【感想・ネタバレ】「カルト」はすぐ隣に  オウムに引き寄せられた若者たちのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

オウムに入信し、凶悪事件を起こしてしまう人達はなぜそうなってしまったのか。そもそもオウムがどうしてこんなに力を持つことになったのか。時代の背景から、どんな人でもそうなってしまう可能性があることなど、とても、分かりやすく詳しく書かれていた。宗教に全く関心がない私だが、もしかしたらなにかをきっかけにカルトに関わってしまう事もあるのかと怖くなった。裁判でみんなが口を揃えて言っていた「疑問や違和感を持った時に、自分を信じればよかった。それを見逃し続けることで、自分では何も考えないで言われたことを行うようになっていた。」マインドコントロールは恐ろしいことだが、実は今でも会社や学校や部活や仲間うち、そんなコミュニティでも同じようなことがどこかで起こっていると思うと、カルトと紙一重なのだ。

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2023年12月03日

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一言で表すのは難しい。カルトの怖さ、自分には関係ないと思っても時代の背景や自分自身の心の弱さから判断ができずにのめり込んでしまう可能性がある。
なぜ頭のいい人がオウムにハマるのか知りたくて購入したが時代の背景や自分自身の生きていく意味や人生に悩んでその回答として宗教にハマる、というのが分かった。
た小説と違い現実世界で起きてしまった出来事で読んでいて恐ろしさも感じた。
オウムではなくボランティアなどに出会えばそちらにのめり込んでいた可能性もあると書いてあり、出会いも関係するのだなとも腑に落ちた。

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2023年11月26日

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壮絶な話だった。
カルトは怖い。
そして、「自分は大丈夫」という考えは危険。

本の中で何度も出てくるのが、
「自分の感性を大事に」
ということ。

論理的に判断することや、他者からのアドバイスを聞くことなども大切だけど、自分の直感を大事にすることが1番の自衛になるのだと思った。

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2022年09月10日

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面白くて一気に読み進めた一冊。
どんな人がカルトに取り込まれてしまうのだろうかと疑問に感じていたが、これを読んで誰でもカルトに取り込まれる可能性があるのだなと、元幹部の生い立ちを読んで思った。最初から新興宗教に対して懐疑的な目を向けていたり、立派な社会経験を積んだ人でさえも、一歩間違ったらカルトに取り込まれてしまう、それこそ事故と変わらないもので、だからこそとにかく近づかない、おかしいと思ったらすぐ逃げるなど、関わらないことが一番の安全策であり、これ以上の対処法はないのだろうなとも思った。

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2022年07月20日

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善良な若者がカルトに囚われる様子がホラー小説ばりに恐ろしい
オウムをたまに放送される特番くらいでしか知らない私と同世代の若者たちにぜひ読んで欲しい
特に5章の引き寄せられる前には必読だと思う

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2022年07月13日

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自分と誰もの中にもオウムはあると思わされる。

私はカルト二世なのだが教祖の性格や反対者への圧力のかけかたがそっくりでわろた。

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2022年04月05日

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ネタバレ

「カルト」はすぐ隣に 
オウムに引き寄せられた若者たち

江川紹子氏による作品。
2019年6月20日第1刷発行。

江川紹子・・1958年8月4日東京都生まれ。
千葉県立船橋高等学校を経て、早稲田大学政治経済学部卒。
神奈川新聞社の社会部記者を経て、フリージャーナリストになる。
新宗教、災害、冤罪のほか、若者に悩みや生き方の問題に取り組む。
1995年一連のオウム真理教報道で菊池寛賞を受賞。

本書は岩波ジュニア新書ということで小学校高学年、中学生、高校生向けに分かりやすく書かれている。
もちろん当時を振り返るのに本書は有効なので、社会人にもおすすめだ。
1995年はターニングポイントと言える。
オウム真理教事件の前後で日本社会は明らかに変わった。
新宗教も含めた宗教団体の力は衰え続ける一方になった。
葬儀も簡素なものに変わりつつある。
直葬というものまで世の中で浸透してきた。
そのように大きく変化したきっかけは突き詰めるとオウム事件ではないだろうか。
この事件の事を深く知る事は重要だ。
(宗教団体の力が衰えたとは言っても、カルト的なモノが無くなったわけではない。日本会議のような政治団体のカルト性が近年際だつ)
オウム真理教で死刑になった最高幹部達も詳細をよくよく知れば哀れとしか言いようがない。
彼らもまた犠牲者なのだと思う。
どれだけ多くの人の人生を狂わせたのか。

