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Posted by ブクログ
ふとしたことから手に取り、とても懐かしい思いであっという間に読んでしまった。
スペースオペラとヒロイックファンタジーの合わせ技だけど、かなりヒロイックファンタジーに寄っている。単に主人公たちが活躍する舞台を変えるために、スペースオペラの趣向を取っているだけの様な印象がある。「スターウォーズ」もそういった感じがあるけど、それよりもうんと徹底して、「アナログ的」である。
主人公たちのチームが魅力的である。戦士アッシュと、300歳を超える詩人である老人、精神的な能力を持つ絶世の美女。割合わかりやすい組み合わせである。が、読んでいるうちにこの組み合わせがとても魅力的に見えてくるのは、それぞれがステロタイプの最初のイメージを裏切っていくところだろう。老人もなかなか若い煩悩を見せてくれるし、アッシュも強いけど無敵じゃない。そういうところが全体として人間的な魅力を漂わせてくれるのだ。
ドラマは、チームが出会うところからアッシュの復讐物語を短編で追いかける前半と、いわば復讐のリハーサルに当たる様な雰囲気の中編でできている。中編が、意外な趣向でなかなか面白い。復讐の話は、結局この本では完結せず、次へと続くことになる。
しかし、僕が生まれる前に出版された本であるにもかかわらず、今どきのSF大作映画を上回る様な趣向と迫力で書かれていることに舌を巻く。アメリカ映画化したら、かなりの傑作になるのではないだろうか。