【感想・ネタバレ】新型コロナ 7つの謎 最新免疫学からわかった病原体の正体のレビュー

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ネタバレ

第1章 風邪ウイルスがなぜパンデミックを引き起こしたのか
感染症の広がりを示す用語:エンデミック、エピデミック、パンデミック。
歴史的パンデミック:天然痘、インフルエンザ、SARS等。
パンデミックの原因としては、グローバルの環境変化とウイルスの易変異性の二つが挙げられる。その意味でパンデミックは不可避である。
第2章 ウイルスはどのようにして感染・増殖していくのか
ウイルスの性質。単独では生きられず、宿主細胞に入って増殖する。SARS-CoVはACE2受容体経由で細胞内に侵入する。SARS-CoV侵入後には細胞内でIFNが作られにくいため、増殖されやすい。感染細胞はアポトーシスを起こすことでウイルス排除を行っている。ウイルスの侵入〜増殖の経路ごとに抗ウイルス剤の作用点がある。ウイルス検査には抗原検査、抗体検査、PCR検査があり、PCR検査が決定的である。
第3章 免疫vs.ウイルス なぜかくも症状に個人差があるのか
新型コロナウイルスの症状や流行の様子は風邪やインフルエンザとは異なり、多岐にわたる。免疫のメカニズムには自然免疫と獲得免疫がある。自然免疫は特異性が低いが立ちあがりが早く、獲得免疫は免疫記憶を持ち特異性が高いが応答に時間がかかる。自然免疫が作動するとサイトカインが産生され、獲得免疫が起動する。その場合通常は炎症反応が生じるが、COVID-19の場合サイトカイン産生が遅れる傾向があり、そのため感染しても無症状期間が長く、流行し易い。免疫反応の強さには個人差があるが、自然免疫の強さ、個別HLAの違いなどが一つの要因である。感染しても抗体が産生されるとは限らない。
第4章 なぜ獲得免疫のない日本人が感染を免れたのか
日本の感染者数が少ない理由はいくつか仮説があるが、いずれも決定的ではない。各種ワクチンなどにより訓練免疫が強まっているという説もある。BCGの特定株の接種が有利に働く可能性もある。類似ウイルスに既に感染していることで交叉免疫を得ている可能性もある。生活習慣などの影響は考えにくい。
第5章 集団免疫でパンデミックを収束させることはできるのか
集団免疫を得ることでCOVID-19感染を収束させることは難しい。免疫に抗体以外の要素が関わっていること、人口は免疫学的にムラがあること、免疫記憶が永続的とは限らないこと等を考えると、集団免疫の形成に大きな期待はできない。
第6章 免疫の暴走はなぜ起きるのか
COVID-19感染者が重症化する原因としてサイトカインストームによる広範な組織障害が挙げられる。ウイルス感染後にインターフェロン産生が抑制されるが、ある時点で急激にサイトカイン産生がリバウンドして、炎症反応が劇症化する(経路A)。さらに血管内皮細胞に感染して血栓を生じる(経路B)、ACE2を経由した炎症の劇症化(経路C)などのメカニズムが考えられる。悪化要因は高齢、慢性炎症疾患など複数である。サイトカインストームを止めるためにはアクテムラなど抗体製剤が有効である。
第7章 有効なワクチンを短期間に開発できるのか
ワクチン接種により単に抗体が産生されるだけでは不十分であり、善玉抗体が主に産生されなければならない。開発には第三相試験が必要であり本来は十数年以上の時間を要する。副反応も十分なモニタリングが必要である。反応効果の持続性も予測が難しい。開発スピード面からDNAワクチンの実用化が有望視されているが、許認可には拙速にならぬよう十分な目配りが必要である。また人工抗体の投与で重症化を防ぐ方法も開発されており、今後有望である。

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2022年01月24日

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書かれたのはおそらく1年位前と思われるし、その後の経過を知った上では、訂正されるべき内容も少なくない。でも、この時点での情報を基に、これだけの考察がなされているのは素晴らしい。重症化の基本的な機序とか、それを押さえるためにはどの部分をどういった薬剤で抑えればよいとか、図解もされているし、とても分かりやすい。おそらくこれからもまだまだ登場するであろう新しい治療法を理解するためにも、必携の一冊。