著者の江川紹子氏も当時オウム真理教に暗殺されかけた(宮崎県)
小林よしのり氏もオウムを批判した為に暗殺団を送り込まれた。

別にカルトや宗教だけに限らないだろうけれども、
ファンと言える著者やオピニオンリーダー、発信する内容をチェックするインフルエンサーなど誰もがいることと思う。
その際には複数の、少なくともセカンドオピニオンを持つべきであろう。
特定のコンサルに盲信するような態度は誤りであると考えるべきだ。
人間は弱い存在なので放っておくと自分にとって都合の良い「見たい現実」ばかり見てしまうものだ。
定期的に自分と異なる立場の論者の発信する内容を全て肯定しなくて良いけれども、読む、見る習慣はつけた方が良い。

印象に残った点を紹介していきたい。

死刑囚が受けるべき刑罰は、死刑の執行のみなので、
逃げ出したりしないよう身柄拘束はされていても、禁固刑や懲役刑を受けた受刑囚とは違って刑務所には行きません。
拘置所は主に、裁判が確定する前の人たちが収容される場所ですが、
死刑囚は刑が確定した後も拘置所に留まり、そこで執行されます。
死刑執行ができる拘置所は、全国に七ヵ所あります。

麻原の生い立ち

制服も、他の生徒のお下がりを着ていました。
週末も、自宅に帰ることなく寮に残り、両親が学校を訪ねてくることはありませんでした。
そうした家庭事情の反動か、彼は子供の頃から金に対する執着が強かったようです。
「金持ちにならにゃあ」が口癖。
就学奨励費などは使わずにせっせと貯め、同級生に金品をせびることがしばしばありました。
そうして卒業時には300万円もの貯金をしていたといいます。

ワンマンな親分肌で、人の上に立ちたい欲求も強かったようです。
小学部5年の時に、児童会の会長に立候補しました。
寮でおやつに出るお菓子を、同級生や下級生に献上させて貯めておき、自分に投票するように言って配る、買収工作まがいのことまでやりましたが、落選しました。
彼は激しく落胆し、先生が妨害したせいだ、と言って責めたのです。
中学部の時にも生徒会長に立候補しました。
この時は、泣いてみんなに訴えたのですが、やはり駄目でした。
この時も、智津夫は落選にひどくがっかりしていたそうです。
怖いので面と向かって逆らわないけれど、投票の秘密が守られる選挙では、彼には入れたくないというのが、同級生や下級生たちの本音でした。

けれども一般信者は、自分が何を作っているのか知らされていませんでした。
何か危ないものだと感じたり、部品の形状から「銃かもしれない」と察したりした人はいましたが、なぜそんな物を作るのか、深く考えてはいませんでした。
上からの指示は、すべて修行と心得て、疑問を抱いたりあれこれ詮索したりせずに、黙って従うことが教団の中では当たり前になっていたからです。
教団側も、秘密保持のために、違法行為については一般信者に詳細を教えませんでした。

いったい、これからの日本はどうなるのだろう。
そんな不安が人々に芽生えてきたこの時期、爆発的にヒットした本が2つありました。
1973年3月に出版された小松左京のSF小説「日本沈没」(光文社)と同年11月に出版された五島勉の「ノストラダムスの大予言」(祥伝社)です。

「ノストラダムスの大予言」は1974年のベストセラー第2位となりました。
ちなみに、1位はアメリカの小説「かもめのジョナサン」(リチャード・バック、新潮社)
でした。他のかもめのように、単に餌をとるために飛ぶのではなく、より速くより高く飛ぶことを極めようとするかもめの物語です。
ただ漫然と生きるのではなく、よりよく生きたいと願い、生きる意味や自分らしい生き方を探している若者たちは、この本に共感しました。
後にオウム真理教に入信し、教団ナンバー2となる村井秀夫もその一人です。
彼は、オウムに入ることを親に反対された時に、この本を渡し、「読んでください。僕の気持ちはこの本の中にあるから」と言ったそうです。

