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ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞。宇宙飛行士を目指す女性科学者・パイロットの姿を描いた歴史改変SF。
ハードSFの難解さはなく、サイエンス部分があまり理解できなくても人間ドラマとして楽しめる本作。
後半に入り、自らの弱点との戦いや宿敵パーカーとの対立が深化し、宇宙飛行士への思いがさらに強まっていく。
様々な困難のなかで、夫婦の絆やパイロット仲間たちとの関係が深まっていく姿は感動的だ。
ロケットの打ち上げや軍用ジェット機発進の描写は迫力があり、これは本物の宇宙飛行士やパイロットの助力があるという。また本作では、計算者をフィーチャーするため、IBM機の性能が低く見積もられているのも面白いところである。
上下巻合わせてもエルマの物語はまだ始まったばかりのエピソード1という感じ。まだまだ読み足りない。続刊「火星へ」が楽しみだ。
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下巻は、女性宇宙飛行士の誕生如何に目的が集約され、地球規模で宇宙に移民する意識が薄らいでいる
他作品と連作になっているとのことなので、主人公エルマの過去を振り返る作品という位置付けとして捉えている
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訳者が書いてるけど歴史改変SFでパンチカードパンク?というジャンルらしい。
ハードSFとかファンタジーとかは全くない。
現実的な問題に向き合いながら宇宙を目指していく話だけど、こんなに要素を詰め込みながらも冗長にもならずまとめ上げてるのは結構凄いなと思いました。
個人的には最後めちゃくちゃかっこいいなってなってそのままこの感想書いてるので高評価です。
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なるほど~。こういうお話だったのですね。
隕石の墜落から始まるので、パニック小説系のお話かと思ったら、歴史改変ものの女性宇宙飛行士誕生物語でした。
この『宇宙へ』は著者の『レディ・アストロノーツ』の前日譚ということで、これからこのシリーズがどんどん発刊されていくのでしょ。
本書の内容としては非常に興味深かったですね。
1950年代、実際のアポロ計画が終了せずに、もし人間を宇宙へ送る必然性があった場合、宇宙開発はどのように進んでいっただろうかということを史実とできるだけ合わせながらリアルに描いています。
黒人差別や女性蔑視が当たり前だった時代。
このような時代にもし女性たちが真剣に宇宙飛行士を目指していったらどうであったか・・・。
非常に興味をそそられる改変歴史SF物語でした。
ぜひ、当時の女性の権利や意識に興味を持っている方は読んでみると面白いと思います。
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隕石落下から4年が経過し、宇宙開発が一気に進展する中、主人公エルマは「レディ・アストロノート」として子供向けの科学番組に出演し、多くの子ども(特に女の子)に宇宙飛行士になるという夢を与えつつ、自身も女性宇宙飛行士を目指す。
上巻で強調されていた地球環境の激変という背景が薄くなり、宇宙進出に焦点が当てられるため、危機感的なものは感じられなくなるのがちょっと残念。
本作を通じて出てくるテーマである性差別・人種差別についてはいろいろと考えさせられる。
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ソ連が1950年代に消滅されている歴史改変の世界でも、人種差別や女性差別は変わっていないという設定。米国主導の宇宙計画が継続して進んだ世界の1950~60年代の黎明期の物語。女性差別がひどい宇宙パイロットの門に切り込んでいく主人公始め女性たちの力強い物語だった。重要な計算業務に女性が果たした役割は変わらないし、そこからの成り上がり物語は楽しいし、科学知識も最低限に抑えられてるし、あっという間に読める。女性差別のひどさが語られるかというと意外にそうでもないから、嫌な思いになることも少ない。
主人公はパニック障害による投薬治療が続いており、その弱さは少し気になったけど、そのあたりは緩やかなゴールが設定されており、ある意味納得できた。発刊時と違い、今は3作とも出ているので次作を待たなくても済むのが今から読むのによいところ。次作の舞台は遂にタイトルどおり宇宙(火星)へ。
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もしも地球に隕石が落ちてきたら?から始まる歴史改変SF!!
解説読んだらほぼ史実をベースに作り上げてるらしい。
驚きすぎて解説2回読んでしまった。
主人公が様々な差別にぶち当たる度に問いかけ、一つずつぶっ壊していくところがとにかく格好良くて爽快!!
ちょいちょい挟まれるロマンス描写は正直要らないと思ってしまってその辺がノイズになったのは惜しかったが、それ以上の面白さが全部詰まっていた。
映画『ドリーム』が好きな人は皆んな好きだと思う!!
皆んな読んで!!!!!
面白かったー!!
