【感想・ネタバレ】短編集 あらしのよるにのレビュー

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Posted by ブクログ

ガブとメイそれぞれの幼い頃の話や、二匹が友達になった後のとある日の話、本編中の吹雪で身動きがとれなくなったときの話など、5編収録されている。
以下、印象的だった話、箇所を。

○『ひとりぼっちのガブ』
ガブの幼い頃の話。大切な友達だと思っていたグルリに裏切られるシーンが切ない。その悲しい思い出があるから、メイと友達になったときは本当に嬉しかったのだろうなと思うと、また切ない。
オオカミにとってヤギはご馳走だが、メイと友達になったことでそのご馳走を二度と食べないとガブは誓う。友達を悲しませたくないから、という理由もあるのだろうけれど、グルリとの出来事も少なからず影響しているのだろうか。ガブの誓いは私が思っていた以上に固いのかも。

○『メイはなんにもこわくない』
メイの幼少期。トラブルメーカーなメイだが仲間たちから好かれていて、終始明るい雰囲気に包まれている。ひとりぼっちで“困った子ども”と評されていたガブとは、あまりにも対照的だった。
ガブのメイに対する想いと、メイのガブに対する想いは、実はまったく違うのかもしれない。もし片方の存在に依存してしまうようなことがあるとしたら、それはガブのほうなのだろう。

○(P174)「自分を殺して生きるか。自分を生かして死ぬか。」
 (P175)「生きるって、自分のあしで歩くことをいうんでやんすよね。」
前者は、指標と成り得る言葉だな、と思った。
「ヤギとオオカミでも友達でいたい」という自分の正直な気持ちをなかったことにして、それぞれの種族にとっての“平穏”の中で暮らすか、それとも、誰からも理解されない厳しい生活を強いられることになっても友達として生きるか。
二人のような状況下でなくても、こういう選択はままあると思う。種族に関係なく友達でいたいし、そんな生き方を周りに肯定されたい、なんていう諸手挙げてのハッピーエンドは現実にはなかなかない。だから後悔しないように、考えて、見極めて・・・・・・ということが必要なのだろうな。そしてそういったときに、この言葉を思い出したい。
後者にははっとさせられて、同時になんだか泣きそうになった。自分の足で歩く、なんて当たり前のことだけれど、胸を張ってそれができていると頷けるだろうか。

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2021年11月30日

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