オカルト情報は口コミでも広まりました。全国各地の学校では「こっくりさん」占いが一種の降霊術としてブームとなり、失神したり心を病む子供も出ました。
そんな中、書籍「ノストラダムスの大予言」は、その後も売れ続け、累計で250万部にもなりました。
続編も次々に出され、いずれも数十万部から
100万部の売り上げがありました。このシリーズは、20世紀末の日本人、とりわけ子供や若者たちの意識に少なからぬ影響を与えました。

人は誰かのために役に立ちたい、という気持ちが大なり小なりあります。
信者たちは、自らが「解脱悟り」を得るだけでなく、多くの人々を救う為の教祖の「救済計画」を手伝うことになると信じて、修行や活動に打ち込みました。
「救済」は自分の生きがいを求め、生き方に迷う若者たちを教団に吸い寄せる力にもなったのです。

最も重要なことは、自分のアタマで考えることだと思います。
もし皆さんがそれと知らずにカルト関連の人にかかわったとしても、彼らの発する言葉に注意深く耳を傾けていれば、必ず違和感を覚える点があるはずです。
その感覚を大切にして欲しいのです。
そして、その違和感がなんなのか、その正体をご自身で考えてみて欲しいのです。

宗教団体なのだから、学歴を偏重しがちな世俗とは違うはず、と思いきや、オウムの中も、かなりの学歴社会でした。
麻原に重用され、教団幹部となった
人たちの中には、有名大学出身者が何人もいます。
信者たちが出身大学ごとに「◯◯大、歌います!」と宣言して、オウムの歌を歌ったりもしました。
特に東大出身者は一目置かれ「オウム真理教東大生グループ」の名前で、本も出しています。
これは、東大進学を夢見ながら果たせなかった麻原のコンプレックスの裏返しでもあるのかもしれません。

「最終解脱者」であり、戒律を超えた存在と自らを位置づけていた麻原は、高い世界に導く儀式と称してしばしば若い女性の性をむさぼっていました。
麻原は妻との間に二男四女をもうけましたが、気に入った女性信者を側室にし、少なくとも3人の女性との間で合計6人の子供が生まれています。


女性信者は、人の命を奪うような凶悪犯罪にかかわることは稀でしたが、その代わりに性や若さや容姿を教祖や教団に奉仕させられていたのでした。

広瀬(健一)は、逮捕後に拘置所の中で生理学や心理学などいろいろな分野の本をたくさん読み、当時の「(神秘)体験」は「人が葛藤状態にある時に、
脳内神経伝達物質が活性過剰な状態で起こる幻覚的現象」と理解するようになりました。

実は、ヨガや伝統仏教の修行者でも、この種の超常体験をしている人はたくさんいます。
伝統仏教では、そうした「体験」は修行の妨げになる幻想や幻覚として、惑わされないように戒められます。
ところがオウムでは「神秘体験」として肯定的にとらえるばかりでなく、教義の正しさや教祖のエネルギーの力を証明するものだと教えていました。

「体験」をきっかけにオウムにのめり込む人は、自ら体感しているので、親や教師など周りの大人たちがいくら意見をしても、教団の言うことが真実であるように思ってしまいます。
教団は、信者を獲得し、心を呪縛するのに、「体験」の効果を最大限に利用しました。


(出家信者は)食事は一日一回。教祖一家は焼き肉や寿司、メロンなどを自由に食べていましたし、一部幹部はファミリーレストランにも出入りしていましたが、広瀬を含めて多くの信者は教団から支給される
「オウム食」と呼ばれる味の単調な食物だけを食べていました。

こんな風に疑問や違和感を自分自身で抑えつけ、教義の世界だけでモノを考えてしまうのが、オウムのようなカルトの心の支配の特徴です。

スタンレー・ミルグラムというアメリカの心理学者が書いた
「服従の心理」(河出文庫)

