【感想・ネタバレ】イスラームから世界を見るのレビュー

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米欧を中心とした世俗主義の先進国がいくら武力に訴えても平和が訪れることは絶対にない。自国の利益ばかりを考えたやり方では、泥沼のような争いが延々と続くだけである。

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2018年11月04日

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頭の中で言語化できなかったもやもやが、学術的な理論からも導かれて説明されていてとてもすっきりした。著者の本はこれで3冊目だが、いつも大変いい内容を書かれていると思う。肝心の欧米人とアラブ人含むムスリムにも英訳などして是非読んでもらい、議論してもらってはどうか。

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2013年12月10日

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アフガニスタンをパシュトゥン・ワリなのでアメリカという侵入者を排除ということから捉えていることは、他の本ではあまりないように思われる。さらにヨーロッパでのイスラムへの反感についてよく書いてある。さらにトルコでの地震の日本人ボランティアの被災についてのトルコ政府の行為をイスラムということから説明しているあとがきは傑出している。最初の部分は説明だけなのであまり面白くないが、後のほうにしたがって現在との関係が明らかになってくるので興味が湧くと思われる。

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2013年02月06日

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ネタバレ

あなたはイスラームをちゃんとわかっていますか?

10年ほど前に出版された本だが自分の知らなかったことが多く勉強になった。イスラームの「法」とはどのようなものか、それぞれの国がどのような歴史を辿ってきたか、「アラブの春」の西洋的な視点のズレなど。特に勉強になったのは西洋の民主主義というのが宗教と政治を分離させる世俗主義であり、宗教的なものを政治や国家に持ち込むのを「遅れている」と見ていること。だから無理にも「進んだ価値観を教えてやろう」とイスラームの考えを無視し、自分たちの価値観で判断して動くから混乱を産んでいる。

アメリカやヨーロッパとイスラームはこの先どうしていけばいいのだろうか。そして日本は。自分たちのやり方や考え方が他より優れていると思っていたら、つい偉そうに教えたくなるし変わる方が幸せだと大きな親切をしたくなるけど、それはよくない。出版から10年経ち、この時点からさらに世界は揺らいでいる。今のイスラエルの動きもこの本から気付くこともあった。まだ考え続けないといけない。

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2024年02月25日

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とてもわかりやすい!

この本を読むと、いかに自分がイスラームについて無知か、そして巷にはびこるイスラームのイメージが、いかにアメリカや西欧諸国によって作られたものかがよくわかる。あまりに無知すぎたので、イスラームの歴史のところなどは、地図と照らし合わせながら読まないとわからないなと思いつつ読み飛ばしてしまったが、この本は発刊が少し古い(2012年)ため、同じ著者の新しく出た本も読んで復習したいと思う。

ものすごく大まかに言うと、西欧諸国にとっての近代化の絶対条件が世俗主義(政教分離)だが、これをイスラーム諸国に押し付けるのは間違いだという内容である。

「アラブの春」(これも西欧諸国の都合で命名されたネーミングの感あり)の後に各国がたどった経緯を見ていくと、民主化運動により独裁者に打ち勝ったあとに選挙で勝利したのは、いずれもイスラーム色の強い政党だった。欧米のメディアでは、民主化運動がイスラム原理主義に打ち勝ったと報道したが、むしろ逆で、西欧諸国に倣って世俗主義に走り、私腹を肥やした独裁者に対し、「正しくイスラームする」動きへと傾いたのだ。アラブの春より10年ほど早く、トルコが民主化のプロセスに入ったのも、イスラーム政党が躍進した成果だという。メディアが喧伝する、「イスラーム主義は民主化の敵」というメッセージが間違いだというのがよくわかる。

その他、イスタンブールのラビ(ユダヤ教の指導者)が、ムスリムと共存することは何の問題もないと語っており、イスラエルなどという国家を作ったのは時期尚早だと断言したというエピソードには驚いた。また、アルメニア問題(オスマントルコ領内のアルメニア人に対する虐殺があったかどうか)について、当のアルメニア正教の指導者は、そんな問題を今さら蒸し返すこと自体が迷惑だと言っているらしい。選挙で自国に住むユダヤ人やアルメニア人の票を得ようと、当事者すら問題としていないようなことを蒸し返したり口を出したり。アメリカや西欧諸国がやっていることは、イスラーム側からすればとても迷惑なんだろうなと感じた。

ロシアの問題についても思うことだが、私たちが触れる情報には、ほぼもれなく西側諸国のフィルターがかかっており、それを外してきちんと相手を見ない限り、まともな対話は難しいんだろうなと感じる。少しずつでも、知っていきたい。