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2021年08月04日

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免疫に関する知らなかった事が、たくさん書かれていて、非常に面白い内容でした。
新型コロナに関する内容もですが、自然免疫に関する「訓練免疫」や「オフターゲット効果」あたりの話が、一番興味を惹かれました。

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2021年05月12日

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重要な論点がきちんとまとまっており、感服いたしました。あまりに進行が早くて、すでに陳腐化しつつある部分もありますが、そういった部分を理解しておくと、これからの展開を見ていく上で、きっと役に立つことでしょう。

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2021年02月17日

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わかりやすくてあっという間に読めます。
アニメ「はたらく細胞」とあわせてみると更にイメージしやすいと思います。

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2021年02月08日

購入済み

少し難しいが問題点は理解

本書執筆(2020.10)後も日々状況は変化し、修正が必要な箇所があるかも知れません。しかし、免疫学の基礎知識や研究成果に基づいた解説の多くは変わらないと思います。一般の読者にもわかりやすく書かれた努力は認めますが、私の免疫学の知識があまりにもお粗末で苦労しました。サイトカイン、B細胞、プラスミド、Nタンパク質、HLA、など専門用語が出てくるたびに繰り返しググる始末。実はDNA, RNA, 抗原、抗体も十分理解していませんでした。とは言え、新型コロナウィルスの特殊性、重症化のメカニズム、コロナ対策の考え方、ワクチンの問題点などは理解できたと思います。著者の宮坂先生が憂慮されているように、マスコミの自然科学に関するリテラシーはお粗末で、そんな彼らの報道に振り回されてきた一年だったと思いました。科学者のコメントは「(この仮説に基づくと)こんな結果が得られる」というものが多いですが、マスコミはしばしば「結果」だけを取り上げてセンセーショナルに報道します。様々な「仮説」を知ることは大事だと改めて思わされました。

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2021年02月02日

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気楽に読めない部分もありますが、前作と同様、極めて平易に、素人にも分かりやすく、冷静に説明頂きました。一方的でなく、煽ったりせず、信頼が置けます。重症化の仕組み、ワクチンには悪玉もいること、人工抗体という普段あまり耳にしない方法。それにしても、人間の身体やウィルスの仕組みって神秘的ですね。

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2021年01月27日

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ブルーバックスで免疫についての著書を持つ著者が、新型コロナウイルスと免疫の働きの関係に焦点を絞って解説した新書。2020年10月脱稿、11月発行。

急いで発行する必要のある一冊、ということもあり、著者の前著からイラストを引用したりする部分もある。おそらく、すでに免疫学についての基礎知識がある人は冗長さも感じる一冊だと思われる。しかし、それがない人間にとっては、今一番の関心事を縦軸に免疫機構の基本を学ぶことができる一冊。

個人的に興味深かったのは「新型コロナウイルス感染ではⅠ型インターフェロンがうまく作られない(p.98)」という話。
ウイルスが感染した時、細胞はⅠ型インターフェロンを出す。それは他の細胞の対ウイルス活性を高めるし、いわゆる「風邪」の症状を起こして体の免疫力を高める働きがある。
新型コロナウイルスがある程度まとまった数で体内に入ると、このⅠ型インターフェロンを細胞に出させない。それは新型コロナウイルスの増殖には有利であり、一方で「風邪」の症状が出ないので人は通常通りの活動をするため結果的にウイルスを他者に感染させがちになるのだとか。
「症状が軽い」と聞くと大したことないウイルスのように感じてしまいがちなんだけど、新型コロナウイルスがそのように「見せかけている」ところがあるらしい。

ただ、炎症を起こしてウイルスにやられた細胞を殺す形でウイルスをやっつける機構(この機構の伝達物質は炎症性サイトカイン)は働いていて。これが暴走することで、肺だけではなく血管や多臓器での多発的な炎症が起き重症化する。それが基礎疾患を持つ人ほど起きやすいらしい。

新型コロナウイルスにかかわる話を広く扱っているため、正直なところたくさんある言葉を消化しきれていない感はある。
ただ…新型コロナに限らず免疫とウイルスの関係はとても複雑。その複雑さをこの本を通読することで垣間見られるのではないか、と思う。

この本の本題ではないのですが…糖尿病や肥満症を「慢性炎症」に伴う症状とみる見方があり、この慢性炎症の諸症状と新型コロナウイルスの重症化は関連が深いのだとか。そちらの方の本も読んだ方がいいのかな、と。

「人の興味」と「興味深い現象の仕組みについての知識」とうまくつなぐ一冊だと感じた。

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2021年01月12日

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新型コロナウイルスに対して、専門家が、真正面から丁寧に解説した本。このウイルスが、とにかく複雑な反応を人体に起こし、とても厄介なことがよくわかります。とにかく断片的な知識で、簡単に物事を判断しないことが大事だと思いました。

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2021年01月02日

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免疫学者である著者が新型コロナを題材として書いたもので,免疫の仕組みや分子生物学を理解するのに良い本である.