ナチスドイツのユダヤ人虐殺(ホロコースト)にかかわった人たちは、家庭ではよい夫だったり息子だったりする人たちでした。
老人、子供まで殺害したベトナム戦争でのソンミ村虐殺事件にかかわった米兵もそうです。
この戦争では、韓国軍による村民虐殺も報告されています。
日頃はごく普通の市民なのに、このように一定の条件下では、指導者の指示に従って、通常は考えられないような残酷なことをやってしまうことがあります。
日本軍が戦時中、中国・南京を攻略した際に、
少なからぬ非戦闘員の殺害、略奪などを起こした南京事件も同様の事が言えるかもしれません。
ミルグラムの実験で、権威の存在、組織のシステムに
よって、こうした残虐行為にかかわってしまう人間の心理が浮き彫りになりました。

林郁夫は、別の信者の裁判に証人として呼ばれた際、この本を読んだ感想を次のように述べています。
「私もナチのことは知っている。小さい時に、(ナチについて書いている)本を読んでいて吐き気がして、どうして人間ってこんな残酷なことまでできるんだ、と思った。ほかにも、(アメリカの水爆実験で被爆した)
第五福竜丸のことや原爆のこと、人種差別のことなどを読みました。
そういう被害を与えた人たちは特殊な人たちであり、自分は(彼らと違って)
良心に従って行動できると思っていた。
でもそうじゃない。
単に、過去の残虐な行為を(知識として)知っているだけでは抑止力にならない」
人間の心は、特異な環境に置かれれば、残酷な行為もしてしまう弱さを持っているのでしょう。
誠実で真面目な人柄や、頭のよさや知識の量、
社会経験の豊富さで、その弱さを補えるとは限りません。
自分にもそういう心の弱さがあると自覚して、このような特異な環境に陥らないように努めるしかないのかもしれません。

さらに、テレビの人気バラエティ番組が麻原をスタジオに呼び、好きなように語らせました。
「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)でのビートたけしとの対談で麻原は「私に代わって、オウム真理教の教祖をやってもらってもいいんじゃ ないですかね」と相手を持ち上げ、たけしも「おもしろいよなあ、麻原さんて」
と応じました。
「とんねるずの生でダラダラいかせて!!」(日本テレビ系)では「麻原彰晃の青春人生相談」と銘打って、若者の悩みに答える企画も行われていました。
そうした番組で、麻原は「ちょっと変わっているけど、精神世界に詳しく、悩みにやさしく答えてくれるおもしろいおじさん」を演じてお茶の間に浸透していきました。
「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)では、麻原以下オウムの幹部と、別の新興宗教団体の関係者を生出演させ、対決を演出。
相手方は教祖が出演しなかったこともあり、オウム側の独壇場となりました。
これを見て、オウムに関心を持ち、入信してしまった若者もいます。

こうしたメディアや知識人は、人々のオウムに対する警戒心を解き、広める役割を果たしてしまったと言えます。

メディアは、このような脅しに屈せず、きちんと適切な取材をして報じることが大切で、そういう点でもオウムの事件は大きな教訓を残しました。

オウムで事件を起こした人たちの証言や手記を見れば分かるように、カルトのメンバーは元々は社会のルールや人権を損なうような人たちではありません。
それが、カルトに心を支配されると、無意識のうちに、アタマの中の思考回路がそっくり、カルト式回路に変えられてしまいます。
それを「マインド・コントロール」と呼びます。
体を拘束し、薬物や拷問によって無理やり新たな価値観を注入する「洗脳」とは異なり、「マインド・コントロール」は意思に反した強制的なものとは言えないことが多く、当人はコントロールされているとは気づきません。

カルトから身を守るうえでは、特定の団体を「カルトか、カルトでないか」という二分法で考え、その結論を待って判断するというのは、得策ではありません。
それより一つの価値観に固執し、それまでの人間関係を壊したり、社会の規範から逸脱する行動をとったり、人の権利を損なうような傾向のある場合はマインドコントロールを疑い、カルト性が高いのではないかと、よくよく注意し、距離を置いた方がいいと思います。

