている。
素早く量産できるものの、人に打った場合の検証があまり進んでいないまま突っ走っている。効き目は実証されつつあるが、核酸ワクチン自体に先例が無いため、「10年後に副反応が起きないと言えるか?」までは詳しく分かっていない。

インフルエンザのワクチンを注射しても、免疫は数ヶ月で消えてしまうが、コロナワクチンでも同じことが起きないのだろうか?
今回のコロナの自然感染では、3ヶ月ぐらいすると血液の中の抗体の量が下がり、免疫が落ちてくることが分かっている。ただし、ワクチンでも同じことが起こるかは全く別問題である。そもそも、根付いた免疫がどのぐらい持つかは全く予測できない。


5 国策としてのワクチン接種の方向性
コロナ撲滅における頼みの綱はワクチンである。しかし、核酸ワクチンを先行して摂取開始した国で、もし副反応が大規模に出てしまうと、新型コロナ対策自体に相当な逆風が吹いてしまう。ただでさえワクチン接種に懐疑的な国でネガティヴな意見が出てしまうと、世論が一気に非接種に傾き、集団免疫が獲得できなくなってしまう。
だから、ワクチン接種というのは本当に慎重にやるべきなのだ。
今のイケイケどんどんの雰囲気では、「情報戦」としては非常にまずい。

①ネガティヴな反応が出ないように細心の注意を払いながら、核酸ワクチンを打つ
②核酸ワクチンと並行して、比較的安全な「不活性化ワクチン」の開発を続ける
③開発が成功した段階で、核酸ワクチンから切り替える

上記が、コロナ撲滅に向けた「一番安全なシナリオ」である。とはいっても、国の感染状況によって戦略は異なってくる。

米国、英国は核酸ワクチン接種を急速に進め、中国は核酸ワクチンと並行して不活性化ワクチンの開発を行っている。
米国と英国は死者の数が飛び抜けて多い。感染を食い止めるためならば、ある程度のリスクを取らざるを得ない。しかし、中国や日本といった国は相対的に死亡者数が少ない。そのために、安全性に細心の注意を払う。ワクチンによって万一死者が出てしまえば、それこそ大問題となり、ワクチン否定派が大勢出てくることになる。皮肉なことに、死者数の少ない国ほど核酸ワクチンに対して慎重に取り組まなければならないのだ。


6 ワクチンと人の免疫
ワクチンは人間の免疫系との相互作用であるため、人によって効き目に差がある。ある人には重症化予防までしかできないが、よく効く人にとっては感染予防にもなる。そのため、「効くor効かない」と二択でくくることは難しい。

そもそも、ワクチンの効力を測定するためには、現状では「抗体価(抗体の量)」ぐらいしか指標がない。ヒトの免疫系は
・自然免疫(侵入してきたウイルスを手当り次第殴る)
・獲得免疫(ウイルスを特定してピンポイントで殴る)
 →液性免疫(細胞の外にいる病原体を殴る)
   細胞性免疫(病原体に感染した細胞を殺す)
があるが、分かっているのは液性免疫に分類される「抗体」の数だけであり、その他の免疫系は、数が増えれば効くかどうかははっきりしていない。

ワクチンの効果の指標となる「90%の有効性」というのは、「ある人の感染リスクが90%減った」でも、「100人のうち90人の感染を防いだ」わけでもない。ワクチンを打ったグループ、打たなかったグループにいつも通り生活してもらい、前者のほうが感染者の割合が90%少なかった、ということである。
(もちろん、家にずっといたりして、コロナにかかる機会がそもそも少なかった、という人物もたくさん含まれる)

究極的に、ワクチンというのは、効きもリスクも確率的な事象から逃げられないのだ。


7 新型コロナ対策のちょうどいい湯加減
接触8割削減、他人と2メートル離れろ、などさまざまな感染症対策が提言されているが、科学によるモデリングは、具体的な人の行動まで数値化して落とし込むことまではなかなかできない。絶対にこれ、というエビデンスはなく、本当に100%科学的な裏付けがある、という対策はない。

まず現実に起こっている感染状況を把握する。様々な施策を通じ、このぐらいなら平気、ああいうことをすると感染拡大が起こる、という「肌感覚」を得るぐらいにデータが集まってくる。そこからやっと、「多少密集した場所でも、換気がされていて、喋らなければ大丈夫」なのではないか、と仮説ができ、科学者のモデリングが可能になる。

