【感想・ネタバレ】歎異抄 救いのことばのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

ネタバレ 購入済み

他宗派の人にも読んで欲しい一冊

2023年10月読了。

長らくの積ん読本から。最近世界を騒がせる紛争地域を眺め、己の信ずる教え(幅広い意味での仏教)について思いを致し、一番「解りにくくて、敬して遠ざけていた」本を読もうと思い立ち、じっくりと読んだ。

かく云う自分は他宗の人間だが、別に出家している訳でも、宗派に拘り信心が取分け篤い人間でも無いので、予てから親鸞と云う人物や『歎異抄』には、少なからず興味があった。
ただ「自家撞着しているかの様な、出口の無い迷路の様な考えの書」と云う勝手なイメージが強くて《迂闊に触れられないぞ》と云う一種の恐さもあったのは、正直に認める。
幸いにして、ここ数年間仏教に関する本を読むことが増えてきていたので、記憶力が落ちない年齢の内に、要点だけでも学んでおこうと、初心者向けの本書を開いた。

読後の感想としては「やはり、独特の仏教観である」としか言えない。しかしこの本の著者が《現代人からの目線》で分かり易く解説してくれているお陰で、親鸞の《教えの真髄》の一端は、薄学な自分にも理解する事が出来たと思う。
内容の詳細については、此処で書き切れる様な量ではとても無いのでこれ以上は省くが、専修念仏の奥深さには、教えられることが非常に多かった。

凡そ原始のブッダとは無縁で、死後数百年後に分裂した教団の一部の人達が考え出した「大乗仏教」の教えで、更にインドから中国を経て様々な考えが混ざり合い、そして更に来日してからも様々な宗派に合流分裂を繰り返してきた《仏教》の中の教え(=宗派)の一つにも関わらず、これ程までに研究され尽くした深い宗教観がどっしりと《在る》事に、一人の日本人として何とも言えない感動を憶えた。
又何百年の時を隔てても「凡愚な人間の悩み」は何も変わる事が無く、だからこそ今を生きる我々にも等しく『阿弥陀仏の誓い』を説いてくれる親鸞と云う人間に対して、自然と手を合わせられる気持ちに成れた。
(日本の)仏教は凡そ《融通無碍》である。あなたの実家が何宗であっても、今を生き、そして悩みを多く抱える現代人に一番欠けている「仏の心」を思い起こさせてくれるこうした本は、より多くの人に読まれるべきだと強く感じた。再読、再々読にも最適だ。

世界へ出て『私は無宗教です』と答え、入管でしょっ引かれる日本の若者が結構居るそうだが、《世界の常識》としてそれは有り得ないと云う事を知る意味でも、本書はお奨めだ。

#癒やされる #深い #タメになる

0
2023年10月19日

「学術・語学」ランキング