カルトは、どの時代や社会にも現れます。

カルトは、宗教には限りません。過激派など政治的な集団やマルチ商法といった経済的な集団の中にも、カルト性の高い所があります。

人間は、生まれから死ぬまで、ずっと順中満帆というわけにはいきません。
人間関係に悩んだり、努力が報われなかったり、選択に迷ったりします。
病気をする、事故に遭う、父母や友人が亡くなる、恋人と別れる、友達と深刻な喧嘩をする、受験に失敗する、職を失う・・・
こうした予想外の出来事に見舞われることもあります。
そんな時、人はカルトに巻き込まれやすい、と言います。
救いの手がさしのべられ、素晴らしい解決法を示されたように思うと、ついつい信じたくなるからです。

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2021年12月07日

Posted by ブクログ

実によくまとまっている。学生向けに書かれていることもあってオウム関連の本の中で一番読みやすいと感じた。

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2021年10月27日

Posted by ブクログ

オウム真理教というと、どこか人ごとで自分とはかけ離れた人たちが起こした凶悪な事件だと思いがちだ。でも実際に入信した人たちを知ればそうでもない、つまりごくごく普通の人(ただし、優しく少し考え過ぎになる面はありそう)がカルトにハマるのだということが分かる。

オウム真理教について、麻原や入信者や彼らが起こした事件やカルトにはまらないためにはどうしたらよいかなど、基本的なことがこの本から学べる。

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2021年01月20日

Posted by ブクログ

オウム真理教は無害で愉快な新興宗教と思われていた。麻原彰晃や弟子たちは普通にテレビ(ユニークな教えで今若い人に人気の宗教という軽めの立ち位置)に出ていたし、一般雑誌の表紙になっていたこともあった。その事で安心して気軽にオウムのヨガ教室に参加し、取り返しのつかないことになった人もいた。(この本にも書かれている通り、マスコミにも責任があると思う)江川紹子さんはそれより前からオウムの危険性を察知していた。本当に長い間、真剣に、実際殺されそうにもなりながらオウムと関わっていたわけである。
当時から江川さんの見た目はあまり変わってない印象を受けるが、オウムがマスコミで話題になっていた時、実はまだ30歳をちょっと過ぎたくらいだったということをこの本で(書いてある訳ではなく、経歴から計算して)知った。浮ついたところやが全くなく、凄く落ち着いていたので、年配の人だと勝手に思い込んでいたが、若かったのだ。変わらないのも、見た目が中身に追いついたせいかもしれない。余談だが。
この本は、若い人に向けて書かれているため、当時の社会状況なども丁寧にわかりやすく説明されている上、オウム真理教に関しても、膨大な量の情報を持っているだろうが、大変バランスよく整理されている。整理されているとは言っても、犯罪行為を行った信徒の心情なども手記などをベースにきちんと描かれているので、本当にぐっとくるものがあった。人を殺めたということを、マインドコントロールから抜けて初めて自覚し、後悔と自責の涙に暮れても、遅いんだ。殺しちゃったら。
真面目で、世の中のことを真剣に考える人が、もし麻原彰晃と出会わなければ、社会で人を助けるような立派な仕事ができたかもしれないと思うと、やるせない。
土谷正実や端本悟の両親は、とても良い人達で、息子を脱会させよう、犯罪行為を止めさせようとできる限りのことをしたと思う。土谷も端本も、親を愛し大切に思っていた。それでも、殺した。親からしてみたら、たとえどんなことをしてでも、自分が死んでも、それだけはしてほしくなかっただろう。結局本人が自分でまやかしに気づく以外方法は無いということなのだろうけど、親としては辛すぎる。優秀で真面目で優しい、大事な息子だった。その息子が人殺しで死刑。殺された人への謝罪の気持ちがあるから、自分の悲しみを公にもできない。どれだけ辛いことかと思う。
麻原彰晃を(テレビや雑誌で)見た限りでは、どうしてこんな胡散臭い汚らしいおっさんに夢中になるのか、全く分からなかったけれども、実際に会ったら魅了される何かがあったのだろう。また、人心掌握に長けていたことは間違いない。洗脳されて、グルのやることは絶対に正しいと思い込んでいたのだろう。それにしても、何度かおかしいと感じたことはあったわけで、そこで引き返せば良かったのに、と思わずにはいられない。
まっとうな宗教とカルトはどう違うのかとダライ・ラマに訊いた時の答えを心に刻んでおきたい。「studyとlearnの違い」。「studyには「研究する」という意味もあります。研究するには、疑問を持ち、課題を見つけ、多角的に検証することが必要です。一方のlearnは、単語や表現を教わり、繰り返し練習して記憶する語学学習のように、知識を習い覚えて身につけることを言います。「studyを許さず、learnばかりをさせるところは、気をつけなさい」一人ひとりの心に湧いた疑問や異なる価値観を大切にしなければstudyはできません。それをさせない人や組織からは距離を置いた方がよい、というのが、法王からの忠告です。」(P208)