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2022年03月22日

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 「イスラム」とか「タリバン」とか「シーア派」とか、よく聞くけれども分かっていない、もしかすると偏見だけで固められているかもしれないことを、分かりやすく、歴史と宗教を見ながら、今の情勢について解説する本。「パレスチナ問題」とか「クルド問題」とか、中東の時事問題の定番になっている事柄に触れられている。
 読んでいてやっぱり途中でゴチャゴチャしてきて、結局飲み込むところまで行かなかったが、たぶんちゃんと読めば分かりやすい本なのだと思う。ノートとかにまとめながら読み進めたい衝動に駆られた(結局、なかなか出来ないけれど…)。
 断片的だが、以下は気になったところのメモ。「信徒でない私からすると、ムスリムは、少なくとも戦争に向いていません。イスラームという宗教には、商業的な性格が強くて、商売の公正について細かい規定をもっています。」(p.12)というのが、まずイスラム教のイメージらしい。どっちかと言えばユダヤ教の方が商人のイメージがあったので、これは意外だった。「日本ではあまり知られていませんが、地中海の東よりにあるキプロス島は、現在もなお、南北に分断されています。」(p.69)というのは、知らなかった。キプロス島って『オセロ』の舞台だよな、と思いながら、行ってみたいとかのんきに思っていたが、「一九六〇年代から七〇年代前半にかけて、南北間で激しい衝突が起きたため、ついに一九七四年にトルコ軍が介入して、強引に南北を分断しました」(同)というところらしい。平和な地中海の島、っていう勝手なイメージと全然違う場所だった。
 こういった数々の偏見や勝手なイメージに、実はこういうことだ、という解説が色々ある部分が貴重だが、その1つにイランについて、「ひげ面にターバンのイスラーム指導者や黒衣の女性たちからイランのイメージをもつのは間違いのもとです。ターバンの下にも、黒いヴェールの下にも、『私たちはアーリア人の血筋』と言いたげな顔が隠されているからです。」(p.82)ということで、「イラン人には、自分たちを周囲のアラブ民族やトルコ民族よりも優秀な民族だと考える人が少なからず存在します。」(同)というのも、言われないと分からない。
 そしてシリアもイランも、読み終わって数日経った今ではその2つの関係ももう分からなくなってしまったが、「シリア政府も、イランからやってきてイラン革命を称える人たちがやたらと宗教的情熱を燃やすのは困ったことでしたから、大きな団体が来ると、郊外の山の中の施設に閉じ込めてしまい、そこで『アッラーは偉大なり、ホメイニ万歳』とイラン・イスラーム革命のスローガンを好きなだけ叫ばせておいて、一般の市民には見せないようにしていました。」(p.107)というのは、何ともリアルな話だと思った。
 あとは「民族主義」について。帝国主義に代わって、「民族主義」と「社会主義」が流行った、と書かれているが、「しかし、結局のところ、『民族主義』というのは残酷なもので、必ずその国のなかのマイノリティを差別し抑圧する結果をもたらします。社会主義にいたっては、盟主のソ連をみれば明らかなように、権力構造がちっとも民主的にはならず、党幹部が権力を独占して腐敗し自ら崩壊してしまいました。」(p.111)という、こういうことが分かって歴史を見れば、理解しやすくなるかもしれない。そしてそもそもこの民族主義によって国家を作ることと、イスラーム共同体とは全然違う、ということを理解しないといけない。「同じ言語を共有しているからといって、それを単位に国家をつくるという発想は、ずっと後の十九世紀ぐらいになってから確立されるもの」(p.127)という、これも意外なことだった。そして国家に納税、という発想も現在の西洋的な見方であって、喜捨はするけど「ムスリムは徴税されない」(p.132)ということらしい。(これが「中東民主化のうねり」(同)だそうだ。)
 そしてこういう現在の西洋的な見方、という枠組み(「世俗主義のものさし」(p.29))にあまりにとらわれ過ぎているということが問題なのだと分かる。(なんか平行線が交わってしまう「非ユークリッド幾何学」みたい?と思った。)「ムスリムのスカーフは、単純な話で、性的羞恥心の対象となる部位を覆っているだけのことです。」(p.158)ということも含めて。
 他にも、「多くの村にはイスラーム法学に未熟な出来の悪いタリバンが赴いて、生半可な知識で、つまりしばしばイスラーム法から逸脱した刑罰などを実施してしまいます。」(pp.172-3)という問題とか、でそもそもそのタリバンというものも「ソ連軍が侵攻したとき、アメリカはこれに対抗させるために、神の戦士、あるいはジハードの戦士、すなわちムジャッヒディーンを養成して戦わせる戦略を立てました。」(p.169)という、これが「タリバンの原型」だそうだ。
 という、上のメモも極めて断片になってしまったが、世界のことを知るのにイスラムのことを知らないとか分からないという訳にもいかないと思うので、もう少し上の話も自分の中で整理できるように勉強して、自分の無知を補っていきたいと思った。(21/02)

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2021年02月12日

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内藤さんの本も何冊目?
ある程度重複してる箇所もありますが、復習にいいかなw
ムスリムの考え方などを分かりやすく説いてくれて勉強になります。とりあえず、これは読んどいた方が良い本。

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2019年04月12日

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イスラムのことを全く知らないので、マスメディアなどに流れてくる報道を冷静に受け止めることもできない。
世界中には10億を超えるムスリムがいるので、少しでも知りたかった。この書はそんな初心者にも優しく説いてくれた。一冊で分かった気になってはいけないが、「難しくて挫折」、させない書です。