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2020年12月23日

Posted by ブクログ

ウイルス感染の基本的な知識を踏まえて、新型コロナウイルスが持つ特徴について科学的に解説した本。

個人的には、自然免疫に対する訓練免疫の話が興味深かったです。免疫システムはとても複雑で、まだまだ未解明な部分があることを改めて実感しました。 2020年11月に出版された本なので、現時点ではすでに古くなっている情報もありましたが、「敵を正しく知り、正しく恐れる」ための基礎知識が簡潔にまとめられた良書だと思いました。

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2022年06月06日

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ブルーバックスなので、感染や免疫のメカニズムがメイン。基本的なウイルス感染と新型コロナの違いが説明されているが、まだわからないことも少なくない。ワクチン接種が始まる前に出版された本で、デルタ株やオミクロン株への変異といった状況の変化もあり、もうすでに古くなってしまった部分もある。

新型コロナは、ウイルスに抵抗する能力を持つI型インターフェロンというサイトカインの産生や活性化を抑えるタンパク質を作る。I型インターフェロンの産生が抑制されることによって、炎症性サイトカインも産生されなくなるために、ウイルスが排除されにくく、風邪症状も出にくい。症状が出にくいために、感染者が社会の中を動き回り、感染が広がる結果となる。

しかし、感染が進むと炎症性サイトカインが作られ過ぎて免疫の暴走が起こり、重症化につながる。特に、肥満、動脈硬化、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患などの持病がある人では、それぞれの組織の炎症が悪化し、全身状態の悪化にもつながる。

PCR検査では、感染後数日間はウイルスが検体の中に出てこないことが多く、陽性にならない。従って、PCR検査は陰性証明にはならないため、必要な人に必要な回数行うことが望ましい。抗原検査はPCR検査より感度が低いが、迅速、安価、容易にできるので、頻度を上げて行うことで空白を埋めることができる。

免疫には、生まれた時から存在する自然免疫と、感染によって発達する獲得免疫の2つがある。自然免疫系の食細胞には、マクロファージ、単球、樹状細胞、好中球などがあり、異物を細胞内に取り込んで分解あるいは殺菌する。また、サイトカインを作ることによってリンパ球による獲得免疫の働きを増強する。自然免疫が働かないとワクチンの獲得免疫も動かないため、免疫増強物質のアジュバントが入れられている。

獲得免疫の主役で、白血球の1つであるリンパ球にはT細胞とB細胞があり、T細胞にはヘルパーT細胞とキラーT細胞がある。ヘルパーT細胞はウイルスを感知すると指令を出して、B細胞に抗体を作らせて血液や体液中のウイルスを殺し、キラーT細胞を活性化させてウイルスに感染した細胞を殺す。

T細胞の機能は、各個人が持つヒト白血球抗原(HLA)の型によって変わり、1万種類以上ある。抗原提示細胞の代表である樹状細胞は、細胞内に取り込んだ抗原の一部を細胞膜の上に提示して、T細胞がそれを認識する。ワクチンに対しても、結合できるHLAを持たない人は抗体を作ることができないが、別のワクチンでは抗体を作ることができる場合もある。

BCGや結核菌の菌体成分は自然免疫を強く刺激する。BCGが広範に接種された日本などの東アジアでは新型コロナによる死者数が少ないが、南米では死者数が多く、死者数が少ないオーストラリアやニュージーランドでは広範なBCG接種が行われていない。新型コロナの持つ特定のアミノ酸配列に反応するT細胞は、鼻風邪コロナウイルス由来の抗原で活性化するとの研究結果もある。