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2020年07月24日

Posted by ブクログ

オウム真理教についてまとめた本
宗教とはやっかいなものだなと。新興宗教は時間の洗練がない分危険度が高い

答弁がうまいことと正しいことは違う。
昔の人はコックリさんやノストラダムスの大予言を信じ、テレビでオカルト超常現象やオウムを楽しんでいた
答えが出ない問題に答えがほしい人に、うまく答えてあげてい

「自分の頭で考えることを放棄してしまう」信者
問題のある集団、断言したりできないことを断言していないか

オウムの中にも学歴社会はあった
情報を遮断しようという試み

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2020年06月14日

Posted by ブクログ

子どもながらに衝撃を受けた事件でした。自分自身は事件後の番組などで少なからず事件の恐ろしさを知ることができたけど、自分の子供世代は全く知らずに育つんではないかと思い、購入しました。読み始めると止まらなくなりますが、途中本当に現実で起こったことなのだろうか、、と目を背けたくなるような辛い部分も多くあるので休憩を挟みながら読むことをお勧めします。

どんな時も自分のアタマで考えることやめてはいけない、自分の感性(違和感だったり)を大事にする。この本で学ばせていただきました。

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2020年02月24日

Posted by ブクログ

「オウムに引き寄せられた若者たち」は、みな、社会の理不尽さに疑問を持ち、自分が何かできないかと悩み、真剣に考えるような善良な人たちだった。サリン事件などの加害者でありながら、被害者だったんだと思う。教祖の行き当たりバッタリな言動行動に翻弄され、真相究明がなにもなされないまま、教祖含む実行犯を死刑に処してしまって本当に良かったのだろうか…。なぜ死刑実行してしまったのか。今もモヤモヤしている。 カルトはすぐ隣にあることを子供達たち、大人にも広く伝えたい。人は誰しも悩みをかかえ、それを解決しより良くしたいとかんがえる。それを利用するのは簡単なことだと思うと、自分も含めて周りもこの事件についてちゃんと伝えていかなければいけないだと思う。

死刑求刑で終わりではないはず。

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2019年09月16日

Posted by ブクログ

中高生向けにカルトの怖さを説く。
判断を誰かに委ねることの危険性,「人生の意味」に思い悩むことのリスク,社会への素朴な違和感につけこむ洗脳の手法等をあの大きな事件に基づいて紹介してくれる。
心が揺れ動く思春期に良いワクチンと思う。
↓広瀬健一の体験談。惜しい…
“オウムに出会ったのは、大学院一年生の時でした。本屋で麻原の著書『超能力「秘密の開発法」』を手に取ったのがきっかけです…しかし表紙に麻原の「空中浮揚」写真が掲載されていることに、いかがわしさを感じ、買うのはやめました”p.109

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2019年09月02日

Posted by ブクログ

章ごとにそれぞれ分かりやすく展開されていてとても読みやすく、一日ですらりと読めてしまった。
こういった本を読むのはほぼ初めてだったが、カルト宗教、集団の存在をより身近に潜むものとして感じることが出来る本だった。
と同時に、そういったものへの対応策は一応ありはするものの、やはり誰しも迷いや悩みがあるタイミングで言葉巧みに誘われ入団してしまう可能性があり、人や場所との出会いの運によるところが大半を占めていると感じざるを得なかった。