湯加減は、浸かりながら調整するしかない。ぬるくしたり熱くしたりすること自体に責任はなく、慎重に色々試すことでしか解決し得ない。

先に対策の効果を予測しろ、というのは、科学原理的に不可能なのだ。


8 PCR検査のウソホント
PCR検査は「陽性の確定」には使えても「陰性の証明」には使いにくい。検査規模を増やしても、やればやるほど偽陰性・偽陽性が出てしまうため、医療リソースの無駄遣いとなる。

そういうわけで、「PCR検査は絶対数で考えてもあまり意味がない」。PCR数を感染者数や死亡者数で割った打率(検査全体から陽性の人がどれくらい見つかったか?)を重視するべき。
言い換えれば、「疑いのある患者をどれだけ検査前に絞り込めるか?」の指標を重視するべきなのだ。現在の医療体制は、医師が判断した患者や、行政が特定した濃厚接触者だけに検査を適用しているが、その正確性で検査数の有効性を見極めるのがよい。

ちなみに、インフルエンザ検査はPCR検査と同じぐらいの精度であるが、ほぼ病状を特定している。これは「症状から判断している」ためである。インフルエンザ検査をしてもし陰性が出た場合は、お医者さんが患者の容態(熱があり、関節が痛く、学校でインフルエンザが流行っている…等)を総合的に勘案し、「陰性ですがインフルエンザの可能性が高いので、タミフルを出しましょう」と診断しているのだ。

コロナが厄介なのは、「無症状」だからである。患者に現れている症状が検知しにくいため、正確な診断が下せない。それがゆえに、検査前確率が高い人、すなわち濃厚接触者を追うという対応が妥当なのである。

コロナ初期は、「陽性が疑われる人」に対してPCR検査のキャパシティが足りなかったので、検査の回数を増やすのは正しかった。しかし、それを拡大解釈して「希望者に受けさせる」ために回数を増やすのは間違いである。
また、PCR検査は発症から7日目ぐらいまでの患者に対しては8割程度の感度があるが、それ以外(例えば発症前)では、ただでさえ低いのに、感度が輪をかけて下がる。無症状の人に検査を行ってもかなり精度が落ちるのだ。

いつでもどこでも何度でもやるほどのリソースは不足している。あくまで、検査は眼の前にいる「陽性らしき人」を断定する道具として使うべきであり、やたらめったら検査するのは大間違い。「陰性と陽性を区別する」ためのものではないのだ。

また、巷で言われている「高齢者だけ厳格な措置を」も実は有効でない。確かに高齢者や既往症の人が重症化しやすいのは事実だが、これだけを理由に「若者は外に出してよく、高齢者は隔離しろ」とはできない。はっきり断定できるほどの差がなく、客観的で分かりやすい基準を作るのが難しいのだ。実際にこれをやったニューヨーク市では、若者が次々と死んでいる。


9 信じていい情報を見抜くには?
コロナ禍においては専門家や有識者ですら「?」情報を発信している。いったい我々は何を信じてればいいのだろうか?
結局のところ、情報を集めて、自分の頭で考えることが大切である。
リテラシーは知識層であるほど高くなるかというと、そんなことは全然ない。正確な情報を得るためには、情報の集め方だったり、公的情報を確認したり、複数の情報でクロスチェックしたり、と色々あるが、「これだけ押さえておけば」というものはない。

一番ダメなのは、騙されることを恐れるあまり「絶対正しい」ものを探そうとすることだ。
みんなが思っているほど、科学者がやっていることが必ずしも正しいわけではない。ましてや科学者を神聖視するのは、リテラシー的にアウトである。
誰を信じるかではなく、何を信じるか。
「自分の頭で考えないと、いつまでたっても安心はできない」。

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2021年03月09日

hk

購入済み

新型コロナとワクチン 知らない

眼からウロコの解説、対談集です。基礎的な知識の解説から、いろいろな情報の読み方・考え方についてよくわかる良書です。一読の要ありですね

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2021年02月28日

匿名

購入済み

日本人が地味におこなってきた『3密回避.手洗いの徹底.マスク着用』がここまで効果があるとは思ってなかった。 海外で日本並みに徹底することがどれだけ難しいのかも。
一番信頼すべきなのは政府の分科会の提言。 専門性の高いより多くの研究者の目を通しているため信頼性が高い。 メディアや一人の専門家の意見のみを鵜呑みにするのはやめた方がいい。
感染拡大を抑えているのは検査ではなく、自粛やロックダウンによる他者との接触の低下でしかない。
どんなワクチンにも副反応は必ず現れる。実績のない新しいワクチンは特に年単位の時間経過後どうなるかは不明。
以上を踏まえた上で自分自身で情報を吟味し、感染予防に務めながら生活していくことが大事だということがよくわかった。

