【感想・ネタバレ】老いの落とし穴のレビュー

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Posted by ブクログ

 80歳を超えた私の両親はまだ健在だが、今のうちに読めてよかったと思った本。遥洋子が、自分の両親や兄をはじめとした肉親の看取り、友人の介護の後悔を通して、誰にでもやってくる「人生の最後」についての真実を語っていると感じた。
 介護の質は、その介護者の「見る」「気づく」「関心を持つ」と言う3つの感性があるかどうかで決まると言うこと、そしてこの3つを持ち合わせている人の方が圧倒的少数派だということ、晩年の数年間の介護の質は、人生そのものを覆せないと言うこと、など、心に残ったフレーズだ。
 最後の章にある医師2人によるALSの女性の嘱託殺人事件に触れた内容は示唆に富む。
 生きている時間には限りがある。辛抱などせず、自分の体や精神のメンテナンスをまめに続け、愉快に人生を生きていきたい。遥さん、教えてくれてありがとう。
 

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2022年08月08日

Posted by ブクログ

まだ両親は健在だが、将来について心配になってきた今日この頃。今のうちに読むことができて本当によかったと思う本。介護によって、介護した側が不幸になることが多い現実。自分の老いへの準備の必要性。差し迫っていないから受け入れることができるのだと思う。

70代前半の両親は、自分の親は子供が面倒を見るのが当然という時代に生き、「終活」が話題になった頃には、もう少し老いが始まっていて目を背けるように過ごしてきた気がする。相続のことは考えているみたいだけど、介護が必要になった時のことを想像できていない。

母はどちらかが元気なうちは、家で介護するつもり、と言っているが、体格差があり、父は家事をあまりやってこなかった上に、全くのバリアフリーではない一軒家。どう考えても現実的ではない。

私と兄はは遠方に住んでいるから、近くに住んでいる姉はとても不安に感じている。

一方で、自分も40を過ぎて老後についてたまに考えるようになった今、自分が歳をとった時に死ぬ時のことを考えるのは辛いなぁと思うようになった。なので、両親に介護が必要になった時のことを考えて、とは言えない。

とりあえず、自分は死がまだ先であろう今のうちに、老いへの準備を始めようと思った。

認知症より体の病気になって死ぬほうがいいと思ったけれど、頭はしっかりしていて介護が必要な状態というのは思っている以上に苦痛であるようだ。介護施設に入れば安心というわけでもないようで、やはりまずは健康に気を使うことが大事だなぁと思う。

【メモ】
・大切なのに、いつも感情的になってしまい、優しくできない自己嫌悪。あなたの望む娘じゃなかったことへの申し訳なさ。悲しさが、怒鳴らせる。

・なぜ、健康管理の責任を自分自身で負う世代になった途端、その後に待ち受けている老いに対して、誰もが無防備になるのだろう。

・老いたら、もう老いたことの自覚を持ちにくい。60代後半以降は、環境の変化に適応できない、守りと現状維持の時期にくる。

・老後の資金繰りまでは想像できても、自分の身体の健康や老後の幸福感に至るまでの具体的努力をどれほどの人がしているだろう。

・(介護ベッドでデパ地下に買い物に来ていた患者がいたことをあげて)病者は迷惑をかける権利がある。健常者は協力する義務がある。

・世界を股にかける活躍をしたからいい人生、ではない。静かで動きがない人生でも、それが自分の心に見合ったものなら、静かにその人なりに社会と関わることも可能だ。安寧や静寂が穏やかな人生を刻んでくれるなら、それがいい人生なのだ。

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2021年10月30日

Posted by ブクログ

父母、兄らを看取ってきた著者が、「老い」の本質をえぐっていく。友人との会話によると、渾身の介護にかかわらず、悔いが残る人がほとんどらしい。
愚痴ばかりの母、怒り狂う兄の描写を交え、何が彼らをこうさせるかの考察。
結局は親の姿に自分を重ねながら老いを予見し、不満を残さないように決心する筆者。
高齢の入口に立つ、これからの自分の生きる姿勢に示唆を与えてくれた本。

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2021年07月25日

貴重な描写

介護の暴言の根拠、怒りの元等がリアルに書かれて、理解しやすかった。家族の失敗例をあえて描くことで、自分事として考えさせられた。老老介護時代の必読書(とまでは言わないですが)。

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2023年06月20日

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