抗体には、ウイルス感染を抑える中和抗体、ウイルスを殺せない役なし抗体、感染を促進させる悪玉抗体がある。不活化ワクチンでは、どの抗体もできる可能性がある。

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2022年02月08日

Posted by ブクログ

コロナウイルスについての報道は抽象的な表現が多く、もやっとしていたので勉強の為に読んだ。

自分の場合は大学時代に生化学を学んでいたり慢性炎症の辺りが研究分野だったので基礎知識を思い出しながら読んだ。簡潔で分かりやすく的確に書かれているので、基礎知識のある人にとってはさくさく読めると思う。

一方で文系だったり基礎知識のない人にとってどの位分かりやすいのかはちょっと分からなかった。

コロナウイルスによる重症化事例がなぜ多臓器不全などなのか、各感染者検査の内容、コロナウイルスが何故パンデミックを起こす特徴を持っているのかがよく理解できた。

やや免疫の基礎知識を持っている分、報道の伝え方から異なる推測の仕方をしてしまっていた所もあったので、正しく理解する事は重要だと思った。

2020年時点での内容なので、最新の情報については書かれていないがコロナウイルスについて正しく警戒する為には読んでおいて良い1冊だった。

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2022年01月29日

Posted by ブクログ

ウイルスとは一体何でどのように増殖するのか、そしてそれを排除する人免疫システムとはどのようなものなのか?ワクチンとはどのようなものなのでどんな種類があるのか?新型コロナウイルスについては何が不明でどのようなことが分かってきたのか?最新の免疫学に基づいてかなり詳しく解説してくれています。また、「6割が感染しないと集団免疫が達成されない」といったような専門家も含めた新型コロナウイルスに関する種々の発言・意見や、巷間に流布する噂や謎について解説してくれます。最新生物学に疎い一般読者にとってはやや専門的すぎる説明がありますが、そこは読み飛ばししても良いと思う。昨年10月に脱稿されたものだから、日本では年末年始の大きな第3波もやってきたしワクチンも世界的に既に接種が行われ状況は変わっているが、本書がその辺をどう予測していたか、現在の状況が実はどんな状態なのかを理解するにも役立ちそう。
本書を読んだからといって新型コロナウイルスにどう向かい合うかがハッキリするものではないのかもしれないが、ここに説明されていることぐらいはある程度は理解して判断したい。
本書を読んで自分なりにまとめると、新型コロナウイルスの問題は潜伏期間が長い上に重症化して長期入院治療が必用な人が多くなることにありそうです。だから、重症化に至らないような治療法が確立されて医療機関への長期入院者が増えないようになり、有効なワクチンで感染の拡がりも抑えられ、一般の医療機関で処方できる有効な薬ができれば、ようやくインフルエンザ並の扱いになり社会が正常化する、ということでしょうか。

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2021年02月24日

Posted by ブクログ

体系的に書かれたものを一回読むとあちこちで出てきていた情報が収まりどころができるのが感じられてよかった。一年でこれだけわかるのね。

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2021年02月04日

Posted by ブクログ

ウイルス、ウイルスに対する人間の体の反応、ワクチン、抗体など、日常の報道では曖昧な憶測や情報が飛び交っているので、事実を把握したいと思い本著を手に取った。

敵を正しく知り、無闇に恐れるのではなく、正しく付き合うことが大切だと学んだ。一方で、進みつつあるワクチン開発は朗報ではあるが、その安全性が本当に照明されたわけではないことから、接種する場合は一定リスクは承知の上で接種する必要があると感じた。

重篤化の可能性がある高齢者ならともかく、30代40代は重症化も少ないため、ワクチンの安全性が明確に示されるまで、積極的な接種は避けたいと思う。

同時に、ワクチン開発や抗体の開発に励んでいる人間の力強さに頼もしさを感じた。私個人はちっぽけでただ不安に感じること以外何も出来ないけど、医療従事者や開発者など、人間ってホントすごいんだなという衝撃を本著を通じてあらためて感じた。武力に力を注ぐのではなく、コロナを通じて世界が手を取り合って人間の本当の意味での力強さを示してほしいと感じる。