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2021年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 コロナワクチンについての基本的知識などを得ることができた。自由に活動できる社会に戻るには、ワクチン接種が進むしかないなと思った。今かなりワクチン接種が進んでいるのでとても良い傾向だと思う。

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2021年09月25日

Posted by ブクログ

話題の本。峰先生、はっきりと意見を述べられており、とても好感を持てる。昨年12月刊行なので少し時間は経ってしまっているが、わかりやすい内容で参考になった。

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2021年08月29日

購入済み

是々非々の対応のための教養書

コロナに関しての分かっていることと分かっていないこと、明確なエビデンスは提示できなくともおそらく推測できること、を提示しており、巷にある歯切れの良い本とは異なり分かりやすさの面では劣る。ただ、事実や科学的態度に基づく真摯な対応の結果であり、実際に白黒つけられない事象に対して恐怖や楽観論を押しつけるのではないこと自体が誠実。コロナの現時点で事実や推測や誤解を示す本でもあるが、メディアリテラシーを鍛えるための本でもある。専門用語も専門家と非専門家の対談形式で噛み砕いて口語で説明があるのもわかりやすくて良かった。

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2021年08月22日

Posted by ブクログ

コロナやワクチンといった対策を考える上で、とても誠実な内容。
デマや分かりやすい主張に操られないために。

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2021年07月21日

Posted by ブクログ

コロナの再生産数は2

集団免疫とワクチンの必要性
日本でいうと100万人が死なないと集団免疫にはならない。アメリカが1番多くてそれでも50万人。

コロナワクチンはこれまでのワクチンとはちがう

弱いウイルスを入れてたワクチン
殺したウイルスを入れてたワクチン
人口的なウイルスを入れたワクチン
これまであった

新世代ワクチン
設計図だけを体にいれて体の中で作る

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2021年06月19日

Posted by ブクログ

ワクチンとPCR検査に対する考え方を学べる。

ワクチンを打てば、マスク外して飲みに行ける!とはならないことがわかった。

PCR検査は新型コロナを診断する手段の1つとして用いるもので、問診から分かる症状と合わせて確定される。

PCR検査の精度は約70%。
全例PCR検査は、偽陽性の人を意味もなく隔離してしまい、偽陰性の人を安心させ、スプレッダーにしてしまう。

結局、ワクチン接種を行っても、3密を避けることが今後も最善であることに変わりは無さそう。

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2021年06月18日

Posted by ブクログ

堀江貴文さんのYouTubeチャンネル「ホリエモンチャンネル」などで、新型コロナウイルスについて説明されている峰宗太郎さんによるコロナ本(2020年12月発行)。日経の記者の方とのインタビュー形式で新型コロナウイルスの基礎知識~ワクチン/免疫の基礎知識~新型ワクチンである核酸ワクチンのしくみまでわかりやすく解説される。フェイクニュースに惑わされないテクニックも説明されており、とても分かりやすかった。

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2021年05月30日

Posted by ブクログ

新型コロナウイルスの基礎知識を身につけることができた。ニュースしか見ずに過ごしていると「PCRを拡大すべき」「ワクチンは必ず打つべき」という誤った認識をしていた。様々な角度からの情報を手に入れることの大切さを改めて知った。

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2021年05月05日

Posted by ブクログ

コロナについて、理解が深まる。
コロナとは、SARSやインフルエンザとの違いなど、基本的な疑問に答えてくれる。
対話形式なので読みやすいし、峰先生も出来る限りわかりやすく説明されている。
多くの人読んで欲しい一冊。

自分にはまだ理解するのが難しい部分があったので、何度か読み直して理解を深めたい。

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2021年04月21日

Posted by ブクログ

一般人が、気になることを、わかりやすく解説してくれている。
編集者との対話形式になっているのもいい!