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2022年12月15日

Posted by ブクログ

岩波ジュニア新書ではあるが、
大人が読んでも十二分に感じ入るところのある一冊。
当時の社会情勢を知る年代であれば尚更。

カルトに感するという事より、
事件に関わった受刑者たちの半生の記録という部分が大きい。
そして、それも「反省」であったり「後悔」をしている受刑者のみ。
そこは読み物として興味深い

最後の章の、カルトからの防御策が、結局ところ
「巧妙化が進み、100%見抜くのは無理」
と言い切ってしまってるのは残念であり、恐怖も感じた。

岩波ジュニア、もちろん10代の中高生にも勧めた一冊。
もし、学生生活のため親元を離れるなら、その前に読んでおいてほしい。
作中にあるように「100%防げない」カルトに対する、警戒心を少なからず持ってくれるであろうから。

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2022年10月24日

Posted by ブクログ

「オウム」の一連の事件について、テレビで見る程度の知識しかなく、関わった人々は自分とは遠い存在のような気持ちでニュースを見ていました。この本を読み、ごく普通の真面目に生きようとした若者が入信、犯罪を犯すことになったと知りました。身近にあるカルトについて知り、引き込まれないためにも読んでおいてよかったと思いました。

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2022年02月25日

Posted by ブクログ

現在二十歳の私は、私が生まれる前にオウム真理教という存在、そして地下鉄サリン事件という現代日本史上最も恐ろしいテロ事件の一つが起きたという事実はメディアや歴史の授業で学んでいた。また、私の祖母は事件当日、何となくに早めに出勤をしようと家をいつもより早く出た結果、幸いサリン事件に巻き込まれずに済んだという話を聞いたこともある。この本を読んで、私はこのオウムに引き寄せられた若者たちを他人事とはとても思えなかった。オウム真理教が生まれた当時の社会は、右肩上がりの成長を続けてきた高度経済成長がオイルショックによって崩壊し、狂乱物価や物不足などで社会が混乱し、人々の将来への不安が芽生えてきた。そんな時、『ノストラダムスの大予言』などのオカルトや超常現象を取り扱う映画や番組が流行した。またバブル景気による豊かさの陰で、会社員の過労死や学校でのいじめ問題が深刻化していた。そんな中で本当の豊かさとは何か、モヤモヤとした不満や不安に駆られる若者も多く、そんな思いで未知の世界へ引き寄せられていったのである。今の時代はどうであるか。バブル崩壊で不景気が続き、就職氷河期に突入、その後リーマンショックや新型コロナウイルス拡大の影響で多くの企業は打撃を受け、現在第二次就職氷河期と言われるまでになっている。それに加えて、東日本大震災から続く大地震、各地で豪雨などの異常気象は毎年のように我々を震撼させている。また、近い将来ほぼ確実に起こると言われる南海トラフ地震は東日本大震災の被害の10倍が予想されている。インターネットの発達により、匿名での誹謗中傷、いじめも深刻になっており芸能人の自殺などがメディアを騒がせている。そんな中2019年に10代を対象に行われたネットアンケートでは8割の人が将来に対する不安を持っていた。アメリカでは、コロナウイルスの影響で学校に行けなくなり、部屋に籠もりがちな多くの若者が鬱病や精神病に悩まされ自殺するケースが増加している。日本も同様にほとんどの大学がオンライン授業になり、入学生は一年間学校に通えない状態が続いている。私自身も将来に不安を持つ若者の一人であり、就職に希望も見えない。私自身も含めこの現代に生きる若者たちはこの著書に出てくるような若者たち同様オウム真理教のような未知の人生に答えをくれそうなカルト集団に惹かれてしまう可能性がある。だからこそカルトはすぐ近くにあることを自覚して、巻き込まれないように考えていかなければならないと感じた。

