【感想・ネタバレ】琥珀の夢 小説 鳥居信治郎 下のレビュー

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Posted by ブクログ

「やってみなはれ」を自ら体現し突き進んだサントリー創業者鳥井信治郎の話。
実際隣で見たらかなり無茶苦茶なんだろうなと思うほど、行動力と胆力があり、それが故に読んでいて波瀾万丈あり引き込まれた。
作品の随所に生まれ持った才能の描写も出てくるが、ここまでの成功を収めた理由はとにかく挑戦し続けたその姿勢なんだろうなと。それが代々受け継がれているのも鳥井信治郎の凄さを物語っている。

もっと頑張ろうと、後押しされる作品でした。

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2024年03月06日

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新商品開発、宣伝、ノベルティ、社会貢献。企業として今では当然なことを明治に始めた先駆のお話。後半の山場はやはり戦渦での企業経営だ。評伝小説はいいところばかり描いているのだろうと思いつつも、主人公をはじめとする登場人物たちに感情移入してしまって、読者の私も彼らと一緒に悲しみ、喜び、奮起し、不安にもなってしまう。優れた人材の周りには優れた人が集まるものだ。目先の利益にとびつくことなく、大きな目標を持ち、信念がぶれない。「やってみなはれ」で有名な人が元々は”いらち”だったとは。彼の信仰も成功の重要な要素だ。

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2024年02月13日

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文句なしの星5つ。ものすごい情熱で20世紀前半を駆け抜けた鳥井信治郎。まさに風神のような活躍。赤玉ポートワインから竹鶴政孝の協力も得てできた山崎の国産ウィスキー。そして、次男と叶えたビールへの夢。妻君や長男との別れはこっちも涙が出てしまうほどの描写。それでも、ものすごい情熱で人を世の中を動かして行った商いの英雄。停滞、衰退のいま、こういう立派な日本人がいたことを日本人は思い出すべきなんだろうなぁ。これからはサントリー飲みます! エトヴァス ノイエス!!

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2023年10月31日

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鳥井信治郎が初めて起こした自身の店は<鳥井商店>で、事業が拡大して出資者も現れるような中で新たな店名を考えて<壽屋洋酒店>とし、戦後にウィスキーの商標にも使っていた<サントリー>という会社名にしたというのが経過である。一代で大きな企業を創り出した鳥井信治郎御本人を知る人達も非常に多い筈で、色々な挿話が伝わっていることと思われる。本作のような「一代記」という物語も、そうした伝わっている挿話、本当に在った出来事に大きく依拠しているのは間違いない。しかし…自身の夢を実現しようと奔走する「本作の鳥井信治郎」は、正に「小説の主人公」だ。「そこで、そういう具合にしてしまう?やってしまった??」というのが連発して痛快である。
旺盛な好奇心で知識や技芸の習得も早いような少年が、父や母、初めて奉公した店の主人の薫陶を受けた伝統的な価値観を大切にしながらも、「思い込んだら只管に!」と熱く物事に挑み、豪胆に事業を切り拓き、様々な危機も乗り切って行く男となって行く…そんな物語はとにかく面白い!
「そこで、そういう具合にしてしまう?やってしまった??」という青年事業家として奮闘している辺りの挿話は是非とも本作を紐解いて御愉しみ頂きたいが…作中で出て来る「鳥井信治郎」の様子で、敢えて取り上げてみたい事柄が在る。
鳥井信治郎をモデルにしたという劇中人物が登場したテレビドラマでも、劇中で「やってみなはれ!」を連呼していたようだが…本作の中でもそうなっている。自身で夢中になって事案に向き合う他方で、周りを鼓舞し続ける、そうやって先頭に立つという姿勢が、何やら酷く惹かれる。
そして作中に「母の教え」という“陰徳”という考え方が出て来て、作中の鳥井信治郎は、そういう考え方を説いた母に手を引かれて歩く小さな子どもであった頃から、少し知られた大きな会社の経営者という大きな社会的立場を有する人物になるまで、その“陰徳”というモノを重んじる姿勢は変わらない。“陰徳”というのは、困窮して物乞いをしているような人に小銭を与えるような施しであろうと、苦学生に奨学金を支給するようなことであろうと、「密かに黙って他者のために喜捨する徳」が大切であって、「敢えて礼を受けるまでもない」とする考え方だ。更にこういう考え方の派生したモノのように思うが、災害や戦禍で困っている懇意にしている人達や近在の人達を支援しようというような場面で「恩着せがましいこと」は断じて口にしないのだ。こういうような潔さに酷く惹かれた…
作中には、少しばかり歩き廻ってみたことも在る大阪の「往時の様子」が描かれていて些か面白いという一面まで在る。そして妻に先立たれ、後継者として恃みにしていた長男に先立たれるという不運、不幸にも見舞われるのだが、身近な家族と情の「深い部分」で強く結び付いているというような感じなのも好かった。
何れにしても、本作は「大きく社会や暮らしが変容し、様々な出来事が人々に色々な影響を与え続けていた」という時代を生き、懸命に成功を掴み取り、後継者達に更なる夢を託したという男に会わせてくれる作品だ。「何処となく漂って、拭い悪い“閉塞感”のようなモノ?」が感じられないでもない“今”だからこそ、「やってみなはれ!」を連呼して周囲の先頭に立って事案を強力に進めようとする主人公に出会えるというのは快いのだと思う…