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2021年01月29日

Posted by ブクログ

新型コロナに対する知識を少しでも付けることは大事だと感じられる本。
マスコミがコロナは怖いから気をつけないといけないとか逆にコロナなんてインフル以下のウイルスだから自粛なんていらない!という両極端の考え方ではいけないと感じた。
ウイルスは人間達が日々行っている環境破壊から未知のウイルスが作られているという考えも腑に落ちた。だから最近言われているSDGsを達成させることもこのようなことにつながる。個々人の環境を守る行動も将来につながる。そういう視点も大事だと感じた。
コロナは人によって出る症状が大きく違う。またインフルのようにわかりやすい症状が出ないからやっかい。などコロナに対する基本的な知識や専門的な内容を素人でもわかりやすく説明してくれる本。
今まで何冊かコロナ関係の本を読んだが、1番腑に落ちる内容でとても勉強になった。
これからコロナに対して、正しく怖がって感染防止に努めていきたいと感じた。

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2021年01月10日

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何かと情報が入り乱れているコロナウイルス。本書はウイルスに関する基本的な知識から免疫のシステム、有効なワクチンの開発まで網羅的に言及している。

ブルーバックス らしく一部専門的な部分もあるが、全体を通して分かりやすいので、「コロナはただの風邪」と言う人も、日々のニュース過敏になってる人も、まずは本書で基本的な知識を身につけてみてはどうだろうか。

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2020年12月30日

Posted by ブクログ

新型コロナに関する報道は本当に多いですが、玉石混交で何が正しいのか、何が間違っているのか、私自身も分からなくなることが多いです。テレビやネットではなく、ちゃんとエビデンスに基づいた情報が欲しいと思い本屋に行っても新型コロナを扱う書籍もまた玉石混交。そんな中、ブルーバックスなら間違いないだろうと思い、11月に発売になったばかりの本書を読んでみました。詳しい内容は、本書をお読み頂きたいのですが、トピックスとして私が「なるほど!」と思えたのは次のような項目でした。
1)PCR検査、抗原検査、抗体検査の違いとそれぞれのメリット、デメリット
2)新型コロナの症状は風邪やインフルエンザとは違うのかどうか
3)なぜ子供は重症化する事例が少ないのか
4)集団免疫に関するマスコミの大きな誤解と、実行再生産数の意味
5)なぜ重症化する人と、軽症で済む人の違いが出るのか
6)ヒトの免疫の仕組みの概略
7)ワクチンの効果が長期間持続するケースとそうでないケースの違い
8)中和抗体、役なし抗体、悪玉抗体の3種類の抗体の違い
9)DNAワクチン、RNAワクチン、不活化ワクチン、弱毒生ワクチンなどワクチンのタイプ別の違い
10)ワクチン開発のプロセスの概略
11)著者がゲームチェンジャーと位置付ける人工抗体とは
著者は免疫学者でいらっしゃるので、免疫のメカニズムの解説は少し難解で、著者自身も「ここは読み飛ばしてもらってもOK」と述べられています。しかし、それ以外の大部分は医学の知識が無くても理解できますし、日々の報道を理解する上でも非常に役立つ情報が満載でした。
本書が発売されて以降も第3波の感染拡大など局面がどんどん変化していますし、新しい知見も次々と発見れています。でも本書出版時点における新型コロナの”正しい”知識を得られるという意味で、非常に充実した1冊だと思います。

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2020年12月22日

Posted by ブクログ

さすがは宮坂先生、内容的には、新型コロナについてこれまで分かっていることと、まだ分かっていないこと、仮説はあるが検証が待たれることの総まとめ。特にご専門の「免疫」機能の働き方については当然ながら解説が非常に詳しい。(一般向け書籍としてギリギリまでの詳しさかと) また、ワクチンについても網羅的に解説されており…要は、「新型コロナとは何か?」について、現時点で分かっていることを良心的に網羅的に解説した本として基本書として持っておいて損はないであろう内容かと。

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2020年12月08日

Posted by ブクログ

新型コロナウイルスの疑問に答えた本。第一章:パンデミックとは?、第二章:ウイルスの増殖の仕組み、第三章:免疫VS.ウイルス、第四章:日本人の感染数の謎、第五章:集団免疫とは?、第六章:免疫暴走、第七章:ワクチンの開発。読み応えがある。いろんなサイトを見て聞きかじっていたことが分かりやすく説明されている。

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2020年11月22日

Posted by ブクログ

新型コロナについて、免疫学の観点から解説するもの。一部専門的で難しい点も含むので、他のものと合わせて理解したい。免疫って複雑ですね…

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2020年12月21日

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