【感想・ネタバレ】深層地下4階のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

帯や概要が気に入って購入したが、ハリウッドの大ヒット映画の脚本家のデビュー小説ということで一抹の不安があった(ヒドイNHK朝ドラをやっていた時期に読み始めたせいで名がある脚本家に対しても懐疑的になっていたせいもある)。
読み始めてみると、全く問題は無く、すぐに面白いと感じて安心した。

中身は良くも悪くもアメリカのアクション映画の脚本家らしいなと感じる。
翻訳が良いのもあると思う(訳者も初の翻訳!だが上手い!)が、映画(映像)をイメージできるような記述はさすが大ヒット映画を生み出した脚本家といったところだ。
多様なキャラクターの性質と各場面の広がりを、短く・素早く把握できる文章も前職から磨かれた強みのように感じる。
ただ、主人公らがなんか安っぽい感じがする(小説ならではの良さである内面描写が弱いのか??設定が単調だから??)のは大衆映画の悪いところが出ているように思う。
半分くらいの時点で、オチがハリウッド映画の「(全部)ドーン!」にならないといいが・・と思いながら読み進めていた。
著者が60歳に近いからなのか老いる描写が上手い。有能だった者が老いて衰えていく哀愁も感じる。

オチはアメリカの大好きな核だったが「放り込んでボーン!」ではなく、設置から爆発までドキドキ感もあり良かった。ロベルトについては「爆弾を最下層まで持って行って退避せず爆発を見届ける」や「感染しながら起爆して自爆」するんじゃないかと思っていたから死ななくてよかった。
エピローグも大団円という感じで爽やかに終わっていてよかった。

不満点としては、
中盤以降気になったのが粘菌が意思や思考、記憶を持っているような描写。
終盤に文中で「そんなことはないが・・」と否定しているが、粘菌の行動は、粘菌自体の記憶や感染者の記憶が粘菌に受け継がれていないとあれほど上手くいかない(急に高いところへ登らなくなったり、人間を特別な宿主として探す・好むようなことは生存本能による無秩序な拡大だけではあり得ない)感じがする。この点についてはもう少し思考しているように"見えた"理由が欲しかったと思う。

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2024年04月07日

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