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2020年09月21日

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わりと向こう見ずで猪突猛進タイプで、借金の肩代わりに優秀な片腕やら広告担当やら会計係やらが揃ってるなと。
これこそ「神さん」の力であり人柄からついてくるモノなのだろうか。時代もあるだろうが、誰かを味方につける人は強い。

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2024年03月12日

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底力とは何なのだろうか。胆力というものか、頑固さや粘り強さも必要か。ここまでやればというゴールを置かずに、どこまでも探究し続ける心の強さを感じた。
読者としては、終わりにもう一つ強い山場があってもよかったのでは、と思った。

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2020年09月20日

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鳥井信治郎のただならぬ商人(あきんど)精神を感じました!
芸者さんやカフェ(今で言うキャバクラ)に自社製品の良さを伝えるため足繁く通い営業。
新聞に広告を載せてアピール(恐らく本書を読む限り新聞広告はサントリーが初)
関東大震災が起ころうが戦争が起ころうが、身内に不幸があろうが、常に攻めの姿勢で商いを続けます。
それと同時に新商品の開発も進め、無謀だと言われようがジャパニーズウイスキー作りに奔走します。
また、彼は従業員に自分を社長ではなく大将と呼べと言っている所が印象的でした。
従業員は皆家族であると言う考えは現在のサントリーにおいて、福利厚生の充実と離職率が極めて低いことに繋がっているそうです

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2020年09月02日

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サントリー創業者 鳥井信治郎の小説後編です。

小西商会から独立を遂げた信治郎が、国産ウイスキーを目指し奮闘する様子を中心に描かれています。上巻では人に騙されて被害を被る場面もありましたが、下巻では周りの人(特に家族)に支えられる描写が多かったです。信念と周りの支えがあってこそ大事業を成し遂げることが出来たと感じました。

一方、関東大震災(1923年)、盧溝橋事件(1937年)から太平洋戦争そして終戦と目まぐるしく変わる時代の中での困難等の描写はなく、密度が薄くそこに物足りなさを感じました。

44歳にして山崎の蒸留所開設を決意し、世界一のウイスキーまでの道を築いたチャレンジ精神に最も感銘を受けました。

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2020年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

サントリーの創業一家の物語。創業当初の話は具体的で読みがいがあったが、戦後の復興の様子が駆け足になってしまって、内容が薄かったのが残念。

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2020年08月05日

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