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2021年02月21日

Posted by ブクログ

 以前から「人はタンポポの種」という仮説が頭にある。
 運命という風向きで落ちた場所に花を咲かせるしかない。
 誤った指導者に巡り会ったのが不運の始まり。むしろ良心的で利他的な人々が極刑に処せられてしまった。(A級戦犯や極左ゲリラにも似た事例がある)。
 オウム事件の後にも、カルト宗教の被害者は数知れない。彼らにしてみれば「オウムなんて邪教にハマった奴らはバカだなぁ。その点、うちは大丈夫」という確信があったのだろう。
 参考文献に『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』が入っているのは、江川さん、目が行き届いている。
 自分は浮き世離れした人種が好きで「よく宗教勧誘に来る人」も部屋に招き入れて、話をうかがったりするのだが、「この人がオウムに入っていたら、喜々としてサリンをバラ撒いたんだろうな」という所感を抱いたことがある。
 

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2020年09月09日

Posted by ブクログ

江川さんの名前は、恥ずかしながら死刑報道のあとに初めて知った。信頼できるオウムジャーナリストである、という評判も聞いていた。
彼女が、子供のためにかいた本であり、まだ新しい本だというので、本書を手にとってみた。

面白い。
一気に読んだ。

誰もが思う疑問、なぜ社会的に成功したひとや、高学歴者、人格者までがオウムで中心的な犯罪に手をそめたのか。
そこに迫る。機能不全家族で育ったのか、と短絡的な想像をしたけど、そんな事はない。ごく普通の家庭のひと、裕福な人、貧しい家庭の人、両親不和の家庭、円満な家庭、さまざまだった。つまり、誰もが陥る世界、ということ。
70年代以降の経済成長のなか、オカルトブームや環境問題、人間関係の急速な変化も背景にあったらしいけれど。

作中で、運転手を務めたオウムの準幹部の手記が面白かった。サリンの製造やバラマキ計画を知らされていないまま、幹部たちを乗せて移動する日々。
数人の人物を名指して、あの人なら、学者肌だし、告げ口をしないタイプの人だったから、今やっている(犯罪の匂いのする)計画について聞いてみた、と。
答えは、「ある実験、かな、」と。

同僚にもこんなふうに人柄を信頼されていたのに、凄まじい犯罪を実行した人物でもある不思議。
人間というのは、どこまでも複雑で、多面的だ。
そういう意味でも本書は考えさせられる本だった。

オウムを知らない若い世代にこの本が作られたことを評価したいし、オウム報道を知っている世代にも改めて、なぜあんなことが起きたのか、を知るために読んでほしい本だった。
彼らは特別ではない。
まさに、すぐ隣にあるカルトの恐ろしさが身にしみた。
00年代にも大学サークルにも、隠れカルトはたくさんあった。後から正体が判明したのだから、知らずに自分が入って深みにハマっていたかもしれない。怖かった。

ちなみに、本書は身近な人がカルトに入ったらどうするか、も少し触れてあった。大事なことですね。

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2020年01月29日

Posted by ブクログ

江川さんのオウム本は初めて。
書かれた犯人たちの真面目さが読んでいて辛い。
加害者側の本ではあるが、こういう本がジュニア新書から出ることに意味がある

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2019年08月12日

Posted by ブクログ

やっぱカルトって怖い…
何てことない人たちがちょっとしたきっかけでカルトに引き込まれた結果が犯罪者…下手すれば死刑囚って…

ちゃんと疑うこととか人に相談することって本当に大事なんだなって思った

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2023年01月16日

Posted by ブクログ


オウム麻原怖いってなる本
自分もどちらかといえば宗教的なものにシンパシーを感じやすい側の人間だから気をつけないといけないなと思った。

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2021年11月24日

Posted by ブクログ

どこにでもいる普通の人が重大犯罪を犯し死刑囚になってしまう、
という話が淡々と綴られていて
想定している若い読者に向けて明瞭なメッセージが伝わると思う。

オウム真理教について全く知らない人が読むにはいいかも
結構色々知ってる人からすると、えっこの人の話ここで切り上げちゃうの?
となるのでより深く知りたい人はルポとか読んだほうがいいかも

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2020年09月20日

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