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アメリカ主要SF3賞受賞作。1950年代のアメリカが舞台。恐竜を絶滅させたのと似た規模の隕石衝突があり、近い将来居住不可能になる地球から脱出すべく宇宙開発を進めなくてはならないという歴史のifを考えるSF。主要なテーマは宇宙開発そのものよりも、女性差別や人種差別、そして宇宙飛行士を目指す女性主人公がパニック障害の性質も持っているという形で、差別や多様性が軸となっており非常に現代的。「地球の限界」を社会や私たちが一律に一丸となっては受け止めないのではという点は現代への風刺とも取れるし、緊迫した場面の描写もうまく、コンピュータの発展前なので計算者などの改変歴史ならではの職業による味付けが程良いことや、差別という理不尽に向き合う精神的なハードさを主人公とパートナーの関係性や会話が中和してくれるので楽しく読み進められる。エンタメとして3賞受賞も納得の仕上がり。続編『火星へ』も楽しみ。
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巨大隕石が落下したことによって温暖化が起こり、地球は人類が住めない星になる。
そうなる前に人類は宇宙に移住先を探し、コロニーの建設をしなければいけない。
という背景は、この下巻では随分薄まっていて、ひたすら主人公のエルマが宇宙飛行士を目指す話に終始してしまった。
それというのも、解説によればこれは、エルマを主人公にしたシリーズ物というか、年代記なのだ。
翻訳された作品が少ないのが難だけど、既にエルマが火星に行った作品もあるらしい。
その中でこの作品は、宇宙飛行士を目指す女性として、能力を訓練しつつ、世間の偏見と闘うところに特化したものとなっている。
まず、女性には閉じられていた宇宙飛行士という狭き門。
どんなに飛行機のパイロットとして経験を積んでいても、飛行機とロケットは別物としてその経験は考慮されない。(だとしたら逆に、男性宇宙飛行士は何を考慮されて選ばれたのだろう?Y染色体一択?)
宇宙飛行士の訓練生に選ばれたときも、ロケット開発の広告塔としての役割しか与えられず、訓練はおざなり、でもスタイリストは付く、という状況。
この段階で、黒人やアジア系の女性は軒並み落とされる。
その反面基準に満たなくてもコネがあれば合格できる。(ただし白人)
外的要因と闘うのは当たり前として、エルマには幼いころの経験により、人前に立つというような極度の緊張を強いられると、呼吸困難や嘔吐などの症状が出るという問題を抱えている。
「病気ではないので、病院にかかる必要はない」と頑なに本人が拒むので、とりあえず精神安定剤を服用しながら症状を抑えているが…。
1950年代という時代はそうだったのだろうとはわかるけど、そのような状態で宇宙飛行士を目指すのは余りに危険。
些細な違和が大きな事故を起こす可能性の大きな宇宙飛行で、いくら宇宙飛行士になりたいからって、ちょっと世間に対してフェアじゃないと思う。
エルマはユダヤ人で、その設定の意味が最後にわかる。
ユダヤ人蔑視の発言を受けるエルマ。
差別はここにもあったのだ。
エルマが亡き母に言われ続けた「他人にどう見えるかを考えて行動しなさい」という言葉も、もしかしたらユダヤ的なバックボーンがあるのかもしれない。日本人的でもあるけれど。
母親はもちろんエルマのためを思って言った言葉だけれど、呪いの言葉のようにエルマの言動を封じ込めているのが見ていて辛い。
才能ある女性なのに目立たないように息を殺して生きてきたエルマが、どうしても叶えたかった夢――宇宙飛行士になること。
1950年当時、電子計算機がまだデカいだけのポンコツだったころ、宇宙飛行に関する計算をやってのけたのは「計算機(コンピュータ」と呼ばれた女性たちだった。
この辺は映画『ドリーム』に詳しい。
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エルマは、国際航空宇宙機構(IAC)所属の計算者としてこのプロジェクトに参画している。まだ、組織は男性優位で、宇宙パイロットは男性だけしか認めていないが、その中で奮闘して、女性の宇宙パイロットを誕生させることを認めさせる。現実に、NASAでは、女性の数学者を計算者として軌道計算などの当時のコンピュータではできない計算に当たらせてきた。
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大変面白く読みました。
まぁでもちょっとダンナが理想のダンナすぎるかなぁ…と思ったりもしました。彼だけは欠点なしのパーフェクト夫みたいな感じで違和感。まぁアレで家庭もギスギスしてたら成功するものも成功しないとは思うけど。
いつの時代も先駆者は大変だなぁと読んでいて感じました。面白かった。NASAの計算をしていた女性のノンフィクも読んでみたいなと思いましたよ。
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「えっっ、ここで終わるの?!」
……と、誰もが思ったことと思う(笑)
主人公が宇宙を目指し、幾多の難関を乗り越えて、いま、まさに打ち上げられたその発射シーンで終わるのだから。
この続きは続刊を買ってねと言うことなのかな。
女性が地位向上を目指して奮闘する物語は、小説でも映画でも、なぜか小気味いい。架空の1950年代のロケット開発史を描いた本書も、ある意味で痛快なストーリーと言える。
しかしその一方で、「隕石を落として地球を住めなくする必要があったのか?」と、ずっと思う。まあ、難しいことを考えずに、女主人公の活躍を楽しめばいいのだと思うが。
あと、これ絶対に正史との対比年表があった方がいい!
巻末の解説にでも載せてくれればいいのに。
Posted by ブクログ
思ってたのとは全然違う話。これだと隕石なんかぶつからなくてただ宇宙飛行士を目指すだけにしたって十分成り立つストーリー。せっかくの舞台装置を活かしきれていないと感じる。つまらなくはない。
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歴史改変SFで面白かったのだが、何度も出てくるおせっせシーンはマジで要らないと思った。別にページ数割いて書かれているわけじゃないけど、こういう話で読みたいわけじゃなぁって。ロケット発射とか気分的に萎えるわ。
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かなり現実路線的な上巻を読み終わり、「下巻はもっとぶっ飛んでほしいなぁ。火星への植民とか描かれるのかなぁ」と期待するも、下巻の方がもっと現実的。
女性が、有色人種が宇宙飛行士になれるか否か、が、メインテーマになっていく。これって、でかい隕石がぶつかったことと相関薄くないか。。
小説としてはそこそこ面白かったものの、「SF文学賞総なめ」ということへの(私の勝手な)期待値と比すと、拍子抜けな部分は否めない。