【感想・ネタバレ】つかこうへい正伝-1968-1982-(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

久々に読み応えの有る作品だった。
最後まで読み飽きる事無く楽しめた
遥か昔に何となく触れたつかこうへいに改めて夢中になった読書時間だった。
感謝‼️

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2022年08月29日

Posted by ブクログ

ものすごく 素直に ストレートに
著者の思いが 伝わってくる。
素晴らしい ノンフィクション
つかこうへい を 題材にした
著者の 青春記

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2020年07月15日

Posted by ブクログ

いやぁ〜読み応えあった。800頁超の大部。

虚実入り混じる伝説に彩られた演劇人つかこうへい。その『正体』を暴くとすれば、つかこうへいと同時代を過ごした者たちが〈長谷川康夫〉置いてないと口を揃えて言われる著書が4年の歳月を費やし『つかこうへいが最もつかこうへいらしく、確かにつかこうへいだった時代のつかこうへい』を語り切った渾身の一冊。

著者は自身が19歳の浪人生時代につかこうへいと偶然出会う。友人に喫茶店でつかこうへいを紹介され少し話した後、パチンコの戦利品のタバコを強引に奪われてしまうという衝撃的な出会いに見舞われる。

晴れて早稲田に入学。つかこうへいは24歳。当時本人は慶応ながら早大の「暫(しばらく)」という劇団で演出を行なっており、もちろん、まだまだ世間的には全くの無名。著者はその舞台を何の因果か観てしまい、『なんだ、これは⁈』と腰抜かすほどの衝撃を受ける。『どうやって、こんなものが出来上がっていくのか、その現場に関わってみたい!』って強い思いに突き動かされ、以降深く関わっていくようになる。

僕がつかこうへいを知ったのは70年代後半。当時、角川文庫から『小説熱海殺人事件』『初級革命講座飛龍伝』『いつも心に太陽を』など、大ヒットした戯曲の多くがノベライゼーションされており、それに加えて痛快かつ毒気満載のエッセイもあり隈なく読んでいた。ちなみに角川の担当者が後年幻冬舎を立ち上げる見城徹。

何と言ってもエッセイの売りは『毒気』。折しも、80年代初頭にわかに起こった空前の漫才ブームを牽引したツービートの『毒ガス漫才』と共通していた。例えば、ブスの悪口を延々言いながら客席を指差し『笑えるか、そこのお前だ!お前しかいないだろう!』なんていうネタは、既につか芝居にあった。

熱海殺人事件の台詞に『ブスをブスだって言って、何が悪いんだよ。ブスをブスだとちゃんと言いきる、潔さがなかったから、大東亜戦争が始まったんだぞ!』なんかは最たるもので、大竹まことのシティボーイズやコント赤信号のコントはつかこうへいの完コピと言っても過言でないほど、その影響たるや演劇界を飛び越え、お笑いの界にエピゴーネンが多出した。

そうそう、つかこうへい芝居の最大の特徴は『口立て』。つかこうへいがひらめいた台詞を稽古場で猛烈なスピードで役者に伝える。役者は必死に覚え演じる。著者はその台詞を書き留め、つかこうへいに提示。その原稿に大量の赤字を入れ、本番までブラッシュアップを繰り返す。

つかこうへいは語る。『オレは地の文(原稿用紙に戯曲を書く)を書けないからなぁ』。実際は書けるのだが、沸き上がるイメージに文章を書く作業が追いついていかないもどかしさから、口立ての手法を採用。若き日の平田満・三浦洋一・加藤健一・風間杜夫・石丸健二郎らが、まさしくしょんべんをちびりそうになるぐらいドヤされ罵倒される、その緊迫の稽古場風景も活写されている。

また著者は劇団つかこうへいの役者としてだけでなくつかこうへいのゴーストライターとしても暗躍。本書で知り驚いたのは、虚実混載の抱腹絶倒エッセイの『つかへい腹黒日記』の大半は著者がほとんど書いていたとか…。

とは言え、著者はつかこうへいの才能を惚れ込みながらも無条件な崇拝者ではなかった。出会いから終始変わらぬ『めっちゃ面倒くさいが愛すべきつかさん』の印象を抱きつつ、一貫して絶妙の距離感を保ち、つかこうへいを眺めていた。

そう、その眼差しが牽引し本書を書かせたと見る。20代半ばのあんちゃんがあれよあれよと時代の寵児へと駆け上っていく高揚感と生々しい臨場感。時代の空気をすくい取りながら、つかこうへいの正体を浮き彫りにするのは徹底取材だけでは決してなし得ない。

追悼の辞の中に、『つかこうへいの名には「いつか公平」という思いが込められている』とあった。著者はそんなバカなと一蹴。

つかこうへいに深く関わった人に遺る記憶を記録化した本書であり、つかこうへいを愛した人たちの思いが繚乱に咲き誇った快作。

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2020年11月14日

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