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2017年09月17日

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イスラム教から見た世界とイスラム教に縛られた人々の思考が初心者でも分かり易い本。
著者の本はどれも読み進めやすいのでお奨めです。
しかしながらクルアーンに則ったムスリムの行動を、信教の自由の名の下に一定以上認めるのか、その国の法規を厳密に適用するかで彼らが反社会的か否か、決まってきます。
イスラーム国家ではない法治国家へ自らの意思で移住してきたムスリムの方々の中には、信教の自由による行為が常にその自由が保障されるというものではないことを理解せず世界各地で軋轢を起こす人々がいます。
調和できない理由の一端は本書を読むと理解でき、これはまた本書が優れていることを表していると思います。

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2015年05月07日

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女の身にとってイスラームってどうなんだろう。ヒジャブをかぶり、外出を控え、仕事の場を分けて、運動も男とは別に競技場を作らなければできないことは、この本の側からはどう見えるんだろう。

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2013年10月03日

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イスラームについて、初心者にもわかりやすく書いた本。
テロ事件以降、イスラームがおかれてきた環境についても書かれている。
イスラームとはどういう宗教なのかがわかりやすく描かれていてよかった。

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2013年07月09日

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イスラームというものがどういうものか,日本人はほとんど知らないのではないだろうか.丁寧な説明が非常に分かりやすい.また,近年のテロ等との事件や世界情勢について,イスラームの観点から解説されており,新聞等からは分からない思想を知ることができる.

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2013年06月23日

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すごくわかりやすいイスラム世界の概観説明。
イスラム諸国についてそれぞれの情勢を述べていたり、イスラム教の成り立ちや教えを説明したり、イスラム的な常識についての解説があったりと、かなり網羅的。
ただ、著者のものの見方が かなりイスラーム贔屓なのでそこは注意しておく必要があるかも。

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2013年03月09日

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イスラムはなぜ西洋的価値観と衝突するのか。
この本を読んで、ものごとの受け止め方、解釈が違うのだとあらためて痛感させられた。そしてイスラムとはこうだというわたしたちの思いこみがいかに多いか。とても面白い。おすすめ。

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2012年12月05日

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一般的な日本人であれば、どうしても西欧からの視点で、世界の物事を見てしまうが、この本は、イスラームからの視点で現状の国際状況をみるとどうなるか、非常に分かりやすく、かつ説得力のある内容で解説してくれる本。ナインイレブンのこともあり、どうしてもイスラム教徒を偏見視してしまいがちですが、彼らも我々と同じノーマルな人だということが、よくわかりました。
著者自身、トルコ語を話すということもあり、アフガニスタンのカルザイ大統領含め、イスラム圏の有力者たちの直接インタビューの経験が豊富で、彼らから見たアラブの春、シリア内戦、アフガン問題やトルコ人によるアルメニア人大量虐殺事件、ムスリムのヨーロッパ移民たちの見方なども非常に興味深い内容。
また、近代国家の概念、民族という概念の経緯等、知識人としての基本的素養を身につけていることもあり、イスラームからの主観に陥ることなく、冷静に世界情勢をとらえている所も好感が持てます。

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2012年11月15日

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イスラームやムスリムの考え方が分かりやすく書かれていて勉強になる。イスラームに人種や民族の違いは関係ないこと、イスラームと相容れない国民国家の理念のためにアフガニスタン情勢の収拾がつかないことなど、新たな視点を得られた。「おわりに」は感動的な内容。

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2012年08月25日

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生き方も思想も決断も、そのすべてをアッラーに委ねるムスリム。 イスラーム国家とは、法体制がイスラームに沿っているもの。ムスリムが多数を占める国ではない。 …など、イスラーム思想の概念は把握出来たが、理解にはまだ遠い。 また、多様性を認めた事で長期の繁栄を極めた、オスマン帝国の歴史。これらの学びを深めるきっかけになる一冊。 一方で、西ヨーロッパを中心とした欧米キリスト教圏の野蛮さが、強調されて描かれている処も相対的に感ず。

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2015年04月26日

Posted by ブクログ

チュニジアから端を発した「アラブの春」についてや、現在のシリア情勢・パレスチナ情勢について書かれた新書を探してこの本に辿り着いたのだが、9.11から今に至るまでのアラブについて、ある程度網羅的に知ることができたのは収穫。
ただ、ちょっと俺には難しすぎたかなと。イスラム教の歴史がきめ細かく書かれてる章とか、俺には重すぎた。読者の想定を「ある程度イスラム教について知っている人」を前提に書かれている気がした。入門書という位置付けではないように思う。あと、自分自身が本を出版した直後だったので、編集の視点で「ここ2回同じ事言ってるけど」とか、「この章、結論が曖昧すぎる」とかいう感想をもっちゃうのは職業病でしょうかw

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2013年02月13日

Posted by ブクログ

イスラム側から見たアラブ(イスリーム)の現状を分かりやすく説いた本。アル・カイダとタリバンの関係や、トルコとアルメニヤな確執など、日本のメディアでは報道されなイスラムの諸問題が語られています。
これを読むと改めて西洋世界、特にアメリカやフランスの傲慢さや好戦性について考えさせられます。

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2012年10月25日

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