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2021年03月07日

Posted by ブクログ

とにかく読みやすい。医療従事者としてもうすぐコロナワクチンを接種するの事前に読んでおこうと思った。通常の治験期間の20年近くをすっ飛ばしていたり、通常治験を中止するような副反応も見られたり、それなりの覚悟を持って接種しなければならない。

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2021年03月07日

Posted by ブクログ

新型コロナワクチンのこと、PCR検査のことなど分かりやすく、書いてあり、目から鱗でした。
また情報を得る時の心構えなど、コロナに限らず、生きていく上で大切なことも書いてありました。情報があふれ、簡単に手にすることができる今、なかなか難しいけれど、心していきたいな、と感じました。コロナに関しても、この一冊を読んで分かった気にならないで、他にも読んでみようかな、と思いました。

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2021年12月28日

Posted by ブクログ

細胞を持たない、遺伝子とその容れ物だけの存在で、生物か否かも議論がある、新型のそんなヤツに振り回される毎日。
よく考えるとほんと不思議。

この本は、対談形式でわかりやすくコロナとワクチンについて書かれている本。巷に溢れる正しくない情報に騙されない方法も書かれている!

良書だと思いました。

・予防法
①栄養と睡眠をしっかりとる
②手指衛生の徹底
③咳エチケット
④3密を避ける
⑤体調不良者と接触しない、体調不良なら外出しない
⑥マスクの着用
⑦十分な換気
⑧うがいは水で十分
・「3密」概念は日本が世界に先駆けて打ち出した概念。他の国での認識は十分ではない。

・ファイザー製などメッセンジャーRNAワクチンは、理屈は正しいが実績が全くない種類のワクチン。新しいテクノロジー。あと10年くらいでできるといいよね…といったペースで開発されていたものを急ピッチで作った。
・副反応はたくさん出る。だから、社会全体でリスクとメリットを勘案して、覚悟を決めた上でやっていく必要がある。
・日本は先進国の中でもワクチンに対する不信感が強い国なので、副反応がスキャンダラスに封じられると、せっかく見えてきた希望を失ってしまうことになりかねない。

・PCR検査は疑い者の確定診断のためには有用なツール。しかし、スクリーニング目的としては偽陰性など弊害も多い。またリソースは限定されており、費用対効果を考えるとスクリーニング目的でやるべきでない。


…さて、皆さんはワクチンを打てるようになったら打ちますか?
僕はたぶん打つと思います。怖くないと言ったら嘘だけど、人類の最新のテクノロジーを信じたいので。

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2021年01月25日

Posted by ブクログ

ワクチンは半ば義務みたいになっているが、この本を読むと、本当に安全なのか不安になってくる。

急いで製造しているため、治験など万全でないところも多く、将来的にリスクがないのか?と思ってしまう。

ただ、コロナ感染症がこれ以上広がってはいけないと思うし、ワクチンのおかげで、私も罹患していないことを考えると、今後、なんらかの副作用が起こらないことを祈るだけです。

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2022年02月09日

Posted by ブクログ

新型コロナの状況は刻々と変わるのでこの本も古くなってしまったが、なかなか勉強になった。
医クラの人たちはTwitterとかテレビでは炎上しがちだが、みんな本だと落ち着いて冷静になっていると思う。それこそ本の利点かな。

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2022年01月16日

Posted by ブクログ

日経ビジネスで紹介されていたのがきっかけだったかしら?

2020年11月現在の情報とワクチン接種後という環境でも、十分勉強になりました。

ワクチンや治療薬の技術がより向上することを祈りながら、受け身にならず、情報を取捨選択できる術を身につけなければと思った次第。

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2021年10月01日

Posted by ブクログ

★★★
今月4冊目
ウイルス学、免疫学の先生の本。なかなか難しいが正しい情報を提供。
考え方の本。
このオタク先生の出す結論はやはり3密とからしい。PCRを増やしても偽陰性あるし感染者の減少には繋がらない。
白黒でなく各自頭で考えろと

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2021年09月09日

Posted by ブクログ

PCR検査やワクチンの有効性の話など とてもわかりやすく書かれていると思いました。
この本は2020年12月発売の本なので ワクチンがそこそこ打たれている現在の先生の意見を聞いてみたいです。
イスラエルでは3回目のワクチンを打ち始めているようですが 副反応が強く出るワクチンを回数打ち続けて大丈夫なのか?とか...
今、感染拡大しているデルタ株には効くの?とか...
まだ、今からわかることなのかもしれませんが...
ネット情報はたくさんあり過ぎて どれが本当なのかわからないくらい、もう自分の考え方次第ですよね。
体調が悪い時は心折れそうになります。
何度考え直してみても 自分に出来ることをやる...ってことに行き着く。

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2021年08月14日

Posted by ブクログ

章のまとめだけを見てしまうと常識的なことだけを述べているように思います。
しかし、その結論に行くまでの過程の話は面白いところもあったように思います。
結論として、あまりいろんな情報に振り回されるなということでしょうか。

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2021年08月13日

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